第9話 クラリス
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「バブーーーーーーー♡」
なぜかハーディは赤ん坊に腰の部分をがっちり掴まれ、引っつかれていた。
「あらあら、クラリスちゃんはハーディちゃんが大好きなのね~」
クラリスの乳母であるニーナがニコニコと満面の笑みでハーディたちを見ている。
どうやら助けてはもらえないようだ。
「バブッ♡」
ものすごい笑顔を浮かべながらハーディにひしっと抱きつくクラリス。
ハーディにはクラリスが何を気に入って引っついてきているのか全く理解できない。
(コヤツ、なぜ我に毎回抱きついて離れないのか!)
ハーディは辟易していた。
最近、ハイハイできるようになったクラリスは、ニーナの手から脱出するべく、抱かれているとイヤイヤして降ろすようにせがんでいるようだ。
ニーナが「しかたないわねぇ」なんて言いながらクラリスを床に降ろすと、高速ハイハイでハーディに突撃してくる。
しかもクラリス、ハーディが隣の部屋にいたとしても、なぜかハーディがどこにいるのかわかるらしく、ハーディに突撃してくる。そして腰あたりにヒシッ!と抱きついてくる。
「バブッ♡」
そしてクラリスは一度抱きつくとなかなかハーディを離そうとしない。そして顔をグリグリと押し付けてくる。
「バブバブゥ♡」
(コ、コヤツ一体何なのだ・・・(汗))
さすがにハーディも抱きつかれたままじっとしているわけにもいかず、かといってクラリスに乱暴なこともできない。そういうわけで、とりあえずハーディもハイハイしてクラリスを引き離そうと試みる。
だが、ハーディがハイハイして移動しても、クラリスは全くハーディを離すことなく、ひしっと抱きついたまま離れない。
(ぬおーーーーー!!)
ハーディは身体強化して超高速ハイハイで振りほどこうとする!
だがしかし! クラリスは離れない! クラリスは身体強化など使えないはずなのに、信じられないパワーである。
(ど、どうなっておる!?)
部屋の中をぐるぐる回ってもまるっきり離れないクラリス。
廊下に出て長めの直線で超加速を行う。
(スーパーハイハイモード発動!!)
シャカシャカシャカシャカ!
「キャーーーーーー!」
たまたま廊下を清掃していた若手のシスターがあまりのスピードでハイハイしながら横をぶっ飛んで行くハーディを見てびっくりしたのかバケツをひっくり返す。
「キャッキャッ! キャッキャッ!」
超高速ハイハイでぶっ飛ばしているのでクラリスは空中に浮いている状態だ。それでもハーディにひしっと抱きついて離れない。そして高速ハイハイがお気に入りなのか喜んでいるようだ。
すっかり魔力が切れてグッタリしてしまうハーディ。
(む、ムリだ・・・)
だが、クラリスのハーディ愛?はまだ終わらない。
「は~い、クラリスちゃん、おっぱいの時間ですよ~」
ニーナがご飯の時間になったのかクラリスを探しに来た。
「あ、クラリスここにいたのね。またハーディちゃんに抱きついちゃって。本当にクラリスはハーディちゃんが大好きね~」
ニコニコしながらクラリスを抱きかかえるニーナ。
だが、クラリスはハーディを離さない。
ブラーン
「あらあら~、ハーディちゃんまで付いてきちゃったの~?」
クラリスがハーディを離さないので抱きかかえられて宙に浮いたクラリスとともにハーディも持ち上げられる。
(ついてきたも何も、クラリスが我を離さないからどうにもならんではないか・・・)
後日、ハーディは考えた。
(クラリスは一度抱きつくと本当に離さない。シャレじゃなく本当に離さないからな)
腕組して胡坐を組んでまるでおっさんのように唸っている。
(そうだっ!)
左手の平に右拳をパチンと当ててグッドアイデアを閃く。実におっさん臭い所作である。
(一度抱きつかれると離してくれないわけだから、抱きつかれなければよいのだ!)
実に当たり前のことを真面目に考えるハーディ。
(むっ! 早速来たな)
ふと見るとクラリスが満面の笑顔で高速ハイハイしてこちらへ向かってくる。
「バブーーーーー♡」
(よし! 身体強化! スーパーハイハイモード発動!)
ハーディはクラリスに背を向けるようにダッシュで逃げる。
追うクラリス。
また大聖堂の廊下を超高速ハイハイで通り過ぎるハーディ。
「きゃあ!」
またまた掃除中だった若いシスターがびっくりしてバケツをひっくり返しそうになるが、今度は耐えきった。と思いきや、そのあとすぐ「バブーーーー♡」と嬉しそうにこれまた高速ハイハイでハーディを追うクラリスにびっくりしてバケツをひっくり返しずぶ濡れになる。
(むうっ! 追いつかれないが、まだ追ってきおるか! ならば次の直角コーナーで勝負!)
直線の長い廊下から90度折れ曲がって大聖堂のホールへ向かう角でクラリスを引き離すべく加速するハーディ!
(必殺! ハイハイドリフト!)
荷重移動で体を大きく傾け、さらに高速で足をハイハイさせカーブで加速しながら曲がって行く。
(ふははっ! さらばクラリス!)
若干最初の目的を忘れかけているハーディだったが、廊下の角を曲がった先にいたタニアにあっさり捕まる。
「何廊下で暴れてるんだい、ハーディ! まったくわんぱく赤ちゃんだね!」
超高速でハイハイしていたはずなのに、ひょいっと捕まえられて持ち上げられるハーディ。
そしてクラリスがすぐさま追いつき、「バブバブーーーー♡」と抱きついてくる。
「あらあら、クラリスちゃんはハーディが大好きなんだね~」
「バブゥ♡」
ハーディに抱きついているクラリスを嬉しそうに見つめるタニア。
(ダメだこりゃ・・・、誰しもがクラリスの味方だ。我の味方は誰もいないのか・・・)
ハーディはクラリスについて、いろいろ諦めることにした。
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(自分で愛称呼んでます(苦笑))
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