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その三
非戦闘画面、いわゆる拠点に戻ってきた俺は、もはや反射的に使用キャラのステータス画面を開いていた。
はるか昔はまだこの画面でもやることがあった。経験値のステータス振り分けや装備の変更、あるいはキャラの変更なんかもしてた。
今やこの一番使い勝手がいいキャラ固定で、全ステータス上限値、装備も最強の物に最強のカスタマイズを施しているからやることがない。本当に何もない。
ただ、習慣として開くだけの画面と化している。
この最強の相棒でもってすれば、最高難度の最難関ステージであろうとボタン連打で勝てちゃう。戦略もクソもあったもんじゃない。
そんな意義なき作業を、しかし俺はやり続けている。
なぜか。
簡単な話だ。そうすることで、爽快感を得られるから。
敵をバッサバッサと薙ぎ倒していく。苦戦する方が難しい。
俺は強い。このゲームの中では、負けることなどまずない。
そうした爽快感を味わうために、俺はこのゲームをやっているんだ。