第23話 夏の終わりに
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「うむ、良い天気であるな」
ハーディは湖の畔で仁王立ちしながら呟く。
(我も初めて水着というものを穿いたのだが、なかなかに開放的でいいものであるな)
呟いた次は、腰に両手を当てたまま物思いにふける。
「ハーディハーディ!」
いつもはほとんど話しかけて来ない男子生徒が集まってくる。
「今日だけは休戦だ!男子は一丸となる必要がある!」
なにやら熱く語ってくる男子生徒たち。なぜこれほど力が入っているのか?
(第一いきなり休戦と言われても、特にお前達と戦争をしている意識はないのだが)
ハーディは彼らが何を言っているのかぴんと来ていなかった。
「おーい、男子集まれ~」
教師の集合を命令する声が聞こえる。
そう、今日は課外授業の一環で朝から3時間ほどかけて大きな湖までやって来ている。そういうわけで今日は朝に学校に集まると言う一日がかりの実習であった。
「この日をどれほど待ち焦がれた事か・・・!」
何やら男子生徒がぶつくさ言っている。
そんなに湖で泳ぎたいのか。ハーディはずっと男子生徒たちのテンションが理解できずにいた。
(そう言えば我も前世の頃は水浴びなどしたことも無かったな。いわんや泳いだことなど皆無だ。我が<竜鱗>は傷つくことも無く、汚れることもない・・・ちょっと語弊があるか。暴れてほこりまみれになったこともあるし、ゴロゴロ寝すぎてほこりが降り積もったこともあるか。最も<竜気力>を纏うことにより、<竜鱗>の表面はまるで新品の様に輝く。そんなわけでふろに入るとか、湖で水浴びするという概念が無かった。だからもちろん泳いだこともない。・・・我は泳げるのだろうか?
まあいいか、そのための課外授業でもある。うまくいかなければ教師に教えを乞うて学べばよい)
ハーディは思案を巡らしながら教師の呼びかけに応じて移動した。
集まり整列を始める男子生徒。
「く~~~~、待ちきれねぇぜ!」
男子生徒たちのワクワクした感じがとまらない。
一体何がそれほど待ち遠しいと言うのか。
「まだかな~、女子の着替え!」
(コヤツら、女子を待っているのか)
ハーディはぴんと来ていないようだが、他の男子生徒は女子の着替え完了を今か今かと心待ちにしている。夏も終わりかけというこの時期、湖で課外授業とは生徒たちの一大イベントに位置付けられていた。
今は棒を立て、布を張ってその向こう側で着替えているようだ。
もちろんクラリスも着替えているはずだ・・・後、イザベラも。
そう言えば昨日の夜、クラリスから水着が見たいかと聞かれたハーディ。
空気を呼んで「ぜひ見て見たい」と答えたのだが、「えへへっ、まだだーめ!明日課外授業でね!」と言って見せてくれなかった。であれば最初から水着見たい?なんて聞かなくてもいいのでは?とハーディは思ってしまったのだが、それはクラリスの女心を理解していないハーディの未熟さと言えよう。
「準備いーい?」
「ちょっと・・・まだダメ!」
「早く行こうよー」
「もう先にハーディの前に行っちゃうよ?」
「ちょっと・・・待ちなさいよ!抜け駆けは無しっていったでしょ!」
なんだが張られた布の向こうで黄色い会話が聞こえる。
男子より女子の方が人数的に少ないのだが、それでも数人がいる。最も男子は10人以上だ。
そして布を捲って女子が飛び出してくる!
「ハーディ!お待たせ!」
まずはクラリス。上下黄色の面積が極めて少ない布で覆ってはいる。『竜の叡智』の検索では「ビキニ」というもののようだ。クラリスの美しい金髪にもよく似合っている。
些か胸を覆う面積が小さい気がするが。
・・・というか、クラリスの胸はあれほど大きかっただろうか?
あまり気にしなかったが、服を着た状態ではわかりにくかったということか。
走ってくるクラリスの胸が揺れる。揺れる。揺れる。
きっと走るバランスなど調整が大変であろうと心配になるほど揺れる。
ちなみにハーディの心も揺れまくっていた。
「ちょっと待ちなさいよぉ!一人で先にハーディの元へ行くのはズルいでしょお!」
そう言ってイザベラが追いかけてくる。
今日も紫色の髪をツインテールにしている。もちろん左右は縦ロール。所謂ドリルヘアーだ。
紫の髪によく似合うピンク色の水着を着ている。『竜の叡智』の検索では「ワンピース」と呼ばれる物のようだ。胸元と腰回りにふりふりのフリルが付いており、イザベラの可愛さを増幅させているように見える。
イザベラも元気よく走ってくる。そして揺れる、揺れる、揺れる・・・ドリルヘアーが。
ちなみにクラリスと違って、全く胸は揺れない、揺れない・・・悲しいほどに揺れない。
(はっ!イザベラが湖に入って髪が濡れてしまったら・・・ド、ドリルヘアーが!)
どうでもいい心配をしてしまうハーディ。
「ちょっと、アンタなに考えてんの?」
剣呑な視線を向けるイザベラ。
「イイエ、ナニモ」
「本当かしら・・・?」
イザベラがハーディをねめつけていると、クラリスがハーディの前に出る。
「ねえねえハーディ、この水着似合うかなぁ・・・?」
手を後ろに回して組んだまま、クネクネと左右に揺れるクラリス。
ハーディの後ろに固まる男子生徒たちからは「かわいい」「最高」「ハーディ爆発しろ!」など様々な歓声と怒声が上がる。
「ああ、クラリス。最高に似合っているよ」
クラリスに似合っているかと聞かれて「似合っていない」などという回答は持ち合わせていない。Yesの一択のみで生活しているハーディだった。
「ハーディ私は?私は?」
イザベラがぐいぐいと前に出て自分も似合っているか聞いてくる。
「もちろんイザベラもよく似合っているぞ」
クラリスだけ褒めてイザベラを褒めないなんて事になれば、この後血の雨が(実際には炎の雨が)降る事間違いなした。ここはキチンとイザベラにもフォローが必要だ。
最も、別に嘘というわけでもない。イザベラは極めてレベルの高い美少女だ。褒めることに違和感はない。
その後も女子が何人か出てくる。だが、やはりこの二人は別格であり格別だ。
「よーし、みんな揃ったな~、湖に入る前に体をほぐすために体操するぞー」
男女そろって体操をする。
男子生徒の視線が女子たちにぶっ刺さるのだが、そこは女子たちも最初からわかっているのか、気にせず元気に体操に集中する。
「よーし、まずは湖の畔から入って水に浸かれー。この湖は中央部が深いから、絶対に遠くへ行くなよ! まずは腰までの深さのところで水に慣れろー」
教師の指示通り畔から静かに湖に入る。夏の終わりとはいえ、比較的気温も高く、水の温度も冷たいと思う程でもない。
「えーい、ハーディくらえっ!」
「わぷっ!」
クラリスに水を掛けられるハーディ。
「あ!ズルい!私もえーいっ!」
「ぬおっ!」
イザベラもクラリスと同じように水を掛けてくる。
左右から水をバシャバシャと掛けられるハーディ。
ハーディには何のイベントか全く不明だが、クラリスもイザベラもとてもいい笑顔で水を掛けてくるので、無下にやめろとはいいにくい。
そしてイザベラのドリルヘアーに水がかかっても全くドリルに変化がない。
さすがはプロドリラーである。
「それでは水泳の授業を始めるぞ~、泳げる奴はいるか~」
教師の話を聞きながら、水泳法を学んでいく。かき泳ぎ(クロール)、平泳ぎなどを学んで水中を移動する技術を身に着ける。
「お~~~~~っほっほっほ! 早速勝負ですわ、クラリスさん!」
定番のライバル対決が始まろうとしていた。
「あの湖の中に生えている木まで泳いでタッチして戻ってくるのですわ。湖の畔で待つハーディの元にどっちが早く帰って来るかの勝負ですわ!」
「おいおい、ちょっと危ないんじゃないか・・・?」
水泳法も練習したばかりなのに、そんな勝負をしてよいのか、ハーディは心配になる。
「いいわ!どっちが先にハーディの胸に飛び込むか勝負ね、イザベラさん!」
・・・クラリスさん?泳ぎのスピードを競うはずですが、なぜ我の胸に飛び込む勝負になっているのでしょうか?
「それではスタートの掛け声をしてやろう」
そして教師よ。アンタは止める立場の人間ではないのか。
「スタート!」
「行きますわ!」
「負けないから!」
イザベラとクラリスが勢いよく湖に走って飛び込んで行く。湖の畔は浅いため、走って深い場所まで進んでいく。そして泳ぎ出す二人。
(なんてこった!あれだけ激しく泳いでいるのにイザベラのドリルヘアーに全く乱れがない!)
男子生徒は二人の超絶美少女の泳ぎを堪能し、女子はハーディをめぐる二人の恋バトルを応援して盛り上がっていたのだが、ハーディは全く違う部分に衝撃を受けていた。
そして木にタッチして戻ってくる二人。畔の浅瀬に戻って来たのはわずかにクラリスがリード。だが、泳いで戻ってきた二人は体力を消耗している。そして水から上がった二人にはさらに重力が圧し掛かる。ふらつきながら湖畔のハーディの元へ向かって来る二人。ふらつくクラリスの巨乳は本人よりもふらついている。そして同じくふらつくイザベラのドリルヘアーも本人よりふらついている。
そしてクラリス一歩リードのまま浅瀬から畔に上がり、ハーディの胸に飛び込もうとふらつき歩くクラリス。
「く・・・負けられませんわ!」
ぶんぶんと腕を振り回しながらイザベラがクラリスの背後に迫る。
偶然指先がクラリスの胸を支えるビキニの紐に接触、結び目がほどけてしまう。
「ふえっ!?」
ふらつきながらもハーディの元へやって来たクラリス。胸のビキニが外れ、はらりと落ちそうになる。もちろん落ちればクラリスの素晴らしく大きな乳房が晒されてしまう!
「イカン!」
はらりと落ちてしまったビキニトップ。だがハーディからクラリスを迎えに行ったことで、晒される前にクラリスを抱きとめることに成功する。
「ひあぁ!」
胸のビキニが外れたままハーディに抱きしめられるクラリス。
ハーディの胸に飛び込もうと頑張って来たクラリスだが、まさかハーディの方から抱きしめに来るとは想像だにしなかった。
「ふええ~」
ギュッと強くハーディに抱きしめられているクラリスはもう頭の中が真っ白になった。
「ちょっと!ハーディ何してるんですの!」
同じく泳ぎ切って上がって来たイザベラのドリルヘアーが全く崩れていなかったのだ。
(ばかなっ!?)
全身水滴が滴り落ちるほど濡れているイザベラなのにドリルヘアーは全く型崩れしていない。ドリルヘアーの毛先からは水滴が滴り落ちている。これはもはや魔法の域である!
「クラリスさん! いい加減ハーディから離れてくださいまし!」
ぷりぷりするイザベラ。
「ふええっ! でもでも・・・今ハーディから離れると見えちゃうから~」
ビキニが取れて上半身裸になってしまったクラリスは、ハーディに抱きついて豊満な胸をハーディの胸板に押し付けたまま離れられなくなってしまった。
(夏・・・いいかも・・・)
ハーディはクラリスを抱きしめながら夏に感謝した。
夏の終わりに、ただただ水着ネタを書いて見たかっただけ・・・
ハーディの学園生活は2話くらいで終了するはずだったのですがf(^-^;)
今後とも「ドラリバ」応援よろしくお願いします!
(自分で愛称呼んでます(苦笑))
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