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第六話

 その数カ月後。すみれは学費滞納ということで、学校を退学になった。すみれの机は、教室から倉庫に移された。『机が一つ減った』。クラスメートにとっては、すみれの退学は、それくらいの意味しか持たなくなっていた。

 そしてやがて、すみれの個人のホームページは消滅してしまい、美果がすみれと連絡を取る手段は、何一つなくなってしまった。


 それから2年後の春。大学の推薦枠を取った美果は、無事大学生になり、声優の夜間学校にも通うという、充実した毎日を送っていた。

 そんな中、ふと立ち寄った本屋の写真集コーナーで、美果は一冊の本を見つけた。

『期待の元アイドル、18歳3ヶ月で、衝撃のヌードデビュー(AVも同時発売中★)』という煽り文句がつけられたその本の表紙を飾るのは、間違いなく、すみれだった。

 (ついにここまで来ちゃったのか…)美果は、心を傷めた。

すみれが退学となったあの日から数週間後、すみれの父親の遺体が発見された。どうやら、すみれの母親は、すみれが産まれる前から、ずっと、一人の男性と浮気をし続けていたらしい。父親はずっとその事を知らずに暮らしていたが、つい最近それが判明して、それを責めたところ、母親と男の人は駆け落ちしてしまったという。また、同時に、すみれが浮気相手の子供という事も判明し、それに悲しんだ父親は、すみれを置いて失踪し、最終的には自殺をしてしまった、という事だった。

 美果は、すみれとあんな別れ方をしてしまった自分を、未だに責め続けていた。

すみれがご飯を持ってこられなくなった時期、お金がないと言い出した時期と、彼女の母親の駆け落ちの時期は、考えるとぴったりと一致する。何で自分はその事に気づかなかったのか。すみれに自分の夢の事ばかり話していたのか。無神経すぎる自分に腹が立った。

そして美果は、あの時より大人になった今、やっと、あの時何故すみれが、米田のところに行ったのか、分かるようになっていた。

16歳の少女が、突然庇護者を失って、一人で暮らしていける訳はなかった。まだ子供だったすみれは、自分を対価にしてでも、一番身近にいた唯一の大人の人の元に、身を寄せる事でしか、生きていく術がなかったのだ。最後に会ったとき、経済力を持たない美果ではなく、米田を選択したのは、当然の事だったと言えよう。

(あの時、すみれが私を捨てたんじゃなくて、私がすみれを捨てたんだ…)

 美果は、平積みにされたすみれの写真集を手に取る。少し不安そうな表情を浮かべて写っている、懐かしいすみれの顔。

 その本をそっと置いて、美果は本屋を出た。

―――これが、美果にとっての、すみれに関する、最後の記憶。


 その9年後。

27歳になった美果の元に、こうしてすみれからハガキが届き、この度再会することとなった。信じられない思いだった。

 待ち合わせ場所は、平日夜の新宿駅東口交番。

 沢山の人たちが待ち合わせをする場所で、美果は東口の扉を眺めながら、すみれらしき人が現れるかどうか、じっと見つめている。

(今はすみれ、何やっているんだろう…。どうゆう見た目なんだろう…)

 美果は、無意識の内に、最後にあったすみれと同じように、金髪をした女性ばかりを目で追ってしまう。しかし、扉から出てきた、黒髪の女性を見て、すぐに分かった。

「すみれ!」

 美果は大声をだして、大きく手を振る。美果に気づいて、黒髪の女性は、ニッコリと笑った。

「美果!久しぶり~」

 それは、間違いなくすみれだった。

「連絡取れて嬉しかったよ、美果!」

 すみれは、ぎゅっと美果の手を握った。美果も涙ぐみながら、その手を握り返して、じっとすみれを見つめる。すみれは髪は黒く、化粧は薄く、最後に会った時と、見分けが付かない位、別人になっていた。本当に、歳相応の、普通の女の人にしか見えなくなっていた。

「寒いから、どこか入ろうか」

 すみれに促されるまま、美果は歩き始めた。


 喫茶店に入って、注文を済ませた二人は、コーヒーをすすりながら、ニコニコと互いを見つめていた。

「美果は今何やってるの?」

「私?今、丸の内で働いてるよー」

「そうなの?すごいね!」

 美果のどんな些細なことでも嬉しそうに聞くその姿勢は、昔のすみれとなんにも変わっていなかった。

「すみれは今、何してるの?」

「私?私は今のところ主婦だよー。子供二人いるの」

「うそっ!?」

 美果は驚いて、思わずカップを落としそうになる。

「えへへ、びっくりした?今ねー、3歳と1歳。二人いるの」

「そうなんだ…」

 美果はカップを置いて、言った。

「もー、びっくりしたー。すみれは、何気にいつも私の予想の上をいくよね」

「そう?AV出演とか?」

 美果の頭の中に浮かんだ事を、あまりにもすみれがサラリと言うものだから、美果の心臓は止まりそうになる。

「あはは、そんなに驚かないでよ、美果ー。知らなかった?」

 すみれはあっけらかんと笑っている。美果は口を拭いながら、慌てて言う。

「う、ううん…。実は知ってた…。でも、すみれがそんな普通に言うとは思わなくて…」

「そうだよね…。あの頃は、最悪だったな…」

 すみれは口元に笑みを浮かべながら、遠い目をして言った。

「本当に辛かった…」

「…どう辛かった?…って、これ、聞いちゃダメだよね…ほんと、ごめん」

 一度聞いておきながら、自分の発言のデリカシーのなさに、美果は声を小さくする。すみれはニコニコしながら答える。

「ううん、全然いいよ、もう終わった事だし。それに私今、すっごく幸せだから!それに、美果には、一度全部話さないといけないと思うし…」

 そうしてすみれは話し始める。

「そうだね、どこから話そうかな…。多分美果も知ってると思うんだけど、うちの母親が男の人と浮気してて、駆け落ちして出ていったんだよね。更に、私がその二人との間の子だって事を知った父親が、落ち込みのあまり、家から出て行っちゃって。それが、美果とネットアイドルとかやってた時の話」

 美果はうんうんと頷く。

「一人になって、お母さんが残した貯金箱の中のお金を切り崩しながら生活してたんだけど、やっぱりすごく苦しかったから、コンビニの廃棄おにぎりとかもらって生活してたんだ」

 美果はおにぎりの賞味期限が切れていた事を思い出した。すみれは続ける。

「でも、その内貯金なくなっちゃったから、どうしようもなくて、パンツを売ってみたり、色々したの。でも、限界があって。どうしても生きるのが難しくって、私が知ってる唯一の大人の人だった、米田さんに連絡を取っちゃった」

 すみれはカップの縁に目を落とす。

「米田さんは、あの時の私にとっては、凄くありがたかった。ご飯おごってくれたりして。米田さんが居なかったら、私も死んでたと思う」

 でも、とすみれは続ける。

「でも、途中で気づいたの。米田さんが私によくしてくれてるのは、私が若い女だからだなって。私がおばさんだったり、男の子だったりしたら、米田さんは絶対面倒を見てくれなかったと思う。その時、逆に言うと、若い女だからこそ、みんなから愛されると思ったの」

「そうなんだ…」

「私、親に捨てられて、頭おかしくなってたんだと思う。みんなから愛されたいと思ってた。みんなに愛されないと、自分には価値がないと思ってた。だから、自分の体を使って注目を浴びる方法を考えて、あんなホームページを、米田さんに作ってもらったの。それで受けられるものが、私が求める愛とかじゃなくても、とにかく、みんなに私の事を好きだと言って欲しかったの…」

 美果はそれを聞いて、罪悪感でいっぱいになった。思わずつぶやく。

「すみれのこと、裏切っちゃってごめんね…」

 それを聞いたすみれは、驚きながら手を横に振って否定した。

「ううん、全然!私頭おかしくなってたし、あんな私の事は、放っておいてむしろ正解だったと思う!」

「でも…」

「美果の言うとおりだったんだよ…。私が間違ってたの。あとから気づいたよ…。みんな、私が女子高生だって事に着目して、好いててくれたの。だから、18歳の誕生日に近づくにつれ、どんどんみんな私から離れて、新しい若い子に飛びついちゃう事に恐怖を覚えるようになった。ちょっと露出する17歳は凄く価値があるのに、ちょっと露出する18歳は、全く価値ないんだもん。その頃は、色々あって米田さんとも別れちゃってたから、みんなに見捨てられる事が、私の中で切実な問題になってて。それで、もうこれは脱ぐしかないと思って、パーッとAVデビューすることになっちゃった…」

 経緯を聞いて、美果は更に胸を傷めた。

「そうだったんだ…。辛かったよね…」

「…うん、そうだね…」

すみれは、再び目を伏せる。今、彼女は、美果には言えない思い出を、人に永遠に言わないで、墓まで持っていく記憶を、沢山思い出していた。 

初めてのAV撮影の時の、思い出すだけで動悸が激しくなるような、あの思い出。

18歳でデビューする事になったすみれの経験人数は、昔付き合っていた、米田たった一人だった。しかし、米田はすみれの事を無視するような、強引な性交渉を好んだため、すみれはセックスが好きではなかった。セックスに対して、悪い記憶しかない為、それに対して禁忌だと思う感情も、人一倍強かった。

そんな強い貞操観念を抱いているすみれにとって、知らない男性と性交渉する事は苦痛であり、そして、それを大勢の前で見せなければならない、という事は、もう想像を絶する出来事だった。

しかし、更に過激な事をしていかないと、世の中から捨てられてしまう、生きていけない、という強迫観念にとらわれ、自己評価をすっかり貶めていたすみれには、着エロ以上の事、つまり、AVに出演するという術しか残っていなかった。

素肌にバスローブを身に付けたすみれは、大勢の見知らぬ男達の前に進み出た。硬直するすみれには、当然、その場でバスローブを脱ぐようにという指示が下った。最初から、そうなる事は、わかっていた。そうしないと始まらない事はわかっていた。けれども、やはり、大勢の前で素肌をさらけ出す事に、抵抗があった。今まであんな変態的な水着姿を平気で晒していたくせに、と言われたらそれまでだが、やはり、実際に人に見られると、全く話が別だった。すみれは、バスローブを脱げず、緊張で、何度もトイレに行って、吐いた。吐き終わって、現場に戻ってきても、またすぐにトイレに戻ってしまい、吐いた。そうして何度もトイレとの往復を繰り返し、吐くものが無くなったすみれは胃液を吐き続けた。

そんなすみれに、監督は優しく接してくれた。『初めて出演する子だからしょうがない』と言って、すみれが自分で脱げるようになるまで、待っていてくれた。人に優しくされる事になれていないすみれは、その監督の小さな優しさに感動してしまい、勢いでバスローブを脱ぎ捨てることに成功した。しかし、そこからが地獄だった。

何で私はこんな事をしているんだろう、こんな事を人前で披露して、そして撮影されているんだろう。セックスってもっとプライベートな事だと思っていたのに、私は何故、これを売り物にしてしまう道を選んだのだろう。涙を流していると監督から『涙を見せたら、買ってくれる人が萎えてしまう。可哀想な姿を見せないでほしい。楽しいんでいるように見せて欲しい』と言われた。かぶさってくる男の背中を掴み、撮影の間中、ずっとうつろな目で、すみれは演技をし続けた。まるで心が壊れてしまったようだった。

すみれは、一年間で十本の撮影をこなす契約を結んでいた。かなりハードなスケジュールで、一本撮影したら、心と体を休める暇もなく、次の撮影に望んだ。二本目の撮影を行なっている最中、すみれは耐え切れない腹痛に襲われていたが、脂汗をかきながら、撮影を強行した。しかし、結局撮影の最中に耐え切れず意識を失い、全裸のままで病院まで運ばれた。胃に穴が開いていた。入院の最中、看護師達に、AV女優が来た、と噂された。

それでも撮影に慣れてきて、数本の撮影をこなした後のぞんだ雪山での撮影では、皆が温かい格好をしている中、一人で全裸の上にコートをまとい、放置された。唇が紫色過ぎて醜いから、という理由で、真っ赤な口紅を塗られて、無理やり快感に溺れる演技をさせられた。

すみれは、もうこれからは、自分という存在が一人の人間として見られることはないのだ、と感じていた。自分はもう性的な存在でしかなく、この手足から、髪の毛一本すべてが、性的で汚れているのだと感じるようになっていた。お風呂に入って、綺麗に洗えば、その汚れが落ちる気がして、狂ったように風呂に入った。その結果、皮膚の常在菌が消え、ガサガサになって、撮影スタッフに怒られた。風呂に入る意志すらも、自分では持ってはいけない存在になってしまったんだな、とぼんやり思った。意志を持つ人間ではなく、性的な物体として、生きていかなければならないのだな、と思った。

そんな苦しい中、2年間の全契約を終了して、すみれは、20歳の若さで、AVを引退した。しかし、その後の人生も、ろくな物ではなかった。自分を汚して、痛めつけていないと、自分が存在しているのか、よく分からなくなっていた。

しかし、22歳の時に、一人の男性に出会ったのだ。風俗店で働いているすみれの元に、毎日通ってくる男性。空いている時間に来て、指名料は払わず、毎日のように自分のところに来る客。最初は何だこいつと思っていたすみれだが、性的な事を求めて風俗店に来ているにも関わらず、自分の事をちゃんと魂がある一人の人間として扱ってくるところをみて、段々心をひらいていった。そして告白され、付き合うこととなり、一年後、23歳で結婚した。

「旦那にプロポーズされた時ね」

 すみれは、言った。

「私、言ったの。私、AV出てたことあるけれど、それでもいいのかって。私の裸は、インターネットに流れて、毎日様々な男が見ている、そしてそれは永久に消えないけど、いいの?って」

 そして、そこで、思い出し笑いをした。

「そしたらね、『何本か見たことあるよ。でも、あんまり好きな感じの作品じゃなかったなー』って言ったの。一瞬、なんて失礼なやつだと思ったけど、そんな無神経なタイプだったから、知っていても、全部気にせずに、私のところに来てくれたんだな、と思って」

「それで、結婚を決意したってわけね」

 美果はコーヒーをすすりながら言った。

「すみれが幸せそうで、よかった。旦那さんは今、何してる人なの?」

「自営。パソコンの修理とかしてるの。だから家の中には、パソコンのパーツとか山ほどあるよー。私も、経理とか色々やってる。親と同居してるから、子供の面倒みてもらえるしね。二人で小さい会社運営しているイメージかな」

「そっか、よかった」

 家族構成を聞いて、美果の頭の中に、ワイワイ幸せそうに過ごす家族の絵が浮かんできた。

 ところで、と、今度はすみれが美果に問いかける。

「美果は今何やってるの?声優は?」

 美果は苦笑しながら答えた。

「…声優はやめちゃった。大学時代声優学校に通ってたんだけどさ、何か向いてないなー、と思って。それにサークルとかも楽しかったし、そのままそっちに比重移して、普通に就職活動して、会社入っちゃった」

「そっか…」

 すみれは肩を落とした。美果は言った。

「…声優になりたい、ってずっと言ったけど、特に私が声優になりたい確固とした理由なんて、なかったんだよね。私は、ただアニメが好きだったから、何となくなりたいと思ってただけだった。多分、見込みが甘かったんだと思う。何も考えずに、ただ、なりたいって言ってただけだった」

「そう…。でも、美果が今幸せそうだし、私、全然それでいいと思う」

 すみれは笑いながら、そう答えた。

 ウエイターが水を交換しに来たタイミングで、我に返った美果がふと顔を上げると、時計の針はもう夜の十時半を回っていた。美果は慌てて立ち上がる。

「ごめんすみれ、明日早出だから、もう帰らないと!」

「あ、そうだよね、ごめん!」

 二人は、慌てて立ち上がった。

 駅までの帰り道、二人は昔、学校からそうして帰ったように、ゆっくりと、肩を並べて歩いた。美果は問いかけた。

「ところで、すみれの子供、男の子と女の子とどっち?」

「女の子だよ、ふたりとも」

「そうなんだー、女の子はいいよねー。私もどうせなら、男の子より女の子が欲しいな」

 美果の言葉に、うん、と頷きながら、すみれは、答えた。

「そうだね、二人とも女の子で、ホッとした」

「ほっとしたって?」

 すみれの言葉に、思わず美果は驚いて聞き返した。女の子だとほっとして、男の子だとほっとしない理由が、美果には思いつかなかった。

 すみれは苦笑いしながら答えた。

「多分、私が意識しすぎておかしくなってるだけなんだろうけど…。女の子だったら、もしかすると自分みたいになっちゃうかも、っていう怖さはあるけど、でも、『加害者にならなくて済むからよかった』って思っちゃうの。自分がバカだったって事は分かってるんだけど、やっぱり私はまだどこかで男の人を怖がっている気持ちがある。性欲がある以上、男の人は無意識の内に若い女の子を消費して、加害者になっちゃう。その男の人の無意識が、凄く怖くて、辛い…」

「そっか…」

 男の人全てを、そうやってくくって、加害する生き物のように扱ってしまうすみれの考え方は、正直美果は極論だと感じた。しかし、美果には、それを極論だと言い切れる程の根拠も体験も、何も持ちあわせていなかった。

 二人は、駅前のロータリーに到着した。

 すみれは、ピタリと足を止めると、美果にニッコリと笑いかけて言った。

「じゃあ美果、今日はこれで」

 改札につく前に別れを切り出すすみれに、美果は驚いて聞く。

「あれ、すみれは電車乗らないの?」

「うん、最初はそのつもりだったんだけど…」

 そう言って、すみれは後ろを振り向いて、車道を見た。するとそこには、車の中から、すみれに向かって手を振る一人の男がいた。美果は理解した。

「ああ、旦那さんが迎えに来ちゃったの?」

「うん、そうみたい…」

 すみれは、少し照れくさそうに笑った。そんなすみれを見て、美果は苦笑した。

「そっか、すみれが幸せそうでよかった…」

「うん、また近々会おうね」

 すみれが、美果に向かって手を差し出してくる。

「うん、またね!」

 美果は強くその手を握り返した。

「じゃあ、私はこれで行くから!」

 そうして美果は、駅構内へと歩みをすすめる。少し後ろを振り返ると、いつまでも自分の方を向いて手を振り続けるすみれが見えた。美果は今、長年の胸のつっかかりが、取れたような清々しい気持ちだった。今夜は、本当によく眠れそうだと思った。

 電車に乗った美果は、窓の外から、街のネオンを見つめた。キラキラ輝くネオンは本当に綺麗だった。すみれは幸せを見つけられてよかった。でも、あのネオンの下で、昔のすみれみたいに、今も苦しんでいる女の子が、沢山いるんだろう。自分たちの青春を殺し続ける女の子たちが、沢山眠っているんだろう。

 美果はまだ見ぬ彼女たちを思い、静かに目を閉じた。


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