「第14話 朝の光と新たな旅路」
朝の光が、透明なテントの壁をやわらかく染めた。
リオナはまぶたの裏に残る温もりを感じながら、ゆっくりと目を開ける。
昨日のアリシアの笑顔が、まだ頭の中に残っていた。
というか――夢の中でも、あの顔が出てきた。
「……まったく、どんな夢見てんのよ、私」
頬を指先で叩いて、リオナは小さくため息をつく。
外に出ると、アリシアがもう火を起こしていた。
朝露を帯びた紺色の髪が、朝日に照らされてきらきらと光る。
――ちょっと、まぶしい。いろんな意味で。
「おはよう、リオナ。いい朝ね」
その一言で、昨夜の胸の高鳴りがぶり返す。
アリシアの声って、なんでこんなに柔らかいんだろ。
「お、おはようアリシア。昨日は……寝れた?」
「ええ。おかげさまでよく眠れたわ、ありがとう」
「そ、そう。それならよかった」
(私はというと、アリシアの顔が頭にチラついて全然眠れなかったけど……!)
「ん〜……もう、みんな起きてるのぉ……?」
「おはよう、リリィちゃん」
「エリナも起きてます。お姉ちゃんが起きたらすぐ起きますので」
「みんな起きたみたいね。じゃあ、朝ごはんを作りましょうか」
「お姉ちゃんの手料理きちゃ〜!」
「いや、まだ私が作るって決めてないわよ」
「とはいっても、食材はどうするんだ?」
「私たちは冒険者なのよ。やることは――決まってるでしょ?」
「モンスター狩りだな! アタシ行ってくる!」
「待って、リリィちゃん。これ、持っていきなさい」
アリシアがリリィに手のひらサイズの立方体を渡した。
「何これ?」
「そのボタンを押してみて」
「こうか?」
リリィが押した瞬間、立方体はふわりと膨らみ、あっという間に大きくなった。
「うおっ、すげぇ! これも魔具か?」
「そうよ。『フロストボックス』っていって、食材を新鮮なまま保存できるの」
「便利だな! ありがとな、アリシア!」
「ふふっ、気をつけてね」
「おう!」
リリィは元気よく森の中へ駆けていった。
「ロリハンマーは本当に元気ですね」
「エリナも同じくらい元気だと思うけど」
「いくらお姉ちゃんでも、ロリハンマーと一緒は嫌です」
「はいはい、エリナの方が落ち着いてますよ〜」
「それでこそ、私の大好きなお姉ちゃんです」
「リリィちゃんが食材を集めてる間に、次の目的地を決めましょうか」
「そうね。アリシアの言う通りだわ」
「またダンジョンを目指すのではないの? お姉ちゃん」
「それがね、次のダンジョンはどこもここから遠いのよ。まあ“モチモチの館”が近すぎただけだけど」
「なるほど。でも、エリナはお姉ちゃんの呪いが早く解けてほしいので、ダンジョンに行きましょう」
「やっぱりそうなる? ……でも、一旦隣町のリーフレイクで休憩するって手もあるわね」
「お姉ちゃんと休憩、それもアリですね」
「……なんでそういう発想になるの」
「ふふっ、だってお姉ちゃん好きですもん」
「はいはい、知ってる知ってる。でも毎回言わなくていいの」
「照れてる?」
「照れてない! 呆れてるの!」
「え〜、そんなツンツンしなくても〜」
「ツンツンじゃなくて正論よ!」
(ほんと、この子どこまで本気で言ってるのやら……)
「それでどうするの?ダンジョンかリーフレイクか」
「リーフレイクを目指そう。近いとは言えないけど、ダンジョンよりはずっとマシ」
「町の人にいろいろ聞けるかもしれないし、いい選択だと思うわ」
「確かに……よし、リーフレイクに決定! リリィが戻ったら伝えよう」
アリシアが微笑んで、リオナの横に並ぶ。
距離、近い。朝の光よりまぶしい。
「新しい町、楽しみね」
「もちろん。私がいるんだから任せて」
(……アリシアに、格好悪いとこなんて見せられないしね)
こうしてリオナたちは、新たな目的地――リーフレイクを目指すことにした。
この物語は百合オタクの自分が趣味で書いてます。自分用ですが、読んでくれる人がいれば嬉しいです。投稿頻度は不定期です。




