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密談

 目を覚ますと明るい日差しが部屋の中に満ちていた。開け放たれた窓からさわやかな風がゆったりと吹き込んでいる。

 顔の横に気配を感じてそちらを向くと緑色の髪の少女の寝顔があった。テノだ。

 ぎょっとして飛び起きる。俺は白いゆったりとした服を着ていた。寝間着だろうか。一方のテノは水色のワンピース姿である。

 俺の動きで目を覚ましたテノが寝ぼけた声で言った。

「あー、タカ様おきたー? おはよー」

「おはよう。じゃなくて、テノは何をしているんだ?」

「タカ様が起きたら知らせるように言われて見ていたんだけどー。気持ちよさそうに寝てるから私も眠たくなってー。寝たー」

 いや、「寝たー」じゃないだろう。こんなところを誰かに見られたら、またあらぬ誤解を受けるじゃないか。と、思ったところで部屋の入り口に顔が三つ覗いているのに気がついた。エルとメアとセノだ。テノと同じワンピースを着ている。制服、ということはなさそうだし(この村に制服を着るような学校があるとは思えない)、民族衣装なのだろうか。という想像が一瞬頭をよぎったが、それは脇に置いておく。

 エルは驚いたという顔で、メアは無表情で、セノはちょっと青い顔で見ている。

 昨日のだぼついた長袖長ズボン姿ではわからなかったが、こうして見るとセノだけでなくメアも結構いいものを持ってしているな、と思ったのもどうでもいい。

「ええと、タカ様。もしかして、事後?」

 エルが聞きづらそうに尋ねる。俺は慌てて否定した。

「違う! 俺は今起きたばっかりだ。起きたら隣にテノがいたんだ」

 それを聞いてセノが駆け込んできた。ベッドからテノを引っ張り出す。

「もう、姉さん。恥ずかしいことをして。ほら、起きてください」

「うう、セノー。引っ張ったら痛いー」

「痛い、じゃないですよ。すみません、タカ様」

「いや、いいけどね。ぐっすり寝ていて気がつかなかったし」

「それは、ミーネ様の睡眠魔法の力だね」

 エルが言った。

「睡眠魔法?」

「ミーネ様に触られた瞬間に寝てしまったよね。それが睡眠魔法よ、睡眠魔法」

 確かにミーネさんに頭を触られたとたんに意識がなくなった。あれは魔法だったのか。すごい能力だ。というか、いつでも相手を眠らせることができるというのはちょっと怖いかもしれない。

「服、置いておく」

 メアが俺の脚近くにたたまれた服を置いた。

「じゃあ、私たち部屋を出るね。着替えよ、着替え」

 エルがそう言って、四人がぞろぞろと部屋を出ていく。テノがぶつぶつ言った。

「でも、ミーネ様とメアは役得ー。着替えさせたんでしょー?」

「うん」とメアがうなずく。

 はっとした。もしかして、俺を着替えさせたということは、また全部見られた?

 血の気の引いた俺を残して、ドアは閉じられた。


 着替えて部屋を出ると食堂に案内された。この診療所は結構広いようだ。

「ウサ羊のミルクから作ったチーズだよ、チーズ」

「ナキ豚のハムとガチャガチャ鳥の卵のハムエッグです」

「トリノ葉のサラダよー」

「黒麦のパンだ」

 四人が入り乱れて、俺の前に食事を並べてくれる。

「ありがとう」

 チーズをパンにつけて食べる。うまい。濃厚なチーズの味が荒々しいまでに素朴なパンにマッチしていくらでも食べられそうだ。ハムエッグも予想以上の味だ。卵なのに甘みを感じる。ハムも塩が効いていて肉汁がいい感じだ。それにサラダ。ごつごつとした葉っぱだったが見た目に反して柔らかく、塩と油を振っただけなのにおいしい。

「どれも、うまいなこれ」

 口をもぐもぐさせながら言うと四人が嬉しそうにする。

「チーズはうちの自家製なんだよ」

「ハムエッグとサラダは私が作りました」

「卵と葉っぱはうちから持ってきたのだよー」

「パンは、今朝、私が焼いた」

「そうなのか。みんなありがとう」

 俺はすごく幸せな気分だった。昨日妄想したハーレムがすでにここにある。この四人がいてくれるなら元の世界に帰れなくてもいいかな、とちょっと思ったくらいだ。このままこの村に住み着いて、四人と一緒に過ごして一生を終えることを心の端で真剣に検討してしまう。

 と、いい気持でいたところへ現実が割って入った。

 青い髪のミーネさんが顔をのぞかせたのである。

「起きたんですね。食事が済んだら、リュダさんのうちに行ってください。相談があるそうです。朝からお待ちです」

 そうだ。この村は危機のさなかにあるんだった。俺は村を救ったからこんないい思いをできているんだ。引き続き俺は村のために頑張ることを期待されている。

「変なことは考えていませんでしたか?」

 ミーネさんは美少女に囲まれている俺を少しにらんだ。

「いいえ。そんなことはありません」

「それならいいですけれど。変な気分になったら私に言ってくださいね」

 と、すごいことを何でもないような顔で言う。

「ミーネ様」

 エルがとがめるような声を出すと「こわいこわい」と言いながら行ってしまった。

「ミーネ様は油断ならないねー」

 テノがため息をつくように言う。

「診療所が忙しくてよかったのです」

「昨日の戦いの影響で持病を悪化させた人が何人も出たからねえ。大忙しよ、大忙し」

 そういえば昨日もベッドに寝ている人が何人もいたな。

「回復魔法とかで、病気もすぐ直るんじゃないのか?」

 と聞いてみるとメアが首を横に振った。

「傷は簡単。病気はそうじゃない」

 セノが後を引き取って言う。

「傷の手当はその場所を治療すればいいですが、病気は苦しいところを手当てしても治るとは限りませんから。治療といっても当面の苦痛を取り除くくらいしかできないのだそうです」

 つまり、なぜ病気にかかるのか、という原因がわからずに治療しているということだろうか。それでは完治はむつかしいだろう。

「ウィルスとか病原菌とかストレスとか、そういうことは抜きで治療しているのか?」

「なんでしょう、それ?」

 セノが首をひねる。エルが尋ねてきた。

「そのなんとかいうのを取り除けば病気は治るの?」

「ええと」聞かれてみると俺もはっきりと断言できない。「治ることもあると思う」

「どうやって取り除く?」

「薬かな」

「その薬の作り方は?」

 俺の乏しい医学知識では降参するしかなかった。

「すまない。わからない」

 エルたちがなあんだという顔になる。俺は面目をなくしてうつむいた。

「大丈夫」肩に手が置かれた。メアだ。「知らないことがあるのは当たり前」

「ありがとう」

 俺は心から礼を言った。こういう時にこういうことを言ってもらえるのは本当にありがたい。

「ま、それはそうだね。なんでも知っている人はいないか」

 エルの言葉にテノとセノがうなずく。

「よし。じゃあ、食べて食べて」

「ガチャガチャ鳥のモモのローストだよー」

「バスの実のジャムです」

「ロスの葉の塩漬け」

 再び食事攻勢が始まった。


 リュダさんの家は広場のすぐ目の前にあった。

 リュダさんは家の前に立って、坂の下のほうを見ていた。坂の下、村の入り口のところには人が集まって石の巨人が踏み抜いてしまった橋を修理している。周囲には石の巨人の残骸が散らかっていて、それの片付けも並行して行われていた。

 俺が四人を引き連れて坂をだらだらと歩いていくのに気がついたリュダさんが、手を振った。

「おはよう。ようやくのお目覚めか」

 近づくとそんな嫌味を言う。

「おかげさまで。ぐっすりでした」

 こちらの落ち度で寝ていたわけではないので、堂々と言い返す。

「いや、失敬。君を責めたのではないのだ。ちょっと気持ちが焦っていてね」

 リュダさんは素直にわびた。

「まあ、入ってくれ」

 戸を開けてくれる。

「はい」

 俺が中に入ると後ろでリュダさんが咎める声がした。

「君らはついてこなくていい。子供には関わりのないことだ。帰って家の手伝いでもしていなさい」

「でもですね」

 エルが反論しようとするが

「でもも明後日もない!」

 そういうとリュダさんは家に入り、ドアを乱暴に閉めた。四人を締め出してしまったのだ。

 俺があっけにとられているとリュダさんは椅子を指した。

「座るといい」

「あ、はい」

 座って、周囲を見回す。物の少ない部屋だった。椅子にテーブルに暖炉、テーブルの上には飲みかけのスープの皿が置かれている。

 殺風景とすら言えた。

「私の得意な魔法は風と光でね。この部屋には魔法がかけてある。外から様子をうかがうことはできない。君にはこの部屋での話は秘密厳守で願いたい。いいかね?」

 どうやら大事な話のようだ。

「わかりました」

「さて、用というのはほかでもない。例の偵察の二人が持ち帰った話だ」

 椅子に座ったリュダさんが短兵急に話を始める。

「あ、あの二人は無事だったんですね」

 俺は自分がエンチャントの途中でダウンしたことが心残りだったので、二人が無事に戻ったらしいと知って、息をついた。

「ああ、そうだ」リュダさんが首を振る。「話を急ぎすぎたな。父にもよく注意されていた。よくない癖だといってな。順を追って話そう」

 リュダさんは座りなおして話し始めた。

「まず、アイサとメリダは夜明け前に無事に戻った。一通り報告をしてくれたあと、家に帰って休んでいる。夜通し走りまわったのだから、当然だろう。敵をさけて裏道を使ったということだったが、それでも戦闘は避けられなかったということだ。しかし、君がエンチャントしてくれたおかげで、難なく敵を排除できたらしい。君に感謝していたよ」

「いえ、感謝なんて」

「いや、感謝されるだけのことはあるよ。君は気を失うまで力を使ってくれたのだからな。君はその辺は自信をもっていい」

「そうでしょうか」

「そうだ。ただし、余計なことは考えないようにな」

 リュダさんはぎろりと俺を見る。まだハーレムの話のことを根に持っているらしい。もしそのハーレムに自分を入れるという話が出ていたと知ったら激怒するのではなかろうか。でも、そういう顔もちょっと見てみたい、とふと思った。怒っているリュダさんは結構よかった。って、俺は何を考えているのだろう。

 俺の妄想をよそにリュダさんはつづける。

「さて、アイサたちの偵察の第一の任務はここイシュガルから三時間の距離にあるメオーダの町の様子を探り、可能なら連絡を取り合うことだった。しかし、アイサたちはメオーダにたどり着けなかった。いや、確かにその場所には着いたのだが、町がなかった。メオーダががれき一つ残さず消えうせていたのだ」

「消えたんですか?」

 町がどれほどの大きさか知らないが、町というからには村であるここより大きいに違いない。それが消えるなんて衝撃的な話だ。

「そうだ。町があったと思われる平らな土地だけが残っていたという。人口にして五千人の人間ごと町が消えたのだ」

「そんなことが」

「私も信じられない。しかし、あの二人は冗談をいう人間ではない」

 リュダさんはかぶりを振った。そのまま続ける。

「それでアイサたちは第二の任務に移った。このトウク地方の中心都市アンドリゼへ救援を求めに向かったのだ。メオーダからアンドリゼまでは普通に歩いて二時間だ。しかし物陰に隠れては敵を倒しながら進んだので、三時間ほどかかったという。それで、ようやくアンドリゼについてみると人の気配はなく、魔物たちが街中をうろついていたというのだ」

「魔物に負けたということですか?」

「信じられない話だ。アンドリゼには治安維持と国境警備を兼ねて千人の正規兵が常駐しているのだぞ」

「しかし、相手は通常の剣が通じない魔物ですし」

「戸田山君。正規兵を侮ってはいけない。彼らは魔法のかかった武器で武装しているし、部隊専属の魔法使いもいる。昨日攻めてきた程度の魔物なら簡単に追い払えるはずなんだ」

 なるほど。この世界では兵士たちも魔法を武器にしているのか。それは強いかもしれない。でも、アンドリゼという都市は現実に敵の手に落ちた。それは認めるべきだろう。

「兵士も勝てないような魔物がいたということじゃないでしょうか」

「それはあるかもしれない。父は正規兵を当てにしていたのだが」

 リュダさんは悲痛な表情でこぶしを握った。

「村長さんはアンドリゼに?」

「ああ。村の若者三人とアンドリゼへ行ったまま帰らない」

 俺はデニさんたちの話を思い出した。村長とその一行が連絡のために村を出て二か月戻らないという話だった。その、村長についていった若者の一人がレンカという人の婚約者である。アンドリゼがそういうことになっているなら、生存はほぼ絶望的だろう。

 リュダさんは黙り込んでしまった。重い空気が部屋を支配する。俺は何か言わないといけないような気がして思いついたことを言った。

「いい、椅子ですね」

 何を言っているんだ、俺は。もっと他に話題があるだろうに。

 椅子は背もたれのついた木製の普通のものだ。使い込まれていて、表面があめ色に変わっている。

「椅子か。妙な事を言うな」

 リュダさんがくすりと笑った。それから背筋を伸ばして部屋を見回して言った。

「何にもない部屋だろう? 父は『責任のある立場の者が物や金を集めるのは間違いのもとだ』という人でな。融通の利かない人だった。ある物はなんでも人にやってしまう。おかげで貧乏暮らしだよ。母が病気になった時も薬代を作れなかった。母は私に、父は立派なのだから責めてはいけないと言ったが、病気がもとで母が死んだときにはさすがに父を恨んだよ。でも、血は争えないものだ。私も父と同じような人間に育ってしまった。村の人々からは石頭と呼ばれているらしい。よりにもよって、石頭とはな。それは私がかつて父を罵って言った言葉だ。そして、私は今、そんな父の死を認めるのがつらいのだ」

 また、リュダさんがうつむいてしまい、間が空いた。

 俺は耐えられなくて言った。

「あの、リュダさんは立派だと思います。ちゃんとみんなを指揮して村を守りました。石頭ではなく理性的なんです」

 リュダさんが顔を上げた。ため息まじりに言う。

「生意気だな。しかし、おかげで心が楽になったよ。ありがとう」

「いえ。生意気言ってすみません」

 頭を下げる。

「こんな話をするつもりではなかったのだが。話をもどそう」

 リュダさんは座りなおした。話を続ける。

「明け方に帰ってきた二人の話を聞いて、私はもっと情報を集めるべきだと思った。魔物が一体どこまで勢力をふるっているのか確かめなくてはいけない。このトウク地方だけのことなのか、エストワード国全体のことなのか。ほかの村や町でまだ生き残っている人々がいたら、その人たちと連帯して魔物と対決するべきだ。そうして出来るだけ早く王都カジェナクトに救援要請をしなくてはならない」

「王都ですか?」

「ああ、国王ゼルトルド様がおわす場所だ」

 その王都もすでに魔物たちに占領されているのじゃないだろうか、と思ったが黙っていることにした。多分、リュダさんもそれくらいのことは想定しているだろう。しかし、今は王都が無事だと信じて行動するしかない。

「そういうわけで、また夕方に偵察を出す。今度は十名だ。戸田山君には多重エンチャントをお願いしたい」

「わかりました」

「君の体力は昨日の様子から考えて、一日にエンチャント四百回ちょっとまでなら大丈夫なようだ。十人の弓と剣と防具に十回ずつかけてもらって三百回になる。体力的には問題ないと思うがどうだろうか?」

 うーん。しっかり回数を計算されている。しかし、俺、昨日はそんなにエンチャントしたんだ。夢中で気がついてなかったけど、結構頑張っていたんだなあ。

 そして、もちろん答えは。

「やります」

「ありがとう」リュダさんは俺の肩をたたいた。「君には助けられ通しだな。何かお礼ができるといいのだが、なにせ家はご覧のような有様なのでな」

 物の少ない室内を指さす。

「お礼なんて要りません」

「しかし、なあ。君の厚意にすがってばかりでは気が済まない」

「いいですよ」

「そういわず。何か言ってみてくれ」

 意外と押してくる。この、他人の厚意には何が何でもお礼をするというあたりが父親譲りなのかもしれない。

「それでしたら」

 ちょっと思いついたことがある。

「なんだ?」

 リュダさんの真面目な顔を見ると言い出すのをためらうが、思い切って口にした。

「膝枕してください」

「膝枕? なんで、そんな……」

 あきれている。当然だろう。思いついた自分でもあきれる。しかし、リュダさんのきりりとした顔を見ているうちに急にこの人に甘えてみたいと思ったのだ。

「すみません。言ってみただけです。忘れてください」

「いや、膝枕くらいしてもかまわないが、私でいいのか?」

 あれ、意外な言葉が返ってきた。

「はい。リュダさんがいいんです」

「変なやつだな」

「すみません」

「かまわないが、どうすればいいのだ?」

「そのまま椅子に座っていてください」

 俺は立ち上がって、リュダさんの前まで行った。膝立ちになってリュダさんを見上げて伺いをたてる。

「いいでしょうか?」

「どうぞ」

 リュダさんの腿に布の上から触れる。柔らかい。そこに自分の頭を横にして置いた。

 体温が布越しに耳に伝わってくる。

 リュダさんが両手で俺の頭をなでてくれた。

 なんだかすごく安らかな気持ちになる。ずっとこうされることを求めていたという気がした。こんな年上の女性の膝に頭を乗せること、それにあこがれていた。俺は元の世界では幸せではなかったのかもしれない。そんなことを思った。

 十分堪能してから頭を上げた。

「ありがとうございました」

 立ち上がって礼を言う。

「もういいのか?」

「はい。すごく気力を充填できた気がします」

「変なやつだ」

 リュダさんは笑った。「こんなことでよければいつでもしてやる。ただし、村の連中には内緒だぞ」

「はい」

「では、話はここまでだ。夕方にまたここに来てくれ。偵察に出る連中と引き合わせる。それまでは好きに過ごしてくれていい」

「わかりました」

 俺は挨拶をしてドアを出た。

 外ではエルたち四人が立って待っていた。

「リュダ様なんだって、なんだって?」

「何を言われたんですか?」

「魔法がかかっていて、窓から中が見えないしー、音も聞こえなかったからー、わからなかったんだよね」

「気になる」

 口々にいう。

 盗み聞きしようとしていたのか。やっぱりというかなんというか。しかし、リュダさんの魔法は完璧だったようだ。

「教えて、教えて」

 エルがせっつくので俺は必要最低限のことを言った。

「また偵察を出すからエンチャントしてほしいそうだ」

 これくらいなら言ってもいいはずだ。

「それだけ? それにしては長かったよ」

 するどい。でも、昨日の晩の偵察の結果は村人にはまだ秘密のようだから言えないし、膝枕の件については言えるわけもない。

「それ以上は秘密だ」

 きっぱりと言うと、エルたちは不満そうな声を上げた。


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