白き肌の少女
白いキャンバスにきれいな水色を塗ったような空が大地に朝を与える。
ある森の中を荷馬車が通った。
荷台には少女が一人いた。
雪のような白い肌を泥や土煙などで汚し、両手で小さな短刀を強く抱えながら。
ガタンゴトンと揺れる荷馬車が突然止まる。
荷馬車が止まったことに気付き彼女は馬を扱う商人に聞いた。
「どうかしたの? まだ森の真ん中じゃないの?」
「嬢ちゃん。悪いがここからは一人で行ってくれないだろうか?」
商人は顎で上を見ろと指示し彼女もそれに従い上を見る。
木々の枝にガタイの良い男たちが数人いるのが目に入った。男たちの手には弓や剣のような武器を持ち合わせておりまるで近づかせる気がない。
商人は残念そうな顔をしながら子供に話しかけた。
「なあ嬢ちゃん。ここはやめて遠回りしていかないか? ここら辺は人間が支配したエルフの住処なんだろう……。嬢ちゃんはとりあえず落ち着ける場所に行ければいいんだろう?」
「……いや、ありがとう。ここでいいよ」
荷馬車からゆっくり降りて商人に礼をいう彼女は、腰に付けている小さな袋から銀のコインを数枚渡した。
「少ないけどこれで美味しいものでも食べてよ」
「あぁ、こんだけもらっちゃ悪いよ」
「いいんだ。行ってくれ」
商人はすまないとそう言って馬が来た道を帰ってきた。
彼女は商人を見送った後、木々の上にいる男たちに話しかけた。
「すみませんがそこを通してもらえないだろうか? ここの領主と話がしたい」
そう問うが男の一人がこう答えた。その男は剣を抜き、威嚇する。
「ここを通すわけにはいかない。お前を通してしまったらまた奴らは同胞を傷つける。すまないが違う道を通ってくれ」
「その同胞のことで話がある。悪いようにはしない。ここを通してくれないか」
「二度は言わない。頼むから俺たちにこんな事をさせないでくれ」
男たちの顔は苦虫を噛み潰したような表情で彼女に武器を向ける。
本当はこんな事したくないのだろう。彼女は仕方なく来た道を帰って行った。




