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キモオタは逮捕されたようです

{SRPGファンタジックワールドの魔王なんだけど、

  勇者待っているときコンビニでかけたらトラックに轢かれて死んだんじゃ}

 「……」


 つっこみを口に出すことができないな……。

 1、コイツ魔王だったのか

 2、どんくさ

 3、SRPGの世界まで作る神(の声)ってただのゲーマー?

 4、ファンタジックワールドにトラックとかコンビニとか入れるもんじゃないだろ

 

 おお……4つだけだった。

 俺は心の中でそんな喜びを感じながら手錠魔王をじっと見てみる。


 金髪碧眼。

 ツインテールならリボンとかがある場所に携帯電話開いた長さくらいの白い角。

 服はドラゴン○ール、ピ〇コロのコスプレに近い……。

 なんて可哀想な奴なんだコイツは。

 

 「で、俺はコイツをどうすればいいんです?」

 {結構はっきり見えてるけどそいつ霊だからお前に憑依させる}

 「―――へ?」


 言って、再び神(の声)は指をパチンッと鳴らした。

 すると悟○のスピードくらいの速さで手錠魔王が俺に引き寄せられていく。

 いやいやいや!待て!頭と頭でごっつんこするだけだろ!!

 ってか角刺さるんじゃね!?

 

 「ちょっ!!タンマ!待っ……ああああああああああああああああああああ!!!!」


 叫び声とともに、俺は気を失った。




 ん……?どうなったんだ……?

 眼が覚める。……流石に二回死ぬなんてことはなかったようだ。

 目の前に広がるのはさきほどと変わらない天界。

 が……なんか視界がぼんやり。


 {お、眼が覚めたか}

 

 何回こんなことをさせられなきゃいけないんだよ俺は。

 ……あれ?俺さっきのは心じゃなくて口にだしたつもりなんだが。

 声がでない。っていうか全身が言うことを聞かない。


 HPが0に近いのか?そう思った瞬間、俺の体は勢い欲立ち上がった。


 「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!体GETだぜ!!!!」


 おい待て!何言ってんだよ俺は!!!

 ってかこの喋り方……もしかしたら……


 {嬉しいか、魔王}


 やっぱり魔王か……さっきまでしゅんとしてたのに

何でこんなにテンション変わるんだよ。ってかどういうこと?この状況。


 「嬉しい!嬉しいでゴザンス!!!!」


 頼む、そういう喋り方とかは止めてくれ。

 

 {あー簡単に説明するぞ?魔王が憑依したお前は今、二重人格状態みたいな感じじゃ。で、今表に出て体をコントロールしてるのは魔王。

叫ぶと入れ替われるから、やってみ?}

 

 何勝手にそんなことしてんだよ。せめて常識人にしてくれ。

 ……叫ぶか。よし、あああああああああああああああああああああああああああ!!


 「ぬあっ!意識が!意識が薄れて…………」


 ちょっとお前黙ってろ。




 「よしっ、戻った」

 {そうか………………一生戻れなかったらよかったのに}

 

 いや、丸聞こえだから。

 俺は手をぐーぱーしたり足を上げてみたりしてコントロールが戻ったことを確かめる。

 体が軽く感じる……おそらくだんだん普通の状態に戻るが。


 ふぅ、と安堵の息を吐いたとき、脳内で怒声が響き渡った。


 『だせ!!!!今すぐここからだせ!!!!体を返せ!!!!!』


 ……魔王の声だ。っていうか俺の体だし。

 

 「魔王の声が聞こえるんですけど……」

 {それは無視。魔王がコントロール握ってるときも同じじゃ}

 「で……これに何のメリットが?」

 

 こんなうるさいやつ、居てても邪魔になるだけなんですが。

 そういえば仮面○イダーの電○って一人の少年に

たくさんの人格が宿っていくやつだったな。

最終回は寝坊したからパソコンで見たけど。あーっ、あれ面白かった。 


 {魔王は料理と接近戦が得意じゃから

腹が減った時とかにコントロールを渡せば便利じゃろ?}


 そのまま世界制服とかされませんかね。

 いや……無理かこんなダメ魔王に。


 『何ぃ!?ダメ魔王だと!!!!!』


 あーあー聞こえなーい。

 

 「……そろそろ行っていいですか?」

 {あぁ、じゃあ送るぞー}


 なんなんだこの異世界トリップ前神との会話は。

 神(の声)がパチンっと指を鳴らす。

もう指の鳴らせない俺をおちょくっているようにしか聞こえない。

 そして、意識を失った。



 ――っ……何回意識失わせるんだ。さっきと同じようなこと言ってるけど!

 今度こそ、視界に入ってきたものは違った。

 窓からはっきりと稲妻が見える。赤と金が八割を占めている暗い王室に、

血を流して倒れている一人の中年男。

周りにはタキシードを着た老人が顔を顰めて立っている。


 ……いきなりどんなバグをしかけてんだアイツは。

 状況を説明すると、絶対王様だろみたいな人が殺されて死んでる。

そして現在位置はその王室にある王座の影。


 『ダダダッ♪ダダダッ♪ダーダーん♪』


 うるさい黙れ。

 とりあえずしゃがんだ状態だからまだタキシード老人たちに俺の存在はバレていない。

ってかバレたらどうなる。


 ……王様を殺害した犯人にされて死刑か。

 チートで死者蘇生なんてことはおそらく無理。

 どうせアイツは世界の流れを変えるな、とか思って攻撃系とか

少しの体力回復系くらいしか使えない。

 

 何でいきなりヤバイところに放り込まれてんだ俺は。

 ……出る?とりあえず出てみようか。意外と温かい人たちだったりなんてありそうだ。


 「あの…………」

 「くせものだ!!!!捕らえろ!!!!!」


 人生オワタ。勘違い判断乙。

 大声を上げながらタキシード老人たちがこちらへ走ってくる。

 正直後で大変なことになりそうだがここは抵抗するしかないだろう。

 

 ……死なない程度の攻撃か。

 とりあえずオリジナルだけを使うことにしよう。

 

 「空間捻曲ディズ!!」


 適当な技名を発しながら、右手を前に突き出す。

 まぁ、あれだ。ドラ○エのスキルみたいな感覚で技を作ろうかと。

 チートの力で、上下左右がバラバラになる。ポケモ○プラ○ナでいう反転世界。

 

 死ぬっていうか……攻撃じゃないな。

 思いながら走って王室をでる。

 ちなみに俺は脚が遅いのでタキシード老人に服を掴まれそうになった。 

 

 ――っ……どうすればいい。

 ここはおそらく王国。

王国側につけとは言われてなかったが王国についた方が普通でいいような気がする。

 魔界行ったらSMプレイされそうだし。

 

 『とりあえず自分が犯人ではないことを証明するのはどうだ?』


 それができれば苦労しない。

 

 『いや、洗脳すれば何とかなる』


 できるわけないだろ!ってかどんだけ外道走ってんだ!!

 ……でも何とか証明だけはしとかないとな。

 嫌われ者の放浪者なんて絶対に嫌だ!

 

 思っていると、王室からタキシード老人が一人でてきた。

 そして、気づけば俺は兵士たちに取り囲まれている。

 乙ですた。


 ……降参して事情を話すか。

 ゆっくりと両手を挙げ、俺は目を閉じた。


 

 

 「ほれ、飯だ」


 無表情の兵士が檻の外からパンを投げ入れる。

 ……俺は捕まった。勿論、話なんて聞いてくれない。

 連行前、ちらほらと「死刑か?」などの声が聞こえたからこのままだと

おそらく予想していたのと同じ展開になるのだろう。

 ……まぁその流れに逆らうつもりでいるが。


 さて、どうする……?

 檻の中、一人あぐらを組んで目を閉じる。

 とりあえず攻撃とか暴力に走ったりするのは止めておこう。さらにヤバイ状況になる。

 っていうか何で王様死んでんだ?


 『魔界の魔王が攻撃をしかけてきたんだろ』


 あ、なるほど。死んでパニック状態になっているところを攻める作戦か。

 あんまり頭捻らないんだな。

 ……証人がいればなんとかなるんだがな…………。


 『人体練成』


 外道だ。俺の心を自分色に染め上げるのは止めてくれ。

 裁判行ってから考えるか……あれ?裁判あるのかな……?


 「おい、起きろ」


 兵士の声が聞こえ、閉じていた目をゆっくりと開ける。

 見ると、檻のトビラが開かれていた。

 ……まぁ逃げてもいいぞ、ってことではないんだろうけども。


 「裁判所に移動だ。喋るなよ」


 あ、裁判あるのか。安心安心。っ……弁護人なしで勝てる気がしないな。


 『俺がいる』


 誰もいないな。しょうがない、一人でがんばるか。

 いざ、ってときにはもう外道通って人体練成するしかないが。

 不安に思いながら、俺は裁判所へとぼとぼと連れて行かれたのだった。


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