キモオタは外道とあんぱんに目覚めたようです
「猫裁判長!被告人を連れてきました!」
……猫?
両手に手錠をかけられた俺は、裁判所ではなく裁判室に案内された。
キビキビとした声を発しながら兵士がノックすると、中から低い男の声が返ってくる。
「入れ」
「はい!失礼します!」
当然のような流れで重い扉を開けると、
テレビドラマでよく見る裁判所と同じ光景が目に入った。
………………ただ一つバグってるが。
苦笑しながら、裁判長がいるはずであろう場所を見上げる。
そこには、スーツ猫が…………。
あーなるほど、だから猫裁判長なんですね。へーはー……
なんでだよっ!!
アイツはどんなキャラグラフィックを使ってるんだこん畜生!!
バグじゃなくてセンスの問題だぞこれは!
言うのも変な感じだが、赤毛金眼だ。
サイズはせ○とくんくらいと言えばイメージしやすい……かもしれない。
「何してるんだ!さっさと歩け!」
すいません、今回は突っ込みタイムもとらせていただけないようです。
とぼとぼと中心に歩いていく、「正座しろ」との声が聞こえると、
逆らわずに正座して……やった。
自分の意思じゃないんだからねっ!とでも言い返したい。
絶対にひかれるが。
「では、これより裁判を始めます。きりーつ」
帰りの会的なノリなのか?ってか後ろで両手止められてたら立てんよ。
俺は顎だけをぷるぷると上げ、必死ですアピールをする。
「礼」、「着席」もなんとか乗り越えた。
「えーでは判決に入りたいと思います」
「ちょっと待てええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
ピンポンパンポーンで省略されたわけではない。
何故かいきなり判決が下されることになっている。いやマジで待てよ。
だが叫び声を上げた瞬間、
兵士が左腰の鞘から剣を抜こうとしていたのですぐに俯いた。
冗談じゃないか……これがこの世界の裁判……じゃなくて囚人処理。
「死刑、準備!!!」
「イエッサ!!」
お前ら何か途中でキャラ変わってないか?
そんな思いを無視して兵士二人が左右から俺の首に剣を近づけ、
あたるスレスレでピタリと止めた。
……もういいや、外道を盗んだ三輪車で突っ走ってこよう。
手錠に、魔方陣を描き、小声で技名を……。
「人体練成」
間違った英語だが正しく言うと長いのでこんな感じでいいだろう。
そして技名発言と同時に、裁判室の扉が勢いよく開かれた。
「待って!!犯人は私よ!!」
やっべぇなんか変なのだしちゃった。……ハ○センボンの春○ね。
兵士が、俺が、猫裁判長が言葉を失う。
しかもどうやら練成後のコントロールは不可能なようで。
「すいませんでした。ってことで自分の首を斬ります」
瞬歩並みの速さで自分の傍に移動して、ひょいと兵士の剣を取る。
あ……あの体でこのスピード……ニュー○イプか!?
「バイバイこの世」
そこから先はグロいのでご想像にお任せしよう……なんて言ってみる。
実際裁判室に血が飛び散るだけの話、というのは皆わかってるだろうしね。
『いや~、お主も悪よの~』
うるさい黙れ。
裁判騒動を終え、七割程度疑いが晴れた俺は応接室に案内された。
勿論今度は普通のコンビニ店員的対応で。
ソファとテーブルしかない殺風景な部屋だが……客に茶をださんとはな。
実際、テーブルの上にお茶セットがあるがこういうのは客がやるもんじゃない、
だが……お茶はほしい!
まぁ後で飲めばいんだけども。
「いや、本当にすまなかったな」
セミロング赤髪茶眼(おそらく美形)の女が男口調で向かいのソファから
話しかけてくる。いやぁ本当に俺以外は外道だな。
これは男に女だせばなんとかなるだろ?という考えから来ているに違いない。
普通ならタキシード老人か……猫裁判長がでるはず。
俺もさっき外道突っ走ってきたが三輪車だから俺は外道じゃない
ということにしてほしい。ちなみに三輪車も盗んだら犯罪です。
……とぉ。どうしようかな。
ここからアドベンチャーゲーム的には選択肢が別れたりするわけなんだが……
1、俺は勇者に、なる!
2、俺は海賊○に、なる!
3、俺はハーレムに、なる!
4、俺は放浪者に、なる!
この4つかハーレム放浪者とかのミックスしかない。
キモオタの俺には全く合った選択肢がないんですよね。
キャラは……せっかくチートなんだしリア充キャラでいこうか。
「それはいいからさっさと今後の流れを説明してくれ」
「今度?何言ってんだ?」
へ?
「いや……今後って言ったら勇者になるとか……」
「悪いがここにはもう勇者がいる」
ちょとタンマ。………………なるほど、よくわかりました。
少し俺は油断していたみたいだ。まずこの世界はゲームじゃない。
イコール、流れとかなしの自由。美少女とかは簡単に見つからない。
&……見つかっても自分は眼中にない。
主人公(イコール俺)がただ死にそうな思いをしていくだけのクソゲーだ。
あ、ゲームじゃないか。
どうするかな。放浪者ルートがほぼ確定しているんだが……
ここはもう放浪者になるしかないな。
ただし、国の行き来自由にしてもらおう。魔界も王国、どちらも自由に行ける。
そんなチートさんを目指してみようか。
―――となれば!ふふふはははHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!
『お、覚醒したか』
うるさい黙れ。
よし……やってみたかったこと1、VS勇者をやろう!
勿論邪魔するやつは全て粉砕、殺害、あの世行きだあああ!!!
「おい自称美形」
「は?」
まぁ自称してなかったけど個人的にそれが合ってると思いまして。
は?って何?俺の最終目標は世界制服なんですが。
『え?協力?』
いやお前は奴隷にする。
「その勇者と対談((デスマッチ))したい、いいか?」
無理何て言わせないがな。
グー型のハンマー武器なんて言うんだっけな……あれで頭蓋骨粉砕したい。
「OK,呼んで来るよ」
言って、自称美形は席を立つ。
完全に外道人間となってしまった俺だが……一応正気だ。
とりあえず今日は果たし状だけ渡すつもり。
よし、書いてみよう。
「創造」
紙と筆ペンをテーブルにだす。なんだかんだで便利なチートだ。
ミスしたらやばいな……てか俺、何年も文字書いてないぞ?
引き篭も……パソコンにはまってたからな。
とりあえず普通っぽく書くか。
【勇者さん、お元気ですか?とりあえず私は元気です。
あれからもう4年が経ちますね。
息子さんも新しいお母さんが欲しいと思うのでそろそろ
再婚を考えてみるのもありかもしれません。
オススメはCMで話題のあのサイト!http://www.omiai.com/……】
違うな。ってか何故途中で気づかない。
これ……あぁ……意外と深刻な裏がありそうだ。
書き直しだな。
「創造」
再び紙を出す。
次こそはしっかり果たし状っぽくしなくては。
【あんぱんあんぱんぱんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんぱんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱん】
きた!あんぱんの呪○!
ってこれも違うし!!なんでこんなもん書いてんだ俺は!
『なぁ』
ん?何だ?ゴキブリなら粉砕するぞ?勿論お前の角で。
『いや……完成したものをチートでだせばいいんじゃ……』
あぁそうですね。
「失礼します」
爽やかな声とともに、王冠&マント王子服の勇者野郎が部屋に入ってきた。
勿論、俺は顔を顰めて睨みつける。
「あ、す……すわりますね」
どうしたのかな?なんか怖いことでもあったのかな?
あったならあんぱんを食べるといいよ?
とりあえず、顔を戻そうか。
「来てもらったのは他でもない、これを渡したかったんだ」
言いながら、ふところ……ではなくポケットから果たし状を渡す。
勿論、完成品だ、どこもミスはない……はず。
「開けるのは夜にしてくれ」
しまった失言。これじゃラブレターみたいな感じになる。
……つけたそうか。
「ラブレターではないから安心してくれ」
「はぁ……」
「そんなことわかっている」
自称美形さんはご機嫌斜めのようです。
まぁ……人に使われたことなかったんだろうな。これだからリア充は困るんだよ。
あ、勇者もリア充か。
ちなみに勇者は茶髪黒眼。殴りたくなるほどの美形。
最終的に殴るがね。
「じゃあ俺はこれで……自称美形」
「んだよ」
どこの不良だ。
「部屋空いてるか?詫びとしてだしてくれる……と思ってたんだが」
「あーあーはいはい。出してあげますよ、とんでもなくボロいのをね」
人体練成でリンチされたいのか?
ってか野宿でもよかったな。チートで豪華テント作ればいいわけだし。
自称美形が部屋をでると、俺は扉の前で勇者を振り返った。
「殺してやんお」
……退室。
ちなみに対戦時刻は正午、場所は庭園と書いた。
庭園がどこか知らないがおそらくあるだろう。
チートでマップだせば迷子にもならないから便利だ。
まぁ庭園にはたくさんのお花が咲いているだろうが俺には関係ないな。
全て焼け野原に変えてやんよ。
-完全なるネタ(笑)、神様の日記ー
【今日、もやし体型の可哀想なひょろひょろ男が一人、天界で生意気な口をきいてきました。なんでも、チートが欲しいとか。勿論、自分は優しい神なのでチートをあげました。でも、それじゃ自分にメリットがないので邪魔者だった腐れ魔王も一緒にあげました。可哀想な人たち同士がくっつくって素晴らしいですね。さて、今日もオンラインでモン○ンやろう】
なんだこれw
完成した瞬間思いましたw
いやー…ストーリー担当の浅木幸介さんは最近忙しそうです。
テスト期間だし新人賞作書かなきゃいけないし・・・
忙しい日本、がんばれ!((何をいきなり