2話 裏側
―――翌日。晴人は家族と朝食を食べながらテレビのニュースを見ていると、
「神奈川県のとある住宅街の廃墟が火災で全焼しました。火災が起きた現場で、身元不明の焼死体が発見されました。警察や消防などの調べによると、出火元と思われる場所の様子から、何者かが放火をした線で調査を進めているもようです」
晴人の父が、
「放火かぁ。世の中物騒になったなぁ」
母も
「大分近所だし怖いね~」
と言いながら食器を片付けていた。その中で晴人は黙り深刻そうな顔をして、
「ああ。またか…」
と呟いた。
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朝食を食べ終わり、自転車で登校していると、前方に顔見知りの女子を見つけた。晴人は急いでペダルをこぎながら
「おーい。白崎さーん」
と追いかけた。
冬花は振り返り
「あっ。霧生君おはよー」
「うん。おはよー」
冬花に追いついた晴人は、自転車を降り並んで歩き始めた。
「そういえば白崎さん」
「なに?」
「今朝のニュース見た?」
「うん。火事のことでしょ?結構近かったよねー。放火か~なんか恐いね~」
「犯人も捕まってないみたいだし、あんまり夜遅くまで出歩かない方がいいかもしれないな」
「そうだねー。気を付けないとだめねー色々…」
そんな話をしながら2年C組の教室に着いた。
晴人は授業中に斜め前くらいから視線を感じたのでふと見てみると、こっちを見ていたやつがいた。
『なにか珍しいものでもあるのか?』
と思い、視線を追ってみた。
『どうやら俺の隣の席の白崎さんを見ているらしいな』
次の授業時間にも似たような視線が何度かあった
『白崎さんは、人気あるんだなー。まあ、人見知りしないふんわりとした明るい雰囲気で笑顔で話しかけられたら…わかる気がする。』
と考えていた。
―――放課後。晴人は本田先生の手伝いで、クラス全員分の『課題ノート』を職員室の本田先生の机上に置いた。
「いやー、助かったよー。先生1人じゃこの量は厳しかったよー。サンキューな。」
「いえ」
と晴人はあっさり返した。
「霧生。クラスになじめたか?」
「はい。おかげさまで」
「そうか。よかったなー」
本田先生は安心したようで「そっか、そっかー」と頷いている。晴人は、壁にかけてある時計を見て
「先生、今日はこれで」
「おっ、そっか。じゃあなー」
「はい。さよならー」
と挨拶を交わし晴人は教室に戻るとまだ何人か生徒が残ってなにやらゲームなどをして盛り上がっている。
――5時40分。教室に戻った晴人は、今日も冬花と授業や、部活動の話をしていた。冬花は
「あっ。あたしそろそろ先帰るねー」
晴人は、
「うん。今日も部活?」
「ううん。よっちゃん家に行くのー」
「よっちゃんって?」
「ほらーあの廊下側の席の子だよ」
とその席に視線を向けた。
「そっかー。んじゃまた明日」
「うん。じゃあねー霧生君」
「ああそうだ白崎さん」
「なに?」
「あんまり夜遅くに一人で出歩かないようにした方がいいよ。最近物騒だし」
「うん。じゃあ気をつけるねー」
と二人は教室を出て、別れ際に手を振った。
―――PM8時33分。
1人で街を歩いている少女がいた。少女は時計を見ながら
「あー遅くなっちゃったなー。こんな暗い道は歩きたくないなぁ」
と呟きながら夜道を急いでいると、十字路の先でサーッと一つの人影が横切った。人影の動きがあまりにも不自然だったので少女は、人影の後を気付かれないように、後をついていった。少女がついた先は普通の1軒家だった。
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