プロローグ
雪も降り積もる,冬の日。
「わー!ママぁ,パパぁ,雪たぁくさん積もってるよ~」
僕はその小さな手足で,リビングの窓を上に押し上げた。
ここら辺では雪なんて滅多に見れないので、僕のテンションは上がりまくっている。
「ほんとね、すごくつもってるわ。初雪ね」
そういうと、ママは僕の頭を優しく撫でた。
「初雪?」
聞き覚えのないその言葉に、頭にはてなを浮かべた。
「そうよ、一年の中で初めての雪を初雪っていうのよ」
「へ~」
現在、六歳の僕には、言語機能がまだ欠けている。
「ほら、羽紅!早く雪だるま作るぞ」
と、早々と玄関に向かったのはパパだ。
「これじゃあ、どっちが子供か分からないわね」
僕はママと目を合わせると、笑みを浮かべ声を出して笑った。
「ほら、パパと遊んでらっしゃい」
ママは、そう言って僕の背中をポンっと押した。
「うん!」
そういうと玄関に向かい、パパの背中を追いかけた。
玄関口を開けると、庭一面が白く光り輝いている。
「わぁーい!雪だあ」
僕は、その白い雪にダイブした。
「こらー、パパより先にやるなんてずるいぞー」
パパは少し拗ねながらも、雪にダイブした。
「パパ?」
僕は寝ながら、パパのほうに顔を向けた。
「なんだ?」
パパは、不思議そうにこちらを向いた。
「楽しいね」
少し驚いた表情を見せたが、すぐに笑みに変わった。
「うん、そうだな」
そうして僕らは、空を見上げた。
幼いながらも、僕は確かに幸せを感じていたんだ。
だが、そんな幸せもいつかは壊れる。
それが今だということは僕は知らなかった……
僕だけじゃない。
パパも……
ママも……
そのとき――――
―――――――ガシャンっ
家から食器を落としたような、大きな音がした。
「ママお皿落としちゃったのかな?」
「そうか……いや、…………何かが違う」
パパは、一瞬にして顔色を変えた。
その顔色は青に近い。
僕はそれを見て、パパの目線の先を見た。
そこには、見知らぬ人がママに銃を向けている光景が……
幼い僕でもこれは危機的状況だと分かる。
僕は、怖くてその場を動くことができなかった。
――――ダッ
そんな中、パパは一瞬にしてその場を駆け出した。
「パパどこ行くの!?」
僕は、段々遠ざかる背中に言葉を投げかけた。
「お前はそこに居ろ!」
一瞬振り返ると、その姿は玄関の向こうに消えていく。
手を必死に伸ばしても、その手は届かない。
そのまま行き場を失い、ぶらりと手を降ろした。
そして、その直後のこと、
大きな物音とともに再び銃声が聞こえた。
僕は、パパにも何かがおこったんだと思った。
そして、その予想は的中してしまった。
ちょうどリビングの窓に、黒い人影が近づく。
やばい
僕はすぐさま、近くの森に逃げ込んだ。
すると――
窓付近から、何かボスっと雪に落ちる音がした。
僕は葉の茂みからそちらをみる。
「え……パ…パ?ママ……?」
窓側付近、知らない人がパパとママを外に放り投げていた。
そこには、真っ赤に染まったパパとママの姿があったのだ。
パパとママは雪の上に横になっているだけで動く様子はない。
僕はすぐさま駆け寄りたくなった。
だが、あの見知らぬ人が僕の行動を阻んだ。
玄関が開いたのだ。
「今回もはずれでしたね、矢沢氏」
「そう簡単にはあの人材はみつからないということだな」
なにやら話している。
玄関から姿を現したのは、ガスマスクを装着した、黒の服に包まれた人達だった。
人達、つまり一人ではなかった。
四…いや五人はいる。
黒いマントには、見知らぬマーク。
そして、黒の手袋に包まれた手には、銃が握られていた。
僕はその気迫に息を殺した。
もし、ばれたら僕も……
そう思うと、震えが止まらなかった。
だが、そんな心配はなかった。
なぜなら、その人達は驚くことに、強い光とともに一瞬にして消えたか
すると、僕は一息つくこともなくパパとママのほうに駆け寄った。
「パパ!ママ!」
しかし、二人から返事はない。
見ると、真っ白な純白の雪が真っ赤な血の色に染まっていた。
何度揺さぶっても、何も反応はない。
僕の手は血だらけになった。
数時間前まであったあの笑顔も、もう僕に見せることはなかった。
僕は涙がでた。
瞳から溢れ出て止まらない。
「ねえ、おきてよ……うそだっていってよ。おねがいだから」
やはり応答はない。
僕は悲しいよりも放心状態に近かった。
なんでこうなったの……?
あの楽しい日々にはもう戻れないの…?
なんで……なんで…
そう思っていると脳裏にあの黒に身を包んだ人達が浮かんだ。
そうだ、すべてはあの人達のせいなんだ。
あいつらさえ来なければ…僕は……パパは…ママは……
そして僕の心に゛恨み゛という文字が浮かんだ。
あの人達のせいだ。
あの人達のせいだ。
あの人達のせいだ。
僕達の人生を壊したのはあいつらなんだ。
僕の幼い心は恨みで満たされた。
「うああああああああああああああああああ!!!」
こんにちは!
山田未織です!
このたび、この作品を見てくださってありがとうございます。
更新も忙しくて亀更新に近いですがよろしくです。
良かったら感想をくださるとうれしいです。




