第20話 ライバル現る!
お盆中はゲリラ雷雨が心配されているようです。
皆様もお出かけの際は十分にお気を付けください。
「勝負ですわ! ハーディ・デュランダル!」
紫色の髪をツインテールにしている少女が下校しようと校舎を出たハーディとクラリスの前に立ちはだかる。
「・・・ま、まさか、これは・・・」
ハーディは震えた。そう、自動で『竜の叡智』が発動したのだ。どの時代の知識かは不明ながら、金髪、もしくは紫髪のツインテール、そのツインテールを立巻きにした、まさに「ザ・ドリルヘアー」な少女は、正真正銘の令嬢である、という情報が頭に浮かんだのだ。
「ハーディ、どうしたの?」
かなりな美人がハーディを名指しで決闘などと申し込んできたのだ。クラリスも少しばかり気になっていた。
「うむ、我の知識ではあの髪色の者があの髪形をしている場合、正真正銘貴族の令嬢らしい。それも位の高い」
「えっ!そうなんだ」
どこにそんな知識を溜め込んでいるのか些か気にならないでもないが、目の前の美少女が貴族の令嬢となれば、あまり無下にも出来なくなる。なぜなら学校は国からの補助だけでなく、貴族の寄付金による運営という側面も持ち合わせているのである。
「で、その貴族の令嬢様が何でハーディに決闘を申し込むのかな?」
クラリスは小首を傾げて問う。
「聖女様には関係のない事ですわ!」
そう言ってハーディをビシッと指さす。
「さあ、決闘を受けるんですの?受けないんですの? まあ、受けないとなれば、このイザベラ・ヒップバーンから尻尾を撒いて逃げたという評判が立つでしょうけど」
ニヤリと笑みを浮かべながら今度は魔法の杖をハーディに向ける。
だいぶ挑発的な行為である。
「ヒップバーン・・・?」
ハーディは彼女の家名を聞いて、不覚にもお尻がバーンと爆発するイメージを想像してしまった。
「ブフッ!」
「あーーーーーーー!! 笑った!もしかして我が家名を笑ったでしょ!もう決闘よ!決闘しかないわ!」
キー!とテンションを急激に上げてしまったイザベラ。
「ああ、すまない。笑った事は謝らせてもらう。すまなかった。悪気はなかったんだ。でもっと決闘はやはり遠慮させてもらうよ。君のような美人を万が一にも傷つけてしまったら大変だしね」
にっこり笑うハーディ。
「び、美人・・・」
真っ赤になって両手で杖を握りしめ、あわあわするイザベラ。
「むう、ハーディちょっと鼻の下伸びてない?」
クラリスがほっぺを膨らませてハーディの左ひじあたりを抓る。
「いててっ! の、伸びてないよ、ほんとだよクラリス・・・」
ちょっと焦ったように答えるハーディ。
「ふーん」
ちっとも信用してませんよといった雰囲気でそっけなく答えるクラリス。
これはクラリスが拗ねている時の反応だ。こういう時のクラリスはそっけなく返事をするくせにものすごく構ってもらいたい時なのだ。
「それより、今日は久しぶりに一緒に帰れるんだし、帰ったらニーナのお手伝いを兼ねて夕食を作ろうか」
「うん!それいいね!ニーナも喜んでくれるかな」
ハーディと一緒に帰れるだけでなく、帰った後も一緒に作業できるとなって、すぐに上機嫌になるクラリス。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
我に返ったイザベラが怒鳴る。美人と褒められてドキドキしてしまったのだが、気づけばテキは聖女と家に帰ってからも一緒に料理しようなどとイチャイチャし出したのだ。
「決闘だって言ってるでしょ!決闘よ!」
「だから、遠慮しますって。美人が怪我したら大変だし」
「び、美人・・・」
「ふーん」
「・・・なんか、会話が堂々巡りしている気がしてきたぞ?」
ハーディがふと気づいたように苦笑いを浮かべる。
「君は何故我と決闘したいのだ? 理由がわからん」
またまた我に返ったイザベラが魔法の杖を向けて気炎を上げる。
「この学校で最強の魔術師は私よ!あなたより魔法が優れている事を決闘で証明して見せるわ!」
「じゃあ、君が最強で」
「いや、そういう事じゃなくて!」
ぷりぷりと怒るイザベラ。ハーディは最強がどうとかまったく興味がないので、イザベラが最強を名乗りたければどうぞ、といった感じであった。
「私が自分で最強最強って騒いでいても虚しいだけでしょ! アンタという最強を打倒してこそ最強を名乗れるんじゃないの!」
キーーーーーッといった感じで捲くし立てるイザベラ。
左右のドリルがユラユラ揺れる。
「というか、なぜ我を倒すと最強なのだ? 昔ならともかく」
ハーディは些か納得できないといった感じで首を傾げる。
「昔ってなによ?」
(いっけねぇ! ハーデス時代のイメージで喋ってしまった・・・、我、間違いなく最強だったからなぁ)
「ああ、前世?みたいな?」
「ププッ」
クラリスが思わず笑う。ハーディがまさかの冗談を言うとは思わなかったからだが、そのハーディがまさか本当の事を言っているとはさすがのクラリスにもわからない。
「ふ、ふざけるな! 炎よ!我が前に具現せよ!彼の敵を打ち滅ぼす槍となれ!<炎の槍>!」
ゴウッ!と炎で象られた槍がまっすぐハーディに向かってくる。
「おいおい、本当に魔法を打つのか・・・<火炎耐性>」
クラリスを巻き込まない様に、自分の前で打ち消す。
「あまり無茶しないでくれるか・・・?」
クラリスを離れた場所に移動して待つように伝えるハーディ。
どうにもイザベラという女は相手をしないと引かないようだと判断したようだ。
「ふん、やっとその気になった様ね。いいわ、私の実力見せてあげる!」
杖を振り上げ、呪文の準備を始めるイザベラ。
どうにも厄介な事になったとハーディは顔を顰めるが、この場を納めるための戦略を練るのだった。
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