人としての生活
1人目の女の子は化け物のだった。
彼女は無敵で不死だった。現代でも名前を出せば知らぬ者はいないと言えるほどに有名な妖怪である。
そして、今の彼女はそこそこの刺激と飽きない主人との生活を堪能している。時に身内のバーで酒を飲み、時に主人の夢を聞く。特別幸せというわけではないが化け物の人生としては非常に充実した生活を送っている。今回話すはその化け物の"メリーさん"の人生の前半。
「はぁ...」
窓の外を見て黄昏ている少女、メリーは今の生活に飽きを感じていた。
別に今の生活に不満があるわけではない。貴族の家に生まれ、衣食住どれを取っても最高級とも言えるほどの生活で両親からも可愛がられ、周りから見れば人生の勝利者と言われるような環境だった。
しかし、彼女はそのような生活より自由を求めていた。毎日英才教育だの貴族のマナーだのを詰め込まれた毎日にうんざりしていた。おまけに彼女自身一度教えてもらえば大抵のことはうまくできてしまう天才肌な上に何か没頭できる趣味もない。
彼女の求めている者は今のこの生活にはない。今窓を見ているのだってどこかの魔法使いでも来て自分を攫ってくれないかという希望というよりは妄想に近い願いをしていたからである。
「お嬢様。そろそろお時間でございます」
「わかってるわよ」
不機嫌そうな口調で召使へ言葉を返す彼女はいつもの如く気怠そうな目をしてた。