「第10話 惑わされるな!~分身の試練~」
リリィとエリナは次の部屋に足を踏み入れた。すると床から黒い霧が立ち上り、部屋全体を黒く塗りつぶした。
「ここの部屋は何のギミックがあるんだ?」
「まって、あそこに人影が見える。気をつけて、リリィ」
しかし隣にいるはずのリリィから返答はなく、姿も見えない。
「一体何が起こってるの?それに、あそこにいる人影は誰?」
「誰って……私はあなた自身よ」
霧で姿はよく見えないが、目の前にいる人影はエリナの形をしていた。
「は?意味が分からない。私が本物のエリナ・スラッシュよ」
「じゃあ証明してあげるわ。私はお姉ちゃんの胸の成長記録を全部知ってる」
「な、何?私がお姉ちゃんをハグするたびに測っている、私しか知らない情報を……間違いない……私だわ」
「でしょ。そして、お姉ちゃんと結ばれる自信がないことも知ってる」
胸がぎゅっと痛む。
「図星かもしれない。でも、両親を失ったとき私を支えてくれたお姉ちゃんが好き……だから私は、お姉ちゃんと結婚するって決めたんだあああああ!!」
「なんだ?この気力は……私にこのような力はないはず」
「あるんだよ、愛っていう力が!」
エリナは短剣を握った。
「やめろ、同じお姉ちゃん好き仲間じゃないか」
だが、短剣を投げ捨て拳を握る。
「黙れ偽物!お姉ちゃん好きは一人で十分だ!くらえ!!
愛の拳!!」
「剣使わないのかよ!」
拳が人影に直撃し、影は消え去った。
一方、リリィの前にもリリィらしき人影が現れた。
「誰だ?お前……アタシに似てるな」
「そうよ。アタシはリリィ・ハンマ!」
「えっ、名前同じじゃん!よろしく!アタシの名前もリリィ・ハンマ!」
「こちらこそよろしくーって……アタシはあなたなのッ!!」
「アタシはアタシだぞッ!」
「なら、アタシがお前の好物を当ててみせるゾ。ミートスライムのハンバーグが好きだろ?」
「おっ、正解!もしやアタシのファンか?」
「違ーう!あーもうここまで来たらファンと思ってろッ!」
「それでなんでこんなところにいるんだ?ついてきたのか?」
「お前が思っている本心を伝えに来たんだゾ!本当は両親に会ってみたいんでしょ。でも諦めろ。お前を捨てた人だから!」
「それがどうした?もしクソ親なら、このハンマーで叩けばいい」
「リリィーーーッ!!それはモチよ!!」
隣からエリナの声が聞こえた。
「なんだ、モチか。なら叩くまでだなッ!」
「ま、待て。もう一度考え直……」
「轟破衝!!」
「人の話を最後まで聞けーーーッ!!」
ハンマーが人影に直撃し、霧が吹き飛ぶ。
「これでこの試練クリアか?」
「そうみたいね。やるじゃない、ロリハンマー」
「どうよ。アタシ強いでしょ」
「そうね……お姉ちゃんには劣るけど」
「はいはい。このシスコンに何言っても無駄だな」
「なんだとぉッ!言ってくれるじゃない!」
そうして喧嘩しているうちに、急に床に穴が空き、二人は落下した。
ドサッ。
二人が落ちた先には、リオナとアリシアがいる部屋だった。
「クンクン……この匂いはお姉ちゃん!会いたかったよ~」
エリナはリオナに抱きつく。
「怪我はなかった?エリナ」
「うん、無事ッ!」
「良かった……」
リオナはほっとする。
「リリィちゃんたちが来たということは、全ての試練を攻略したのね。ということは、この門が開くはず……」
アリシアが言った瞬間、目の前の門が開き、モチモチの鎖が解けた。
「いよいよ……ボス戦ね。みんな気合い入れていきましょッ!」
「お姉ちゃんと一緒なら楽勝ですね」
「アタシがいるから大丈夫だなッ!」
「みんな油断は禁物よ。慎重に行きましょう」
各々が意思を固め、門の中へ進んでいった。
この物語は百合オタクの自分が趣味で書いてます。自分用ですが、読んでくれる人がいれば嬉しいです。投稿頻度は不定期です。




