第22話 ライバルとの切磋琢磨
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「ほ~~~~っほっほ! クラリスさん、今日こそ勝たせて頂きますわ!」
縦髪ドリラーのイザベラがクラリスに人差し指を突きつける。
見事なドリルっぷりであった。
ハーディはイザベラのドリルヘアーにある意味釘付けであった。
ドリルヘアーが左右に揺れるたびについつい目が向いてしまう。
もはやハーディにとってイザベラはプロドリラーと言っても過言ではなかった。
「ふええ~、イザベラさん、今日は何の勝負ですか?」
若干メンドクサイという雰囲気を醸し出しながらも真面目に対応するクラリス。
誰からも「聖女」と呼ばれるだけある品格である。
ちなみに、「お~~~~~っほっほ!」って毎回笑ってるイザベラは「魔女」と呼ばれている。
「お~~~~っほっほ!もちろん今日の料理実習でどちらがハーディに「おいしいっ!」言ってもらえるかの勝負ですわ!」
どや顔で腕を組んで胸を反らすイザベラ。
何故か、先日ハーディとの決闘で完膚なきまでに負けたイザベラはその後、ハーディではなく、クラリスをライバルと指名して事あるごとに突っかかって来ていた。
今日も実習内容の料理を題材にハーディがらみで勝負を持ちかけてくる。
・・・そう、なぜかクラリスとの対決内容にハーディを絡めてくるのだった。
先日は体力強化の授業で100mダッシュのトレーニングでの勝負を申し込んできたイザベラ。「どっちがハーディの元に早くたどり着くか勝負ですわ!」と言っていたが、ハーディは自分がゴール地点に立っている必要があったのか今でも疑問であった。
最も二人ともほとんど同時にゴールしてハーディの胸に飛び込んできた時は両手でそれぞれをしっかり支えるのに苦労したものだが。
最も、一番最初はクラリスに決闘を申し込んできた。
ハーディの時と同じく魔法勝負で挑んで来たのだが、なんと聖女らしくクラリスはほとんど攻撃魔法を使用することが出来なかった。
何発も炎の魔法を打ち込むも全て神聖なる障壁に阻まれて全く打ち破る事が出来ない。
だが、クラリスは全く反撃するすべを持っていなかったのだ。
例外的な攻撃魔法は邪悪な存在を打ち消すような破邪の呪文だけだった。
「一体何なんですの!?」
打ち込んでも打ち込んでも障壁に阻まれダメージを与えられない。だがクラリスからの反撃は無し。結局、決闘は無駄だと言う事に落ち着いたのだった。
それ以降、ことあるごとに細かい事でクラリスに勝負を挑んで来るようになったイザベラ。
座学でも、どっちが先に答案を出すかで勝負したり、野営実習ではどちらがテントを早く準備できるかを競った。体術実習では、イザベラは必ずクラリスを指名、ひどい時にはお互いの髪の毛やほっぺたを引っ張りあうキャットファイトの状況を呈していた。
そんなわけで、今日の勝負は料理と相成ったようだ。
(料理ならば、安全な勝負になりそうだ)
ハーディは少しホッとしていた。何となく勝負勝負と騒ぐイザベラもクラリスと仲がいいように見えているとはいえ、やはり魔法を打ち合ったりキャットファイトは心配になってしまうものだ。
それが料理であれば、安心して見ていられるというものだ。
ハーディはそう思ったのだが・・・
「さあ、ハーディに「おいしいっ!イザベラの手料理は最高だ!」って言わせますわよ!」
「むっ!そんなことないもん!私の料理こそ「クラリスの料理が世界一だ!」ってハーディに言わせるから!」
お互い目からビームでも出ているのかバチバチと火花を散らしながら料理に取り組んでいく両者。
だが、その勝負は予想だにしない展開へと発展して行く。
(おかしい・・・あの材料はなんなのだ・・・?)
クラリスの鍋を見れば、何を入れているのかわからないほどいろんな食材がぶつ切りにされて鍋に頬り込まれている。「聖女」とは思えないほどの豪快さだ。
イザベラを見れば、黒イモリの丸焼きを細かく叩いて粉にしたものを鍋に入れている。こちらは「魔女」の異名らしいと言えばらしいのだが・・・。
鍋はグツグツと音を立てて煮込まれていく。
クラリスもイザベラもものすごく怪しい調味料を大量にぶち込んで鍋をぐるぐるかき回している。だんだん怪しい匂いが立ち込めてくる。
クラリスはともかく、イザベラはもはや「魔女」の異名が異名ではなく単なる事実を指しているとしか思えないほど魔女っぽく鍋をかき混ぜている。時たまパラパラと何かを入れる仕草が悪い予感しか感じさせない。
(これは・・・想像以上にマズイのでは・・・)
ハーディは身の危険をビリビリと感じ始めていた。
脳内警報はレベルファイブの危険度で警報を鳴らし続けている。だが、ハーディにどちらがおいしいか食べてもらうために作っている二人に「食べない」とは伝えられない。その選択肢は選べない。
そして、ついにその時が来る。
そう、二人の料理が完成してしまったのである。
クラスの授業のはずだったが、先生も面白がったのか、なぜかハーディは椅子に座らされ、テーブルを前にしている。
「さあ、ハーディお待たせ! たくさん食べてね!」
クラリスがとびっきりの笑顔で煮込んだ何かを木皿に持って目の前に置いてくれる。
想像だにしない色味の料理だ。匂いは・・・決して匂ってはいけないとハーディのカンが告げていた!
「ハーディ? 私の料理、お腹いっぱい食べたいわよね?」
イザベラがこれまた「わかってるわよね?」みたいな圧力を感じる笑顔でハーディの前に料理を置く。色味、匂い、共にクラリスの料理に勝るとも劣らない危険度を感じる。ハーディの脳内警報がDANGER!DANGER!DANGER!とけたたましくフラッシュする。
木匙を握り、いざ食べようとするのだが、その勇気が、踏み出す一歩が出ない。
「ハーディ、どうしたの? 私の方から食べてね! 遠慮しなくていいからね、お代わりもいっぱいあるよ!」
ニコニコと話しかけてくるクラリス。でもクラリスは一度も鍋の中身を味見した形跡はない。
「ちょっと、何でクラリスの料理を先に食べるわけ? 私の方がおいしそうでしょ?遠慮しないでいっぱい食べていいのよ?ハーディ」
こちらもニコニコと話しかけてくるイザベラ。ゆらゆらとドリルヘアーが揺れる。そして横にいるクラリスを目で牽制する。
「え~、私の方が先に完成してハーディの前に準備したから、私の料理から先に食べてもらうよ!」
「そんな事関係ないでしょ。それはハーディが決めることだわ!」
ぷりぷりと言い返すクラリスにイザベラも一歩も引かない。
(これでは埒があかぬわ・・・)
「では、先に準備してくれたクラリスの料理を食べるよしよう。そしてすぐイザベラの料理も食べてみる事にするよ」
なるべく笑顔を浮かべてそう告げるハーディ。
「うん、どうぞ食べてみて!」
「ハーディが言うならそれでいいわ。本命は後から食べるものよ」
む~とお互いにガンを飛ばしあう二人。どっちも相当な美少女だけに、ガンのつけ合いもとてもカワイイ。
それにしても、これは一体何の料理何だろうか?
一瞬聞いてみようと思ったハーディだったが、自分のイメージとかけ離れた想像だにしない回答が来てしまうと心が折れかねないと料理名の確認は回避した。
そしてハーディはクラリスの料理を一口、木匙にすくって口に運んだ。
「ゴフゥッ!!」
強烈な殺傷力を放つ料理!ハーディは遠くなる意識を何とかつなぎとめる。
「ハ、ハーディ大丈夫!?」
クラリスもさすがにハーディの反応がおかしいと思ったのか心配になって声を掛ける。
(ぐぐっ・・・ここで吐き戻すわけにはいかん! クラリスを悲しませるわけには・・・)
そしてハーディはその対処法に「中和」を選択した。
口の中の料理は想像を超える抵抗を見せ、なかなかハーディが飲み込もうとしてもうまくいかない。そこで口の中にまだクラリスの料理が残っている状態でイザベラの料理を追加することを選択した。混ざって逆に口の中が落ち着けば飲み込める!そんな打算もあった。だが、ハーディはもう一つの可能性について考慮し切れなかった。そんな余裕がハーディに残っていなかったのだ。すなわち、「中和」ではなく「相乗」。
イザベラの料理を口にさらに放り込んだハーディ。そして口の中はその相乗効果で大変なことになった。
「ゴハァ!!」
キラキラキラ
決して出てはいけないモノがハーディの口から逆噴射する。
そしてそのまま椅子ごと後方へ大の字でぶっ倒れた。
「「ハ、ハーディ?」」
聖女と魔女が心配そうにハーディを覗き込むがハーディはピクリともしなかった。
無敵の勇者は、今ここに轟沈した。
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