第三章 旅立ち
おじさん回です。
「・・・いないね。」
グレイスの家に向かったはいいものの、留守だったのだ。
「リーフ、ほかのところも行ってみようぜ。」
がっくりしながらベルクが提案するが、
「・・・全滅だね。」
他の友人、ボルト、マグナ、トヨの家も尋ねたが、留守だった。ベルクの提案は図らずも、空気を重苦しくしてしまう結果となった。その重苦しい空気に耐えかね、ライトが言った。
「たぶんあの4人、私たちよりも少し先に目覚めて、ほかの街に行ったんじゃない?」
「先に目覚めたのはいいとして、なんでほかの街に?」
リーフが疑問をぶつける。ライトもそこまでは考えてなかったようで、目を10秒ほど100メートル自由形させてから、震え声で言った。
「それはまぁ大寒波の事で助けを求めるとか?」
「「なるほど。」」
(案外納得されたー!)
この希望的観測をもとに、ベルクが提案する。
「ここは田舎の町だから、通路もあまり整備されてない。だからひとまずここから最寄りの町、ポートに行かないか?」
「うん、いい提案だと思う。」
リーフが賛成し、ライトもうなずく。そして意見はまとまり、大森林に行こうととした矢先、後ろから大きな声がかけられた。
「ちょいと待ったぁ!」
「「「ひいい!」」」
声の主は、小太りの中年男性で、ライトたちには見知った顔だった。
「あ、武器屋の。」
「ああ、ウェイポンだよ。君たち、友達探しに行くのかい?優しいねぇ。感心感心!」
ウェイポンは言いながらうんうんとうなずき、こう続けた。
「だが丸腰じゃあ危険だ。この三年間、大森林の動物はかなり凶暴化しててな。まぁ飯が食えなくなったから無理もないか。というわけで、何か身を守るものがないとだめだ。というわけで、ベルク君にはこれ、リーフ君にはこれ、ライトちゃんにはこれね。」
ウェイポンはベルクには大剣、リーフには弓矢、ライトにはダガーをそれぞれ渡した。このために造ったのだろうか、それぞれが得意とする武器であり、また、手にもなじんだ。
「「「ありがとうございます!」」」
「うんうん。お礼が言えるのはいいことだ。じゃあ、気をつけていって来いよ!」
「「「はい!」」」
そして3人は、ウェイポンの激励を背中に受け、3人は大森林へと旅立った。
この話に出てきたウェイポンさん。個人的には好きなキャラです。子供好きの優しいおじちゃんみたいな。