「第12話 モチモチの館~秘伝の部屋~」
扉の先に広がっていたのは――柔らかそうな白い床だった。
「秘伝の部屋までモチモチなのかよ」
リリィが顔をしかめて足を突くと、ぷにっと沈む。
「みんな、あそこを見て」
アリシアが指を差す先、白い床の中央にひとつの石碑が立っていた。
「もしかしたら、あれに薬のレシピが刻まれてるかも。行ってみましょう」
「よっしゃ! これで呪いが解けるかもしれないな!」
リオナたちは慎重に足を進め、石碑のある場所へと向かっていった。
「おい、この石碑にはなんて書いてあるんだ? アタシ読めないゾ」
「うわっ、古代文字じゃん。私苦手なんだよね~」
「お姉ちゃんが苦手ならエリナも苦手です」
「いやエリナは見るの初めてでしょ」
「となると残りは……」
三人がいっせいにアリシアの方へ顔を向ける。
「なんとなくそんな気がしたわ。私に任せて」
アリシアが静かに石碑をなぞりながら、古代文字を解読していく。
「どうだった? 薬のレシピについて書いてあった?」
「残念ながら、薬のレシピじゃなかったわ」
「そっか……。まあ、そんな簡単に見つかるわけないよね」
「代わりに何が書いてあったんだ?」
「この石碑には、“モチモチのポーション”のレシピが書いてあったわ」
「モチモチってなんだよ……」
「そう書いてあるだけよ。“モチモチになる”って。どうする? 一応覚えておく?」
「うーん……一応覚えとくか」
「秘伝の部屋にあったんだし、絶対すごいモノだと思うゾ!」
「ロリハンマーの言うとおりですね。もしかしたら使えるかもしれません。それにモチモチですよ。お姉ちゃんとずっとくっつけるものかもしれません」
「お前、本音でたな」
「とりあえず覚えるわ。――共鳴記録!」
その瞬間、石碑とアリシアが光を放った。
「これでレシピを覚えたわ」
「ところでダンジョンって、どうやって出るんだ?」
「たしか秘伝の部屋には脱出方法も書いてあったはず……」
「お姉ちゃん! 看板見つけた~!」
「でかしたエリナ。なんて書いてある?」
「えっと、“この看板を回すと扉が出る。そこから出ろ”だって」
「なるほど。じゃあエリナ、それを回して」
「お姉ちゃん待って。一度に入れるのは二人までだって。今度こそ、エリナとお姉ちゃんで……!」
「おいシスコン。試練を突破した人と書いてあるゾ。つまりお前はアタシとだ」
「そんなああああああああ! お姉ちゃんと一緒がいい~!」
「文句言うな、ほら行くぞ!」
リリィは小さな体でエリナの手を引っ張り、扉へと入っていった。
「私たちも出ましょう、リオナ」
「そっ、そうね」
(うわっどうしよう。さっきまでは戦闘に集中してたから良かったけど、またドキドキしてきた)
「リオナ、大丈夫? やっぱり体調が――」
「へっ、平気平気! 問題ないよ!」
(あーもう、そのキリッとした目かっこよすぎ……。でも本当に、呪いのせいでドキドキしてるのかな……)
「分かったわ。とりあえず、ここから出ましょう」
アリシアが手を伸ばす。
「……ありがとう」
(手、近い。手汗とかばれそう……。心臓もやばい。頼むから耐えてくれ~!)
リオナはそう思いながらも、アリシアとともにダンジョンを抜け出した。
この物語は百合オタクの自分が趣味で書いてます。自分用ですが、読んでくれる人がいれば嬉しいです。投稿頻度は不定期です。




