第26話 卒業式
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「1番クラリス・デュランダル! 愛の賛歌を歌います!」
イザベラから解放されたクラリスは右手を元気に上げて宣言する。
「ああ~、ハーディどうして貴方はハーディなの~」
ズドドッ!
ハーディは崩れ落ちた!
愛の賛歌って言うから、教会のシスターたちが歌っている何かかと思ったのだが、まさか自分への愛の賛歌を歌うとは・・・
周りの男子からは視線だけで殺せそうな勢いで睨まれるハーディ。
「ハーディ~、貴方の目は何を見ているの~、伝われこの想い~」
もうハーディはクラリスに視線を合わせられず、遠い空を見つめていた。
「ありがと~」
クラリスの歌が終わって手を振って下がって行く。
そして代わりにイザベラが出てくる。
「2番!イザベラ・ヒップバーン! ハーディへの永久の愛を歌います!」
ドシャッ!
両膝を付き、両手も大地に付き崩れ落ちるハーディ。
イザベラよ!お前もかっ!
ハーディは絶望の淵を彷徨った。
「ハーディハーディハーディ!あんたはアタシのそばに居りゃいいのよー!それで幸せゲッチュー!」
もう脳みそパーンな歌詞に絶望よりも深い深い深淵に沈み込むような感覚に襲われるハーディ。誰かこの地獄から救ってくれるなら悪魔の手をも取ってしまうであろうことは間違いなかった。
何故か歌を歌ってもどっちも人気が高く、甲乙つけがたしということで対決が続行される。
もはやハーディには誰か黒幕が暗躍していて自分をハメようとしているのではと邪推を始めていた。
卒業式の準備の他、高等学校へ入学するための試験準備だってある。
今時間を無駄にしていいほど余裕はないはずなのだが・・・。
「1番クラリス・デュランダル!詩を読みます!」
パチパチパチ!!
大拍手で生徒たちが盛り上げる。
教師たちも纏める気があるのかもはや不明である。
「ハーディの 腕に抱かれて 夏疾風」
「キャー素敵!」
「いいぞー!」
拍手で評価している生徒たちをよそに、ハーディはクラリスに変なアクションでアピールしていた。
(さすがにアレは言っちゃだめだよ!)
わたわたしながら慌てふためくハーディをちらりと見て、ウインクするクラリス。
一応ハーディの言いたい事は伝わったらしい。
さすがに秘密のトレーニング場所に連れて行って初めての経験をお互い重ねた思い出を喋ってしまうのは問題があるとハーディは気が気ではなかった。
「な~んか怪しいけど・・・、まあいいわ! 2番イザベラ・ヒップバーン! 詩を読みます!」
パチパチパチ!!
再び大拍手で生徒たちが盛り上げる。
教師たちも大拍手で盛り上げる。
纏める気がないのはもはや明白である。
「何しても 私のハーディ 男前」
「キャー! 私のだって!」
「イザベラだいたーん!」
「ちょっと!私のって何ですか私のって!」
再びクラリスが戻って来てイザベラに文句を言い出す。
「詩なんだからいいじゃない」
「詩だからって事実じゃないことを堂々と伝えるのはどうかと思うよ!」
「今後事実になるんだからいいじゃない」
「何で今後事実になるの!」
珍しくクラリスがイザベラにプンスカしている。
結局どっちがいいとかみんな決められない。どうなっているのかハーディには理解不能だった。『竜の叡智』を起動して甲乙つける際の方法を検索する。
「2人とも、よい方法があったぞ」
「「何?どんなの?」」
2人が急に食い入るようにハーディに突撃する。
「じゃんけん、というシステムだ」
「どうやってやるの?」
クラリスが聞いてくる。
ハーディは「グー」「チョキ」「パー」の概念を説明する。
「わー!ハーディ天才!」
「簡単なのにすごいわね、このじゃんけんって」
2人ともじゃんけんをすぐマスターした。
「勝負儀式は「最初はグー!」で拳を突き出し「グー」を相手に突き付ける。そして再度拳を引いてから「じゃんけんぽん!」で自分の決めた手を出すんだ」
「「わかったわ!」」
そう言って舞台に向かい合って立つクラリスとイザベラ。
「行くわよ、イザベラ」
「決めるわ、クラリス」
「「最初はグー!」」
そう言って拳を握って相手に突き出す2人。
「「じゃんけんぽん!」」
そして、勝敗は決した。
・・・・・・
卒業式当日。
体育館には大勢の生徒がキチンと並んでいた。
教師も横に列を作っている。
そして、ハーディとイザベラも仲良く(?)並んでいた。
「ふっ! 計算通りですわ! こうしてハーディと並んでいられるのですから」
腕を組みながらニコニコしてぶつぶつ呟くイザベラ。
そして壇上にはクラリスがいた。
「――――――そして私たちは、今この学び舎から大きく羽ばたいて旅立ちたいと思います。今までご指導頂き誠にありがとうございました!」
クラリスが少し潤んだ眼を拭うことなく、大きく宣言して頭を下げた。
大勢の大拍手に包まれる。
そうだ、これからこの世界に目を向けてさらに高等学校で研鑽を積まねばならない。
ハーディはクラリスの前途に咲くであろう大輪に輝く花を想像しながら、自分にはまだまだ解決しなければならない問題が山積みであったことを思い出す。
「我にはまだまだ乗り越えねばならん問題が多いな・・・」
そっと溜息を吐くハーディ。
「・・・?」
その隣に居たイザベラにはハーディの吐く溜息が見えたのだが、呟きは聞こえることはなかった。
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