記憶の灯火
彼女はこんな出会いをするとは思っていなかっただろう。
陽が沈み星が出始めた頃、彼女は森の中、小さな枯れ木を集め火をつけて暖をとっていた。
燃える枯れ木を見つめながら彼女は過去を思い出してしまった。
燃え盛る村、惨殺される人々、私を助け死んでしまった母。
〈サーラ〉はゆういつ生き残った。
彼女はいわゆる〈エルフ〉だった。エルフの特徴としては肌が白く耳が長く尖っている。エルフは太古の昔から存在する種族で自身の体に備わった特殊な力で超常現象を起こし生きてきた森の民である。自然に生きるエルフたちは平和を望んでいた種族であった。
あったのだ。
特殊な力を持ったエルフに人間は恐れを抱いた。彼らエルフは化け物と呼ばれ忌み嫌われてしまった。そして平和だった世界は突然、抗争を始めた。
きっかけは不明。人間がエルフが抗争を始めたと噂で流れたりはしたがそんなことはないとサーラは信じている。
小さな腹の音で意識がハッキリした。
「お腹すいた……」
サーラは事前に罠を仕掛けていた。昼のうちに木に縄を結び、跳ね上げ式罠の完成。この罠に引っ掛かった動物は足に縄が巻き付き逆さ釣りにされるものである。
それを二つ仕掛けておいた彼女は罠のあるところに向かった。今日はいいものを食べられるだろうか。彼女は少し楽しみにしながら罠のもとに向かう。
大きな気配がする。今夜はごちそうかもしれない。サーラは胸を踊らせた。そこにはゆらゆらと縄でぶら下がっている。
人がいた。
顔を青くして白目を剥いている人をみて、サーラは思考が一瞬止まった。
「うっわあああああ!!」
我に返ったサーラは急いで縄をほどき地面に下ろす。やばい、もしかしていたら死んでしまうかもしれない。彼女が慌てふためいていると、ゆっくりと目を開けてこう言った。
「ごはん…………」




