第五章 濡れ衣の騎士団 前篇
長すぎたんで前篇後篇に分けた。反省も後悔もしていない。
ライトたちが目覚める前の日の深夜、ポートの街の役場を警備していた騎士の前に、水色の軍服のような服を着て、黒いマントを羽織った少年が近づいてくる。その立ち振る舞いは堂々としていて、本物の軍人を思わせた。
「ど、どうした?君、迷子かい?」
少年はその問いに応じることなく騎士に4枚の写真を差し出した。1枚は矢が刺さり、大剣で真っ二つにされ、ナイフで衣類をボロボロにされた老人の写真。残りの3枚は半径5メートルの泣きぼくろがあること以外はほぼ完壁なライト、ベルク、リーフの写真だ。
「こ、これは・・・!」
「どうもこうもないさ。殺人事件の被害者と、その犯人だ。こういうのを取り締まるのが騎士の仕事だろう?」
驚く騎士に、軍服の少年が何食わぬ顔で言った。少年は、最後にこう続けた。
「それに、何があっても『軍』が口をきいてやる。いいか、ライト、ベルク、リーフと名乗る3人組が来たら、身柄を拘束しろ。」
そう言って写真を置き、立ち去る少年の後ろ姿を、騎士はただ、見送ることしかできなかった。
♦♦♦
大森林で強敵、食人花を倒し、ポートの街にたどり着いたライトたちだったが、街の様子がどうもおかしい。人が誰もいないのだ。武具屋も、道具屋も、宿屋さえもしまっている。
「誰もいないね。」
ライトが呆然とつぶやいた。
「と、とにかく役場だ!こういう時は役場に行くんだ!」
落ち込むライトを、そして自分を励ますようにベルクが言った。
「うん。いい案だと思う。」
リーフも賛成し、町役場へ行ったのだが、そこにも人の姿はなく、3人は役場の中でしばし呆然としていたが、3人が探し求めていた『人』は意外な形で姿を現すこととなる。突然、足音やガチャガチャという鎧の音が聞こえ、音が消えたかと思えば鎧を身に着け、武器を構えた騎士たちに役場が包囲されていた。そして、その中から騎士たちのリーダー格と思われる騎士が前に出てきて、叫んだ。
「ライト!ベルク!リーフ!連続殺人犯の容疑で身柄を拘束させてもらう!」
「そ、そんな!僕たちはそんなことしていません!」
リーフが反論するが、騎士はそれがわかっていたかのように4枚の写真を見せた。
「この写真を見てもなお言い逃れする気か?」
しばしの沈黙が訪れ、
「僕たちに、」
「そんな泣きぼくろ」
「ついてねぇぇぇぇ!」
3人一斉に心の声を叫んだ。この勢いに騎士は若干気圧されながらも、
「だが、泣きぼくろを抜かせばほぼ同じだ!皆の者!突撃ッ!」
号令とともに、一斉に騎士団が襲い掛かったーーーーーーーーーーーーーー
<シールドスクエア>
前方を四連続で切り裂く。剣の軌跡が盾のように見えることからこの名がついた。