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サウナー、祝祭の終わりと新たな日常を送る

三日三晩続いた「ととのい祝祭」は、村の歴史に刻まれるであろう大成功のうちに幕を閉じた。


二日目は村人参加のアウフグース大会となり、誰もがタオルを振り回してはヘロヘロになった。


三日目はバルタのサウナパンとセイルのサドリを中心とした食の祭典となり、村中が満腹と幸福で満ち溢れた。


そして祭りが終わった翌朝。

村は後片付けで忙しないながらも、不思議なほどの静けさと、満ち足りた空気に包まれていた。

広場の中心に立った村長が、最後の締めくくりとして声を張り上げた。


「皆の者、ご苦労であった! この祝祭は、我らが村の新たな門出となった! そして、この我らの宝である施設に、今日、正式な名を与える! その名も――『陽だまりのととのい処』じゃ!」

村人たちは、少し照れくさそうに、しかし心からの拍手でその名を迎えた。

長くて熱い祭りが終わり、この村に、新しい日常が始まろうとしていた。


数日後。

俺は朝一番に、一人で「陽だまりのととのい処」を訪れていた。

施設の維持管理と、毎朝一番に火を入れるのが、俺の新しい仕事になったからだ。

薪ストーブに火を入れ、サウナ室がゆっくりと温まっていくのを確認しながら、俺はととのいのガーデンを散歩する。

すると、パン屋のバルタが汗だくで走り込んできた。


「おお、サウナー! いいところに! これから朝の一仕事だ!」

「バルタ? パン窯はどうしたんだ?」

「馬鹿言え、パン窯の火を入れた後だよ! あの窯の熱で体を温めてから、サウナに入るのが俺の新しい日課でな! 仕事の効率が段違いなんだ!」


見れば、バルタの屋台では妻のミーナが「ととのいセット」と名付けたサウナパンとサドリのセット販売を始めており、朝風呂ならぬ朝サウナ上がりの村人たちで賑わっていた。


次に、ガーデンの薬草畑に目をやると、セイルが腕を組み、インフィニティチェアでくつろぐ年寄りたちの顔色を真剣な顔で観察していた。


「よう、サウナー。今日の被験者たちのデータは上々だ」

「被験者って言うなよ……」

「事実だろう。定期的なサウナ浴が、高血圧や関節痛にどう影響するか。実に興味深い症例が取れている。これはもう、立派な臨床研究だ」


セイルは、村の年寄りたちに「一日一サウナ」を処方箋として出すようになっていた。

俺たちのサウナ医学は、もう始まっているらしい。

そして、最後にサウナ室の扉を開ける。

中では、アリーが数人の女たちに、サウナの入り方を優しく教えていた。


「いいですか、ロウリュの蒸気は、ゆっくり鼻から吸って、口から吐くんです。そう、ヨガの呼吸みたいに……」


彼女が ceremonialセレモニアルな柄杓でそっと水をかけると、心地よい蒸気が立ち上る。

その所作は、もう俺が教えるまでもない、立派な“風の導師”のものだった。

俺は、そんな光景に満足して、そっと扉を閉めた。

全ての準備を終え、俺は誰の邪魔も入らないサウナ室で、一人静かに汗を流していた。


三段ベンチの一番下に腰掛け、じっくりと体を温める。

木の香り、ストーブが爆ぜる音、壁の向こうから聞こえてくる村人たちの楽しそうな声。

俺がこの世界に来てから見てきた、全ての光景がそこにあった。

(必死で小屋を建てて、村人とぶつかって、一緒に汗を流して……)

慌ただしくて、無茶苦茶で、最高に楽しかったあの日々が、この穏やかで、幸福な日常に繋がっている。

サウナが村を変えたんじゃない。

村のみんなが、サウナを通して、自分たちの手で日常を少しだけ豊かにしたんだ。


俺はゆっくりと立ち上がり、最高の水風呂へと向かう。

もう、この世界を救うなんて大それたことは考えない。

ただ、この愛すべき村人たちの「ととのい」を、この場所を守っていく。

それが、この世界で俺が果たすべき、最高の役割なのだから。

澄み切った青空の下、俺は一人、至福のため息をついた。

新しい日常は、始まったばかりだった。

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