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プロローグ
本作中に、どこかで聞いたような名前のキャラが登場しますが、いずれもご本人からご了承いただいています。
ただし、名前はお借りしましたが、その人物像については、全て作者の創作です。
というわけで。
この物語は、フィクションです。
実在の人物・組織・事件とは関係ありません。ないったらないんです。
水飲み場で、七男君が顔を洗ってる。
顔っていうか、頭から水をかぶってる感じ。
いつもの風景。
びしょ濡れの髪から、犬みたいに顔を振って飛沫を飛ばす。
その後小さなハンドタオルで拭くのもいつものこと。
私が、持っているのにタオルを渡せないのも、いつものこと…。
「明日翔、せっかくタオル持って来たのなら、さっさと渡さないと」
「う、うん…。わかってる。わかってるんだけど…」
私が勇気を出さないと、何も変わらない。
悪いのは、私。勇気のない私。
いつも一所懸命な七男君に想いを伝えられない、私。