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03 王都ローマリア近郊:レスター孤児院の村の丘

 

 ■コックリの視点



 抜けるような青さで広がる空には、綿花のような白い綿雲が流れて行く。

 緑の野原にいくつもの影を落としながら、東へ東へと進んで行く。

 よく見ると、雲は白綿以外に灰色の綿雲もある。局地的に、急に降るかもしれないな……



 緩やかに起伏する大地には美しい緑の牧草が広がり、ポプラやドングリの森が濃い緑のアクセントをつける。道は森を避け、丘と丘とをつなぐようにどこまでも続いている。道のところどころに生えるポプラの樹は、まるで村までの距離を旅人に教えているかのようだ。



「素敵な景色……ここで……コックリは育ったのね……」 シスは目を細めて景色を見ながら言った 「どんな子供だったの?」

「んー。悪ガキだったよ」

「うふふ、想像がつくわ」



 だろうなー。

 豊かな牧草の丘のところどころから、巨石が飛び出ている。緑の絨毯に置かれたモニュメントのようだ。



 数キロ先、一際大きな丘の上にポプラやドングリの樹が茂っている。その樹々の合間から石造りの家々が顔を見せ、中心部からはとんがり屋根の尖塔が、樹々よりも頭一つ飛び出ている。

 俺の育った、レスター孤児修道院だ。この村の姿を見るのは、実に一年半ぶりくらいかな? シスと出会う前だ。



「コックリ、このひとたちどうするの?」



 シスが野原に折り重なるようにして気絶している盗賊のメンバーたちを見て言った。

 街道で見かけたシスを慰みものにしてから売り飛ばそうとしていたので、手加減せずにしばき倒した。おそらく三日は昏倒しているだろう。神殿騎士の恋人に手を出そうとは良い度胸だ。



「んー、二日にいっぺん王都の警備兵が巡回にくるから、その時しょっぴくだろ」

「女の人だけ逃げちゃったね」

「あー、逃げ足早かったなー」



 俺は武器を取り上げて一人一人手足を縄で縛ると巨石に括り付けた。そして盗賊です、と岩に彫っておく。王都近くは警備兵のおかげで魔物も肉食獣も少ないから、まあ大丈夫だろう。



 俺は、エリーゼの鼻を撫でた後、苦労して上ってきた長い長いなだらかな丘を下りはじめた。



「おー、放牧の時間か……変わらないな」



 よく見ると村の先にある丘に、小さな小さな茶色い点がポツポツと見える。ちょっとだけ動いているな……。牛だ。この時間は牛の放牧時間だ。村ではさらに羊も飼育していて、乳製品や毛糸の生産などでわずかながらもお金を稼いでいる。



 ただ、一番お金を稼げる方法は……修道院だ……。まあ、それはおいおい話すとして……



「コックリ……村の丘の麓にあるアレ……何かしら? だ、大蛇!?」

「んー? ああ石垣だよ」



 村のある丘を囲むように、蛇のような線が延びている。

 あれは畑を耕したときに出てきた石を活用した石垣で、それが延々と丘の裏側まで続いている。猪などから作物を守るために、かつ不要な石を再利用するために作ったものだ。



 そういえば、あの石垣に上って、追いかけっこして怒られたなー。せっかく作った石垣を一部壊したこともあったし……でも、のびのび育ったよ。



「うふふ、ここなら子供たちものびのび育ちそうよね。私、好き」

「ふふ、そうだな」



 のびのびし過ぎて、こんな風になっちまったのかもなー。まあ悪くはない……よな?

 丘の坂道を下って行くと、その中腹に納屋付きの小さな家が建っている。放牧の際に泊まる簡易施設だ。今は誰もいないようだな。



 丘を下り蛇行する道を進んで行くと……おー、小さな丘を二つ越えたくらいのところに、人の姿がある。誰かがこちらに向かってやってくるのが見えてきた。荷物を積んだロバを連れて歩いてくるな……あれは……



「おおー、ジョーおじさんだ」

「え? ジョーおじさん?」

「ああ。村で作った物を買い取っていく行商のおじさんだ。はー、久しぶりだなー」



 シスはフワッと、音も立てずにエリーゼの背から降りると、俺の少し後ろを歩き始めた。体半分以上を俺の陰に入って隠し、サーコートの一部をキュッと握りしめている。



「怖くないよ?」

「…………」



 相手が男性、特に中年男性だと、少し緊張するようだ。まあ、今まで押し寄せてきた人の中で、おじさんたちが一番多く「もっと顔を見せてくれ!」と言って迫ってきたからなあ。ギラギラした目が怖かったようだ。



 ジョーおじさんも俺の顔が見える距離になったようで、向こうで「おおぉ、コークリットか!?」という声が聞こえてきた。



「お久しぶりです、ジョーおじさん」

「おお! コークリット! 久しぶりだな、噂はもう至るところで聞いておるよ!」

「ありがとうございます。おじさんも元気そうで何よりです」

「ほっほっほ。あの悪ガキがなあ……修道院に行くのかね?」

「ええ、法王庁へ行く前に寄ろうと思いましてね」

「おお、皆喜ぶぞ」

「そうだ、紹介します。こちらはシスティーナ。俺の恋人です」

「何!? 恋人!?」



 どうやらシスは、俺の真後ろに隠れていたらしく、ジョーおじさんはまったくシスに気が付かなかったようだ。シスは俺の後ろからオズオズと出てくると、緊張しながらもあいさつをした。



「は……初めまして……システィーナと申します。コークリット様と旅をさせていただいております」



 ジョーおじさんはただただ目を丸くして……口をポカンと開けて、ずーっとシスを見ていた。シスはずーっと見られていて居たたまれない心持ちになったようだが、俺の後ろに隠れることなく頑張っておじさんの前で待っていた。



「おじさん、しっかり!」

「おっおおぉ! おおおっ! おおおっ!」

「俺の恋人です。システィーナと言います」

「おおぉっ! そうか、そうかあああ! はあぁっ! こりゃあ、おったまげた! 何と……何という別嬪さんじゃあっ! かっはああ!」



 ジョーおじさんはただただびっくりしていた。大丈夫かな、過呼吸気味だ。ぜひとも握手してくれということで、シスの手をぎゅーっと握手していたな。おじさん喜んでたなあ……次来た時、村の産物を高く買って行ってくれな。



 おじさんと別れた俺たちは再び村へ向かって進みはじめると、シスは大きな息を吐き出した。



「はあぁ~……き、緊張した~」

「おー、緊張するようなおじさんでもないだろう」

「緊張するよ~。コックリがお世話になった方でしょう?」

「んー、どうかな?」

「きっとお世話になってるよ。子供の頃だと覚えてないんだよ」

「あー、そうかもな」



 などと話しながら花が咲く野原の中の道を進む。

 道の脇に生えるドングリの樹の枝にリスがいて、実をかじっていた。のどかだよなー。



「~~~♪」



 シスは俺の横に並んで歩きながら、いつしか歌を歌い始めた。

 癒される美しいメロディ……。この風景によく合う……ああ本当に透き通る良い声だ。耳に……頭に……心に染み込んでくる……エルフの里に伝わる歌なんだろう……少しだけ、切なくなる……



「~~~♪」



 良い声だ……本当に心に響く……美しい歌声……



 俺は耳を傾けながら歩いていると、おお何と……

 シスの歌に引き寄せられるように、ポプラの樹に留まっていた小鳥が飛んで来てシスの細く白い指に留まった……! ぉぉ、もう一羽飛んで来て腕に……! ぉ、ぉぉぉお……!



「ふふふ……」



 シスは小鳥の頭をなで、歌いながら笑みをこぼしている。



 何と癒される笑顔なのだろうか……

 何と愛らしい……女性としての徳に満ちた柔らかい笑顔なのだろうか……



 雪のように美しい白い肌に、ピンク色のふっくらとした唇、優しげな切れ長の目……

 やはり妖精……なんだな……

 森の妖精……

 現実離れした、美しい女性……



 俺は思わずシスに見惚れていると……

 シスは顔を赤くして小鳥をヒョイッと宙へ放ったので、あれっと思っていたら……どうやら俺が無意識のうちにシスの手を取っていたからだった。おお……何てこった、俺まで鳥になって彼女の手に留まっていた? 俺の場合は猛禽類か……? 果樹の枝に留まる猛禽類……



 おかしいな……

 俺は神殿騎士としてチャームの魔法などにかかりにくいんだが……ただの歌だよな。なぜだ……? ふと気がつくと、シスはプゥッと頬を膨らませて上目遣いに俺を睨みつけていた。唇がタコのようだ。それでも信じられないくらい可愛らしい。



「もう! コックリ! もうっ! もうっ!」

「あ……ゴメンな」



 俺はシスの手を離した。



「~~っっ!?」



 シスは俺が手を離したら離したで、愕然とした表情になった……一年一緒にいたけど、そんな顔もするんだ? 愕然とした顔もまた可愛いな。



 シスは…………

 ピンク色のふっくらとした唇を噛んで、伏し目がちに俺を見る。ん?



「どうした?」

「~~~~っ」



 と声にならない声を出している。

 手をモジモジさせて……俺の手と……自分の手をチラチラと見ている。



 くくく、なるほど……可愛いな。



「ゴメン。手、痛かった?」

「~~~~っ」



 俺はわざととぼけると、彼女はさらにもどかしそうな表情で手をモジモジさせた。くくく。



「小鳥、可愛かったね」 俺は飛んで行った小鳥が留まれるよう、シスの目の前に指を差し出した。「俺にも留まらないかなー」

「~~~~っ」



 シスは大きな目をさらに大きくして、目の前に差し出された指を見つめる。くくく。



 彼女が怒った理由は……

 俺が突然手を握ったからではなく……

 俺が手を握りながら別のことを考えていたためだ……



 別のことを考えながら手をつながないでほしい……

 自分に意識を向けてほしい……



 彼女はもう一度手をつなぎたそうだ……

 しかし自分からはつなげないらしく……もう、心底もどかしそうな表情で……チラチラと上目遣いで俺を見て、気づいてほしいオーラを出してきた。くくく。



 しかし俺は!



「さ、行こっかー」



 シスに背を向けてなだらかな道を歩き始めようとすると……



「~~~~~~っっっっ!!!」



 シスが今にも泣き出しそうな顔で、今日何度目かの声にならない声を発した。

 くくく、シスはその場で全身を硬直させて……ショックで動けないようだ。ちょっと涙目で、今にも泣きだしそうだ。美しいのに表情豊かなエルフは何かいいな……可愛い、本当に可愛い。うう~ん、俺……こんなにイジワルだったか?



 俺は立ち止まると振り返った。



「ふふ、おいで……」 俺は手を差し伸べながら言った。 「実は手をつないで歩きたかったんだ。ちょっと恥ずかしくて……でもやっぱり手をつなぎたいや」

「!!!」



 そう言うと、シスはとたんに華やかな顔になった。

 急に陽が射したような輝く笑顔に……次の瞬間、彼女は俺のところまで飛んでくると俺の手をつかんだ。くくく、本当にまっすぐな性格だな。俺の気が変わらないうちに、と思ったのかな?



 俺とシスは手をつなぎながら歩き出した。

 そういえば、手をつないで歩くなんて初めてだな。いつもシスはエリーゼに乗せて歩いているし……。ああ、手甲をしていなければもっと良かったのにな。



「うふふふ……」



 それでもシスは嬉しそうに笑う。

 俺と手をつないだまま、道の端に転がる巨石に飛び乗っては降りて飛び乗っては降りて……ふふ嬉しくて仕方ないみたいだ……天真爛漫だよな……。彼女は四百歳を越えているのだが、精神年齢は俺より下の部分があるようで……見た目が十代後半から二十代前半なので、まあ精神年齢と合っているかな。



 手をつないでしばらくすると、村のある大きな丘の麓までやってきた。

 目の前には俺の腰の高さまである石垣が、牧草の向こうまで延々と続いている。ここからが村の敷地ということだ。石垣は道を両側から挟むようになだらかな丘の上へと上っていく。



「あと一~二キロも行けば修道院だ」

「うん! ん……う~ん」

「んー、どうした?」

「ん……着いたら……手を……」



 くくく、そんなことか。

 俺は、いつでもつなげるよ、と言うとシスは絶対だよ、と言って上目遣いで見た。可愛いな……。村の入り口、石垣が道を挟み始める場所に大きなクスノキが生えている。こんもりとした樹形の大木だ。村の入り口を伝える目印だ。



 よくこの樹に登ったなー。おー、道の上や石垣の上に、まだ青い小さな実がパラパラと落ちているな。俺たちがそのクスノキの下を通ると、木陰が涼しく感じられて……また樹の枝がサワサワと涼しげに音を奏でた。いつも聞いていた音だ。



「うふふ……ええ、分かったわ……ふふふ」

「ん? どうしたの?」



 シスが突然笑いながら返答したので、俺はいぶかしげに彼女を見た。シスは目を細めて俺に笑みを向けたので、心臓がドキリとした。とても、とても美しかったからだ。



「うふふ……お帰りなさいって……」

「え? 誰が?」

「クスノキの精が……」

「え? 本当!?」



 俺はクスノキを見上げた。

 クスノキは大きく腕を伸ばした枝葉をサワサワと揺らしている。太陽の光を透かしてキラキラと輝いている。シスは森の妖精エルフだから、樹木に宿る心、精霊ドライアードと意思疏通できるんだ。



「ただいま! こちらは俺の恋人のシスティーナ」



 俺が彼女を紹介すると……



「……え……うふふ……ありがとう……」

「何だって?」

「ふふ……私を……幸せにして上げてねって……」

「おお、もちろんだ! じゃあやっぱり押しかけムリエルって皆に紹介するよ!」

「ダダダッダメッ!! ダメッ!! ダメッ!!」



 シスは真っ赤になりながら、俺の手を引っ張ってクスノキから歩き出す。くくく。



 俺たちはクスノキを後に歩き始めた。

 石垣の道を歩んで左右を見ると、斜面のはるか先まで、耕作地になっている。ところどころでポプラの樹が列になって生えているのは、そこから別の作物のエリアという印だ。ああ、はるか先にけし粒くらいの大きさの農夫が数人見えるが、ここで呼び掛けても聞こえないだろうな。



「はわぁ、一つ目の家発見!」

「ふふ」



 緩やかに上る丘の中腹には石造りの家がところどころに建っていて、風よけのドングリの樹に守られている。主に牛や羊を世話する者の家で、頂上の村に入りきらないからだ。



「はわあぁ……可愛い家……」

「ふふ」



 家は石造りだが、レンガではない。草原から飛び出していた巨石を、できるだけ四角く削って積み重ねていった石造りの家だ。レンガとは違って大きさが異なるため独特のデコボコ感があって、温かみを感じさせてくれる。屋根部分が大きい平屋建てで、屋根に大きな煙突と屋根裏部屋用の窓がついているのが、シスにとっては「可愛い家」のようだ。



「よくこの屋根に登ったなー。雪が降った日は特に楽しかった。窓から滑り降りてさ」

「うふふ、屋根から滑り降りたらダメだし」



 シスは俺が遊んでいた時の様子を想い描いているのか、目を細めて屋根を見つめている。そして具体的に想像できたのか、ニコニコ笑い始めた。



 俺たちは再びなだらかな丘を上り始めた。

 ふと気づくと、道と耕作地を隔てる石垣の石のわずかな隙間から草が生え、花が咲いている。よくぞ出芽したもんだと思っていると、踏み固められた道にも雑草がところどころ生えていて力強く育っている。苦境にあっても逞しく健やかに育つ植物を見ると、思わず感心してしまう。シスのまっすぐな性格は、ここらへんからきているのかな?



「わあぁ~、凄いジャガイモ畑……」



 丘の斜面一面にジャガイモの葉が青々と茂っている。うん、今年も良いジャガイモが食べられそうだ。子供の頃は主菜がジャガイモで、俺の体はジャガイモで作られたようなモノかもしれないな。



「はぁ、ふぅ」



 シスが息切れし始めた。額に汗をかいている。

 ああ陽射しが強くて暑い。ジリジリと刺すような陽射しだ。長い長いなだらかな坂を上っていることも手伝って、体が上気して余計暑く感じるのだろう。俺は霊力によって五感を強化しているので、暑くても寒くても苦にはならないのだけれど……シスが。



「シス、エリーゼに乗れば?」

「はぁ、ふぅ、大丈夫。歩く。はぁ、ふぅ」



 シスの顔が上気して、色っぽい。

 健康的できめ細かい肌に、珠のような汗が浮かぶ。ピンク色にプックリと膨らむ口を小さく開け、甘い吐息を漏らす。俺はそんな彼女を見て……光る海を思い出した。初めてシスを抱いた時も、彼女の体は熱く上気して、甘い吐息を漏らして……俺の腕の中で、何度も何度も必死に俺を受け止めてくれて……



 くうぅ~、俺は腹の奥底に湧き上がるムラムラ感と闘った。



「はぁ、ふぅ……」



 するとその時、大きな雲が頭上を覆ったので、とても涼しくなった。



「おー、涼しくなったなー……さあー、あとちょっとだよ」

「うん!」



 見上げる丘の上にはポプラやドングリの樹に囲まれた石造りの家々が広がっている。



「シス、下を見てごらん」

「え……はわあぁぁ!」



 シスは上って来た丘を見下ろすと、感嘆のため息をついた。

 まず最初に目に入るものは、なだらかな斜面に整然と並んだ作物だろうか。作物は水捌けと陽射し、風を効果的に与えるために整然と列になって植えられている。これが遠くから見ると幾何学模様に見えるのだろう。その美しく整列した畑が、なだらかに広がる斜面の全面に、見渡す限り広がっているのだ。見る場所が教会の尖塔の上なら三百六十度に広がる斜面の畑が見えることだろう。



「凄い……凄い……!」



 そして丘を囲う大蛇のような石垣を超えて、さらに起伏のある大地がはるか彼方まで続いている。起伏のある大地には雲が濃い影を落として、ゆっくりと東へ流れていく……おお、東の大地の彼方には山脈があって黒い雲がかかっている……山の上でピカピカ光っている……風向きが逆だからこちらには来ないだろうが……



 何と雄大な自然だろうか……



「はわあぁ~……ここで育ったから、コックリはのんびりしたところがあるのね……」

「んー? 俺、のんびりしてるとこある?」

「あるよ~あるよ~、うふふ」



 あるのかー。自分じゃ分からんな。



「不思議ねコックリ……麓から上を眺めるとそんなに高くないのかなって思えるけれど、いざ頂上に着くと高く感じるわね」

「そうだな。特に上からは遮蔽物がなくってより遠くまで見渡せるし、それで高く感じるのかもな」



 シスはストールをはずして、丘を駆け上る風をいっぱいに浴びている。美しい金髪が風に揺れてとても気持ちよさそうだ……。荒かった呼吸も、額に浮かんだ汗も、涼しい雲の影と涼しい風によって癒されているようだ。



「じゃあ、そろそろ行こうか」

「ええ」



 シスは再びストールを巻きつけると、俺たちは再び村へ向かって歩き始めた。




早くも明日は4月ですね

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