「第7話 避けて進め!~最初の試練~」
リオナとアリシアが部屋に足を踏み入れた瞬間、床のモチモチした何かがいきなり手首に絡みついた。
「うわっ、な、なにこれ!?」リオナは思わず後ろにのけぞる。
気づけば二人の手首はモチモチでがっちり繋がれ、まさかの手錠状態に。
「……なんのいたずらかしら?」アリシアは首をかしげた。
壁に看板がふわりと現れる。今からやるギミックは、すべて手錠がついたまま攻略せよ――と書かれていた。
リオナの心臓が、思わず早鐘を打つ。
(えっ!?このままギミックを解くの!?呪いのせいとはいえ、アリシアとこんなに近いなんて――胸がぎゅうってなる。心臓がもたないよ)
リオナの胸がドクンと鳴る。直後、部屋の奥から何かが発射される音が響いた。
「……あ、あれは……?」リオナが指さす先、壁のあちこちに小さな穴が開いた。そこからモチモチの弾がシュルシュルと飛び出した。
「リオナ!伏せて!」
その言葉で二人は急いで伏せた。
「なるほど。まずは……あれを避けつつ、奥のドアまで……ね」アリシアが小さく息をつき、リオナの顔を見る。
(そんな真剣な目で見つめないでよ……照れるってば。でも今は集中!)リオナも気合を入れる。
弾は予想以上に柔らかく、粘着性がある。ちょっとでも触れると手首のモチモチが絡みつき、二人の動きがふらつく。
「わ、わわっ!」リオナは体をひねって弾をかわすが、モチモチ手錠が二人の動きを縛る。
「落ち着いて、ゆっくりでいいのよ。私が指示を出すわ。リオナ、右!」アリシアの声が耳元で響くたび、リオナの心臓はさらに速くなる。
「ひゃ、ひゃいっ!」
(やばっ、変な声出ちゃった……!)
二人は声を掛け合い、体を寄せ合いながらモチモチ弾をかわして進む。手首の束縛のせいで動きはぎこちない。それでも微妙なバランスで助け合わなければ進めない。
「リオナ!危ない!」
アリシアが身を呈してリオナを守る。しかしアリシアの体にモチモチ弾がつき、動きづらくなってしまった。
「アリシアごめん。私のせいで……」
「何言ってるの? あなたは最強の剣士なんでしょ。私が動けなくても、あなたが奥まで連れてってくれる。――私は信じてるわ、リオナのことを」
その言葉に、心が一瞬で引き締まり、迷いが霧のように晴れていった。
(アリシアの言う通りだ。今は恥ずかしがってる場合じゃない。覚悟決めなさい私!)
「そうね。私は最強の剣士よ。アリシアを連れてクリアするぐらいやってみせる。行くわよアリシア」
「ええ」
リオナはアリシアの目を見る――ふと胸の奥がざわついた。
(……こんなやりとり、前にもあった気がする)
けれど今は、立ち止まっている暇なんてない。
そして数回の飛び出し弾をかわした後、壁際にある次の部屋のドアが見えてきた。
「……もうすぐね」アリシアが小さく微笑む。リオナも息を整え、ドアノブに手を伸ばす。
「ふたりで……行くわよ」手錠で繋がれた手をぎゅっと握り、リオナはドアを開いた。
次のステージの光が二人を包む――次はどんな試練が待ち受けているのか、不安と期待が入り混じる胸の鼓動を感じながら、二人は次の部屋へと足を踏み入れた。
この物語は百合オタクの自分が趣味で書いてます。自分用ですが、読んでくれる人がいれば嬉しいです。投稿頻度は不定期です。




