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神殿騎士の怪異記シリーズ

神殿騎士の怪異記3 ~閑話(故郷へ)~

作者:藻知
怪異ではなく、日常的な話。

法王庁へ戻ろうとした神殿騎士コークリットはその手前にある自分の故郷の村へと立ち寄る。
(トスカーナの田舎をイメージ)
修道院の運営や子供たちの悩み、自分の過去に様々な想いが交錯する。 
 

 俺とシスは修道院の屋根の上で身を寄せあいながら、弦月が輝く夜空を見るとはなしに眺めた。

「綺麗……」
「ああ……」

 俺の腕のなかで、シスは小さく小さく囁く。
 夏の夜空には、山のように大きな雲の塊が浮かんでいる。雲の城だろうか……月を守るように、高く高くそびえている。月の光に照らされた雲は、月の青い光を放ち神々しくさえある。ああでも月の光が届かない下層はあまりにも暗く黒く冥闇で……

「コックリ……子供の頃も、こうして屋根で夜空を見ていたの?」
「あー、見てたな……」
「うふふ」
「おかしい?」
「ううん、全然」
「シス……向こうの丘の方……見える?」
「ええ、コックリほどじゃないけれど、夜目がきくから……」

 霊力で五感を強化した俺は夜目がきき、暗闇に包まれたはずの起伏の大地の先の方まで不自由なく見渡せる。少し先の草原には夜行性の獣がいて、黒い大小様々な影が草原を駆けている。あれは猪の親子の影かな? 森から出て来て草原を駆けている。

 雲の切れ間から、弦月の光が丘に落ちて……とても美しい……
 淡い光が草原を駆ける獣を淡く照らしていて……

 自然が作り出す造形、光が生み出す陰影の美しさは……人には作り出せない……ただただ、自然は美しい……

 シスが美しいのは……そういうことなのかもしれない……
 彼女は自然物に宿る心が肉体を得たような、妖精なのだから……

「コックリ……」
「んー?」
「私……マーク君に……嫌われてるのかな?」



今後使用する世界設定などをストーリーに
織り交ぜて投稿する予定です。
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