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感情が忙しいヤマト

 なんとか最年少魔術師ヤマトに協力を取り付けて王都に向かう道中。

「他に使える魔術はないのか?」

 目を輝かせたヤマトに食いつかれるように質問されていた。

 本当に魔術のことになると骨を前にした犬のようになるんだな。魔術オタクめ。

「そうだねー、火魔術以外だと、土と草魔術の下位は使えるよ。」

「他には?」

「一つだけあるよ。感情制御魔術」

 私ーファミアーは結構複雑な事情が絡み合って、自分の感情を落ち着けて自分の内側に集中する、ということが強制されるような環境にあった。でも、こういう魔術は名前から勘違いされやすいだよなあ。

「なんだその面白そうな魔術は!相手の感情を自在にコントロールできれば戦闘面でも交渉とかでもかなり役に立つんじゃないか?」

 そう。こんな風に。そんなことできたら国一番の魔術師になれてるよ。

「違うんだよね。止まってる人間にしか魔術かけられないし、魔術かけるのに1分くらいいる。気持ちを落ち着けたり、ちょっと高ぶらせたりするくらいだから戦闘には使えない。」

「それでも面白そうじゃないか!」

 あれ?いつもだったらがっかりされるのに。自分でもそれを知ったとき拗ねまくって父親を半泣きにさせたのに。流石魔術オタク。

「ちょっ、俺にかけてみてくれよ!」

「よくそんなに躊躇なく他人に魔術をかけてもらおうと思えるね。まあいいよ。とりあえず動かないで。」

 詠唱は得意じゃないけど、幼少からずっと使ってるから慣れてる。他人に使ったことは少なかったなかったけど、すんなりかけられた。

「じゃあまず、落ち着かせるね。」

 ヤマトの感情を下げるように、一単語だけ詠唱した。

「…なるほど、たしかに、新魔術を、前にして、興奮しない」

「なんか興奮はしてるから変だねw」

「次」

「わかった。じゃあ高ぶらせよう」

 一度詠唱は済ませていれば、解除されるまで魔術は続くから、上げたり下げたりは一単語詠唱するだけで簡単にできる。

「なるほど、感情そのものを高めるというよりは、脳みそ近くの魔力が微妙に動いてるような……いきなり、下げないで」

 話が途中で折られるようにヤマトが小声になった。

「ちょっと分かりやす過ぎない?w」

 たしかに元々二重人格っぽかったな。にしてもこんなに分かりやすく感情が上下するとは。新種のおもちゃかな?

「俺、こんなに、分かりやすかったのか?興奮していないと考察できないちょっと変態的な性格だったのか?それにしても一度かけたら自由に操作可能とは面白いな!これも高ぶっている証拠、だった、のか、だから、下げるな」

「ヤバい一生やってられる」

「待て、やめて、ちょっと本気でなんかおかしくなってくるからやめてくれ。何度かやられて脳周辺の魔力が動いて、脳に直接働きかけるような魔術ではないこと…、が、わかった、から、やめて」

 その後5分くらい続けたら大金払わせるぞと脅されたので止めてあげた。

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