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二人の美女が戦っていますが、全然シリアス感足りませんでした

 タリスと呼ばれた赤髪騎士の初撃をさらりと避けるアイに応戦しろと指示を出す。

 ただし、状況が分かるまで致命傷を与えないようにと追加で伝える。


 「正当防衛では?」

 とアイは不満げに言うが、過剰防衛になりかねないから無視した。


 アイは鋭い突きや薙ぎ払う槍術を上手く躱し続けているが、徒手空拳では流石に分が悪いらしくタリスが持つ槍と同じものを構築させた。


 実は道中、不用意に目立たぬよう聖剣と銃火器はNGを出していた。もし武器が必要なら剣や槍など中世時代にありそうな武器のみ許可していたが、早速功を奏したようで良かった。


 「槍を召喚するとは、変わった魔法を使うのだな。」

 アイの出した槍を見据えて淡々と語りながら、攻撃を続けるタリス。

 武器を召喚するのも目立つのか。後でメモしておこう。


 「本当は、こんなまどろっこしい戦いはしたく無いのですがマスターの頭が固いのです。」

 あいつ、戦いながら俺の文句言っていないか。言っているよね。


 アイはこの数日で変わり始めている。

 当初、俺の質問に答えるだけだったが、俺の記憶へ昼夜問わずアクセスを許可した結果、28年分のデータを元に人格を構築し始めている。


 ただし、俺を守るという命題オーダーは決して変更されることは無いらしい。

 受け答えには人間味を帯び始めているのは嬉しいが、俺の読んだ本や映画等に偏りがあるせいか、性格が期待値よりも斜め上を行っている気がしてならない。


 「好みの戦い方とは、異なるのですが命令なので仕方ありません。せっかくなので貴方の槍術を学ばせていただきます。」


 好みの戦い方と聞いて、爆発は芸術だ。と俺の記憶へアクセスしながら呟いていたアイの姿を思い出す。それ逆だから。つーか、俺の記憶のどこにアクセスしてその発言をしたのか不安で仕方ない。


 「この状況で槍術を学ぶだと。貴様、戦姫と呼ばれた私を前にして随分と余裕だな。」

 タリスに若干の怒気が混じる。その時、彼女の瞳が先ほどとは異なり蛇の眼のように変化していたことに気づいた。そして彼女の攻撃が徐々に速度が上がっているのは間違いない。


 「まさか操られている人間程度に何故本気を出す必要があるのでしょうか。」

 攻撃を捌き、あるいは避けつつ時々返し技で応戦しながら、丁寧に挑発をするアイ。


 「ほう。この龍眼を見て動じないとはな。貴様とは本気で決着を着けねばなるまい。

  オイ、そこのオマエ! 私の操られている状況を何とかできないか!? 私はコイツと本気で戦いたい!」


 あの目は龍眼と呼ぶのか。効果は不明だが少なくとも龍眼になった彼女の動きは明らかに変わっている。

 しかし、殺せと言ったり、何とかしろと言ったり……。しかも操られている状況を打破したら本気で決着つけるとか無茶苦茶だ。

 

 「マスター私からもお願いします。彼女の本気の槍術を学ばせてください。」


 お前も同調するんじゃない。


しかも二人とも先ほどから攻防がカンフー映画に出てくるような達人のように凄まじい。アイがタリスさん相手に槍術を学習しているのは明らかだ。最初は避けるだけだったはずなのに既にタリスさんへ応戦する割合が徐々に増している。


 口角を上げ嬉々として戦っている修羅が二人います。マジ帰りたい。


 少し離れたところで放置された盗賊達がポカンとしている。なんか気の毒だ。


 美女が二人、苛烈な攻防を繰り広げているが、致命傷こそどちらも無い。ただ、一撃必死の攻防に見て取れる。

 アイさん、俺の致命傷を与えるなって命令を忘れてないか?


 何となくアクション映画のようなシーンを見ていたが、いつまでもこの状況という理由にはいかない。あまり関わりたくなかったが、アイが暴走してうっかりトドメを刺す前に諦めてこちらも動くことにする。


 俺にはVRMMOを利用していた時のUIが適用されており、人や物を任意でARポップで確認することができる。

 タリスと呼ばれた彼女をARポップで確認すると「種族:亜人龍族 名前:タリス 状態:ギアス」と表示されていた。先ずは現状打破からか出来ることを試してみる。


 「アイ、彼女の状態異常を把握する事は可能か。」


 アイは華麗に槍で捌きながら、やはり淡々と答える。

 「イエス。マスター。解析の使用許可を頂ければ直ぐにでも。」

 「許可する。」


 一瞬、アイの口元が僅かに動く。しかし、それ以外に変化は見受けられない。

 「マスター解析の正常完了を確認しました。共有します。」

 アイからそれぞれ「タリス」、「ギアス」とタイトルのついたメッセージが二通届く。


 ギアスのメッセージを開くと見た事の無い文字列がメッセージウィンドウに一杯におびただしく並ぶ。

 それは、一つ一つが初めてみる文字で理解できるはずが無い。その理解できるはずが無い文字列を俺は見た瞬間全て分かってしまった。まるで乾いた大地へ浸透していく水のように、一切の抵抗を受ける事なく知識が俺の中に溶け込んでいく。

 同時にシステムログに反応がある。


 -ユニークスキル「術式化」によりギアスの術式化に成功しました。魔法欄より使用可能です。


 何か覚えたらしい。拒否権は無いのか。



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