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彼女は桃の花

作者: かな
掲載日:2026/06/20

あら、隣に座りたいの?

ええ、空いてるわ。荷物退けるわね。

さ、どうぞ。


はじめまして。

え、何歳か?

レディに聞いちゃダメなのよ。

そう、ナイショ。


これ?素敵でしょ。桃の花、もらったの。

あなた、花言葉って知ってる?

特別に教えてあげるわ。

桃の花言葉は、「私はあなたの虜」。

私にふさわしいでしょ?


あなた、恋したことある?

私は恋ってよく分からないの。

みんな私のことを好きになるわ。

みんなが私を愛してるの。

私はそれを受け取るだけでいいのよ。

パパがそう言ってたの。

でも、いつか私も愛してみたいの。

私にふさわしいイケメンな王子様に出会ったらね。


ところであなた、ステキなお洋服ね。

私のお洋服もステキ?ありがとう。

この帽子は新しいの。

前のが使えなくなったから、ママが買ってくれたのよ。

お姉さんっぽくてステキでしょう?


あら、おうちの人が来たみたい。

もう行かなくちゃ。

話してくれてありがとね。

さようなら。







******視点交代******




















彼女は手を振って、隣に控えていた女性と共にダンディなお爺さんの車へ向かった。

新しい帽子の鮮やかな色が車の中に消えていった。

彼女の話でふと気になって、スマートフォンを開いた。

桃の花言葉を検索する。


桃の花言葉は、「チャーミング」「気立ての良さ」「私はあなたのとりこ」「天下無敵」。


なるほど、彼女にぴったりだ。

笑顔がチャーミングだし、快く席を譲ってくれた優しさから気立ての良さも感じとれる。

この短時間で私も彼女の虜になった。

それに、物怖じせず初対面の私と喋る姿は、天下無敵という言葉がよく似合う。

私があれくらいの歳の頃は、人見知りしていたと母から聞いた。

おませな女の子だったな。

かわいらしい黄色い帽子を被った彼女の胸には、もも組のおなまえバッジが光っていた。

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