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勇者がいない別世界4(それぞれの幸せな結末)【完結】

ホォ〜ホケキョッ、ケキョッ、ケキョッ、ケキョッ………。


「んっん〜、いい天気ね〜!」

「ほんとだね!ポカポカして気持ちがいいよ〜。でもね、お約束ではね、こんな気持ちがいい天気でみんなが幸せを噛み締めている時に、突然あたりを暗雲が立ち込めてね、暗黒龍が多数空から攻めてくるんだ!用心したほうがいい!」

「はい、は〜い、塩谷先輩、こっちの焚き火の準備手伝ってね〜」

「は〜い!今行くよ!」

「お〜い!ヒロシ〜、テントの場所はここでいいかぁ〜?」

「おおっ!バッチリだ、残りのふたつは、そこに少し高くなってるところがあるだろ?そこに建ててくれ!」

「りょうか〜い!」


俺たちが、異世界に乗り込み、裕太先輩が自首した日から、もう半年が経った。

今はポカポカ陽気が続く春休みの真っ只中。

今日は、あの時の仲間達と登山口のすぐ横にあるキャンプ場にキャンプをしにやって来ていた。

昼過ぎにこのキャンプ場に集まったみんなの働きで、あらかたキャンプの準備が整った頃。


「ちょっとぉ〜、あのふたり遅いわねぇ〜、もうすぐ日が暮れてしまうわよ…」

「ふたりは、一緒に来るの?」

「いや、ふたりとも別々の場所にいたみたいだから、来る時も別々じゃないか?」

「ちょっと心配だよぉ、兄ちゃん電話してみてよ」

「そうだな、そろそろ連絡入れてみるかぁ」

あたりを見れば、夕闇に包まれて薄暗くなっていた。

ふたりに連絡を入れようと、ポケットのスマホを取り出そうとした時。

…………………「「ヒッ!ヒィーーーー!!」」

キャンプ場の奥の方から、若いカップルらしい悲鳴が、キャンプ場内に響き渡る。

「おっ!どうやら雄二のほうはやって来たようだな」

「もうぉ!遅いんだからぁ…」

………「「ヒィィーーー!!」」

…「「ヒッ!ヒィッ!」」

悲鳴があちらこちらから聞こえ、その悲鳴はどんどんこちらに近づいて来くる。


「やあ!ごめん、ごめん、遅くなっちゃったぁ〜」

「もう!遅いよ雄二先輩!キャンプの準備、全部終わっちゃったわよ!」

「そうだな、明日の片付けは雄二に頑張ってもらわないとな!」

「いや〜ごめん!初めて来る場所だったから迷っちゃって…それに僕ひとりの時は知らない人たちを、驚かせてしまうだろ?だから人気のない道を選んできていたら、ますます迷っちゃって……」

「ああっ今日も盛大に罪のないカップル達を驚かせていたようだな」

「いやぁ、申し訳ないことしちゃったよぉ…」

「いや、そうでもないかもだぞっ、吊り橋効果ってよく聞くだろ。雄二のおかげでカップル達はますます仲良くなれるかもしれないぞ!」

「そうだったらいいんだけど…」

「さてっ残りは後ひとりだね…大吾先輩、連絡取れた?」

「あっああ、今から……」

……………「お〜い!みんなぁ〜」

「「「「「「「「「「「裕太先輩っ!」」」」」」」」」

「いや〜、すまん!すまん!遅くなった」

「もう遅いよ!心配したんだから!」

「それで、どうしたんだ?時間に正確な裕太先輩が?珍しいな」

「それが…、ちょっと記者さんと会っててさ、色々話してたら、こんな時間になっちゃって……、ごめんなさい!」

「えっ?あいつらまだ先輩の周りうろついてんの?俺らがまた行こうか?」

「あぁ!あの『もの凄い殺気』かっ。そうだな、俺以外の他のみんなに迷惑がかかりそうな時はよろしく頼むよ」

「なになに?その『もの凄い殺気』って?」

「ああ、美奈は知らないのね…、その『もの凄い殺気』て言うのはね、前に裕太先輩が報道陣達に囲まれた時があったのね、そしたらそこの三人衆が、もの凄い殺気を放ちながら、その報道陣に近づいていったの、するとあれよあれよという間に、報道陣達が退散して行くじゃない…。それこそ蜘蛛の子を散らすみたいにね…。でもでも、三人は別に脅し文句を吐きながら近づいたわけじゃないのよ、もちろん暴力も使ってないわ。ただただ黙って殺気を放ちながら近づいていっただけ…」

「へぇ〜、凄いじゃない!私もその場にいたかったなぁ〜」

「そうなのよ!報道陣の人たちには悪いけど、私スカァ〜てしたわ!」

「ハイ!ハイ!話は後にして、まずはバーベキューおっぱじめようぜ!」

「「「「「さんせ〜い!!」」」」」


俺たち全員が揃い、お楽しみのバーベキュー大会が始まる。

みんな思い思いの食材をアミの上に乗せては、口いっぱいに頬張り、また次の食材へと手を伸ばす。全員の満面の笑顔を見るだけでも腹がいっぱいになりそうだ!


「ふ〜ぅ!満腹満腹!大満足だよ!」

「持って来た食材、綺麗に平らげちゃったね!まだ足りない人はいる?食後のデザートがあるわよ!」

「「「は〜い!いただきま〜すっ」」」

「どうなってんだよぉ…女子達の胃袋は?俺はもう何も入らないぞ…」

「同感だな…」

みんなのお腹が満たされた頃、次のお楽しみキャンプファイヤーへと移った。

今夜の夜空は雲ひとつなく、星がキラキラ輝いている。

夜になって少し寒くなってきた。でもキャンプファイヤーの焚き火の炎が、俺たちの体を芯まで温めてくれる。とても心地の良い暖かさだ。

「それじゃ、みんな飲み物は行き渡ったかな?」

「「「「は〜い!」」」」

「俺たちも大丈夫だぜ!」

「では、では、日本と異世界の国交樹立を祝して、乾杯!」

「「「「「「「「「「かんぱ〜い!!!!」」」」」」」」」

そうっ!つい先日、日本と異世界は正式に国交を結ぶ調印式が行われたのだ!

そしてここにいる全員、後日内閣府に招かれ感謝状を授与されることになっている。

う〜ん、感無量だぜ!

「では、続きまして、サチコちゃん、ユキちゃん、高校合格おめでとう!」

「「「「「「「「「おめでと〜う!!!!」」」」」」」」」

「「きゃー!ありがとう!」」


俺たちの通う高校を受験した、サチコとユキは見事合格を果たした。自分で言うのもなんだが、俺たちの通う高校はかなりの難関らしい、ふたりともよく頑張った!来月4月からは晴れて俺たちの後輩となる。俺たちはさらに賑やかな高校生活を送ることになるだろう。

ちなみに、ユキはもともとは県外に住んでいたが、俺たちの住む町の近くにいる、親戚のうちに居候して、通学することになったらしい。


「そして、最後に…裕太先輩、起立をお願いします」

「えっ?あっああ…」

「それではみなさんご唱和お願いします……裕太先輩おかえりなさぁ〜い!」

「「「「「「「「「「おかえりなさぁ〜い!!!イエーイィ!!!」」」」」」」」」」

「ハッハハッ…照れるなぁ〜ただいまっ!!!」

「「「「「「「「「「イエーイィ!!!」」」」」」」」」」

そうっそうなんだ!裕太先輩はこの春から、俺たちの町に帰って来たんだ!


自首する前に、裕太先輩はこう言っていた。


「危険薬物の所持だろ、危険薬物の使用、そして危険薬物の密売、もうこれだけ揃えば、たとえ未成年で初犯でも間違いなく実刑をくらうだろうな!ネットで調べただけだから、なんとも言えないけど、短くても2、3年は刑務所いきじゃないかな?」

なんとも他人事のように言っていたが、それは俺たちに心配かけないようにわざとそう振る舞っていたのは知っている…。本人としてはかなりの覚悟を持って自首したはずだ…。


だが、女神様は裕太先輩が思っているようにはさせなかった。

まず、自首当日、俺たちが取調室から追い出されることとなった「パルフェルト商事」の供述、高坂のあんちゃんが言った通り、この供述で裕太先輩の減刑が確実のものとなる。


パルフェルト商事とは世界に蔓延る麻薬密売組織『Z』の中核を担う組織だったようで、裕太先輩が自首する数日前、県警の麻薬取締部が地道な捜査を続けやっとの思いで、そのパルフェルト商事へとたどり着き、本格的な捜査を始める矢先、降って湧いたような裕太先輩からの供述を得ることとなり、署内では上へ下への大騒ぎになったらしい。


裕太先輩はパルフェルト商事の川島と呼ばれる男のことはもちろん、薬物取引時の正確な日時や場所、薬物を手渡して来た人物やその周りにいた人物、薬物を買っていった人物の人相や特徴、それら全て覚えていて、その全てを警察に供述している。しかも、取引の指示を受信していたスマホや、薬物が入っていた紙袋など、証拠となると思えるものは全て大切に保管していて、それらも全部警察に提出していた。

その数々の証言や物証が決め手で、パルフェルト商事とその関連企業が次々と摘発されることになり、そしてついに『Z』を壊滅に追いやることが現実のものとなるわけだが……。


そんなこんなで、裕太先輩は全面的に警察に協力していたのだが、それと同時に日本政府からの要請で異世界問題の参考人としての協力も仰がれることとなる。


警察側はせっかく『Z』の壊滅が見えて来たところで、日本政府からの横槍で、裕太先輩を日本政府に取られることに難色を示した。この頃の裕太先輩は警察サイドと日本政府サイドで引っ張りだこの超人気者になっていたわけだ。

その頃には、留置所から出されていて、警察に協力する時は、警察の上層部が使用する宿舎に、政府の協力をする時は、総理官邸の来賓室に寝泊まりするようになっていた。もちろん手錠などの拘束具は一切使用されていない。


そして各々の諸問題の解決が見えて来た頃、裕太先輩の処遇を検討することになるのだが…。検察側は悩みに悩んだ。本来なら実刑確実な罪を犯している裕太先輩だが、かたや『Z』を壊滅に導いた立役者、かたや日本と異世界の戦争を回避させ、しかも国交まで結ばせるほどの英雄的存在。


裕太先輩の事件を担当していた検察官はその当時、側頭部に10円ハゲができるほど心を悩ませたらしい…。


その頃には、すっかり裕太先輩に仲間意識を持っていた警察署員達は、その担当検察官を見かけるたびに…。

「裕太くんのことだけど、これほど警察に協力して、日本から麻薬犯罪の半分以上を消滅させた立役者が書類送検とか…、まさか無いよなぁ〜」

「ええっ?まさか!書類送検とかありえないだろぉ!」

と、わざと担当検察官に聞こえるように、会話してみたり…。


また、ある日こと、担当検察官が検察庁舎の食堂で昼食をとっていたら、隣の席に突然、時の総理大臣内藤日和が座ると、窓の外を眺めながら、独りごちるように…。

「もしも、井上裕太くんに実刑の判決が下っても、日本政府から直ちに恩赦がでるだろうなぁ〜、それって書類送検する意味あるのかなぁ〜、別にわざわざ井上くんの経歴を汚すようなこと、しなくてもいいんじゃないかなぁ〜。………あっ隣の方、いたのだね?すまない!ついつい独り言を言っていたようだ…」

と言って、すぐに席から立ち去っていったりと、その担当検察官にとって苦難の日々が続くことになったらしい…。


結局、検察側は悩みに悩み抜いた挙句、裕太先輩の処遇を少年犯罪扱いにして家庭裁判所に丸投げすることにした。


もちろん、丸投げされた家裁側も悩みに悩んだ。

家裁の担当裁判官は裕太先輩と何度も面会し、裕太先輩にどのような処遇がいいかと、それとなく尋ねるが、裕太先輩は一貫して「どうか私に罰をお与えください!」の一点張り。


そして判決の日…。

「井上裕太くん、君には私から罰を与えよう…。君はこれから即時に社会復帰をして、今まで以上に勉学に励み…そしてその培った知識で日本国民のために生涯貢献するのだ…。それが私からの罰だ、いいね?」

その裁判官は、「いいこと言っただろう?」みたいなドヤ顔で裕太先輩に判決を言い渡した。


そして晴れて自由の身となった裕太先輩にまたまた吉報が訪れる。

休学していた高校から復学の打診が裕太先輩にあったのだ。

どうやら当時、裕太先輩を担当していた担任教師と当時のクラスメート達が、署名運動を起こし、学校側に裕太先輩の復学を嘆願したらしいのだ。


だけど、裕太先輩はその打診をやんわりと断ってしまう。

理由はその高校に通う生徒の保護者達の一部に、裕太先輩の復学に難色を示す人たちがいたからだ。

その難色を示した保護者たちの言い分は、裕太先輩個人としては問題ないが、犯罪組織の残党達からの報復を恐れたものが起因していたからだった。


その保護者たちの心情と、それに気を遣った裕太先輩に理解を示した学校側は、それならばと地元の高校に編入してみてはと提案してくる。それが実現できれば裕太先輩自身の身の安全も、多少だが確保できる。


すると、その情報をいち早くキャッチした、田所のお父ちゃん、お母ちゃん達が迅速に行動を起こす。

裕太先輩が地元に戻るのであればと、病気療養中であるお袋さんの親代わりとして、名乗りをあげたのだ。


裕太先輩と俺たち兄妹は小学校からの付き合いだ、もちろん田所のお父ちゃん、お母ちゃんも裕太先輩のことをよく知っていた。そんなこんなで、裕太先輩が小学生の頃から面識があり、しかもベストセラー小説の大作家先生で、世間では良識派としても知られる、そんな田所夫妻の申し出に、裕太先輩も学校側も大いに喜んだ。


そして、裕太先輩は編入する高校に、俺たちの通う高校を選んだ。

裕太先輩は俺たちの高校の編入試験を全教科満点に近い成績おさめて、無事、編入を認められることとなった。

来月の新学期からは、裕太先輩は2年生のやり直しとなるため、俺たちの同級生となる。今から新学期が待ち遠しい!


今、裕太先輩は俺たちの家の目の前にある田所家に居候している。今日もキャンプに一緒に行こうと誘ったのだけど、先約があるので、先に行って少し遅くなると伝えて欲しいと言われていた。なるほど記者の人と会っていたんだな…。


裕太先輩が、田所家に引っ越して来てから、先輩が常々話をしていたことを思い出す。

「俺は、とんでもない犯罪を犯したの言うのに、ほとんど罰を受けていない…。もちろん、みんなが言うように、警察と日本政府に凄い貢献をしたから、それは帳消しと考えていいんじゃない?の言葉も理解できるけど、俺的にはもう少し懺悔をしたくてな…」

多分、裕太先輩は今日会った記者の人、と言うか世間の人に懺悔をしたかったんじゃないだろうか…。裕太先輩は一本気なヤツだから…、そう考えると頷ける。


ちなみに、なぜ俺が裕太先輩のことを、ここまで詳細に知っているかと言うと、毎晩のように1号と2号が俺の夢に遊びに来て、報告してくれたからだ。

最近は、裕太先輩が落ち着くところに、落ち着いてしまったからか、あまり夢に遊びに来てくれなくなった…。かなり寂しい……。


幻想的に揺れる焚き火の炎を見ながら、今までのことを振り返っていると、大谷が美羽と美奈に来年受験の志望高校のことを訪ねていた。

「美羽ちゃんと美奈ちゃんは来年の高校受験どこ受けんの?」

「そうね〜、私は将来、警察官志望だから、兄ちゃん達みたいな難関高校を受けるつもりはなかったんだけど…、ほらっサチコ先輩や美智先輩が一生懸命受験勉強してたのみてたでしょ?なんだか感化されちゃって…やる気に火がついたっていうか…ちょっと難しい高校にチャレンジしようかなって…」

「いいじゃない!いいじゃない!美羽!私もねぇ…今までは受かりそうな高校に受かって、そんで、受かりそうな大学に入って、それなりの職について…なんてこと考えてたんだけど、みんなを見てたら、それでいいの?って思えて来てね…、そして私は一念発起してサチコ先輩とユキ先輩がいる高校を目指すことにしました!」

「「「「おおっ!いいじゃないか!ふたりとも頑張れよ!」」」」

「「ヘッヘッ、ありがとう!」」

「それにね、サチコ先輩とユキ先輩だけじゃなくてね、たとえば新聞記者を目指してる大谷先輩は、多くの新聞記者を卒業させている、これまた結構難関な高校に入学しているでしょ?」

「いや〜ぁ、それほどでもぉ〜」

「そんで、作家を目指している塩谷先輩は文学系に強い、高校に入学しているし…」

「そうだな…それに塩谷の高校も結構、偏差値高いしなぁ」

「そうなの、それで大工さんや建築家を目指している三人衆先輩達は、工業高校で頑張ってるって聞いたわ、実を言うとあそこも結構難しい高校らしいの…」

「褒めてくれるのは嬉しいけど、なんで俺たちだけ三人1パックみたいないいかたするの?」

「えっ?だって、そうじゃないの?」

「いやぁ〜、そう言われるとそうかもしれないけど…」

「「「「「「「ブッブウゥー!アハハハハッ!」」」」」」」

「ハハハハッ!それでね、結局、何が言いたいかと言うとね、私以外の人たちは、将来の目標とか夢とかが、しっかりあるのね…。でも私にはそれがない…」

「ハハッ大丈夫だよ〜、美奈、お前まだ中学生だろ、まだ将来のことが決まってないやつなんかゴロゴロいるぞ!」

「そうっ!それもわかってしまってね、私はみんなと違うやり方をするって決めたの!」


「「「「「「違うやり方?」」」」」」

「そうなの!今はまだ自分のやりたいことが見つかってないからこそ、多くの知識を身につけることのできる超難関高校に入学して、そして多くのことを身につけながら、高校在学中に自分のやりたいことを見つける!そうすれば、どんなやりたいことが見つかっても、いろんな多くのことを学んでいるから、それに対応しやすい!方向転換しやすいでしょ?」

「ほっ…ほぉ〜!なるほどなぁ〜それは理にかなっているな!」

「でしょ!でしょ!だから私は本気で勉強を頑張ることにしたの!」

「うっ…やっヤバイ…!どうしよう…?」

「どうした?美羽…」

「美奈の話を聞いていたら、私の闘争心がさらに燃え上がってしまったの!」

「「「おっおい…なんだか物騒だな…」」」

「ちっちがうの!例えば、みんな古典なんて、私たちのなんの役に立つの?って考えたことない?…あっ塩谷先輩には役に立つかもしれないけど」

「いや、作家を目指す僕ですら、そう考えたことはあるよ」

「でしょっ!でもねそれは私たちの考え違いじゃないかと思うの!」

「どういう考え違いだ?」

「それはね、私たちがせっかく学んだ古典の知識を役立たせようと考えていないから…役立たせることを放棄してしまってるから、だからそう思ってしまうんじゃない?」

「なるほどなぁ、つまり美羽が言いたいことは、せっかく学んだことは、取捨択一せずに、フル活用すべきだ!っと、そういうことだな?」

「そう!そういうこと!私が将来警察官になれたとして、今はまだ何も思いつかないけど、もしかしたら古典の知識が、他の誰かを助ける力になるかもしれないじゃない?絶対にないとは言えないわ。だから私も美奈に見習って勉強頑張るわ!」

「あぁ!お前のいう通りだ!なんだか俺の闘争心にも火がついて来たなぁ…」

「古典の知識を建築に活用するかぁ…うん!悪くないなぁ…」

「フフッなんだか頼もしい後輩達が私たちの後に続くらしいよ…うかうかしてられないね?ユキ」

「ええっ!私も闘争心に火がついたわ!って喉が渇いちゃったわね、ねぇ!みんな!今からコーヒー入れるけど、みんなもいる?」

「「「「「「「「「「はーいっ!」」」」」」」」」」

「それじゃ、俺たちも手伝うかぁ〜」


勉強談義に盛り上がったあと、俺たちはコーヒーカップを両手で包み込みながら、焚き火を囲み、星がキラキラ瞬く夜空を見上げてまったりしていた。

「なんだか、空から、嬉しいだとか、楽しいとかが降ってきてるみたいだ…」

思わず口からこぼれ出たように、ヨコが呟く…。

「ポエマー?」

「うるせえぞ!ヒロシ」

間髪入れずにヨコをからかうヒロシ…。


あぁ〜でも、ヨコが言ったセリフがピッタリなワクワクするような夜空だ…

「あのさぁ、実を言うとさぁ、裕太先輩や異世界がまだゴタゴタしてた時なんだけど、1号と2号の夢、しょっちゅう見てたんだよねぇ、俺」

「「「「「「「「えっ?俺もだけど?」」」」」」」」

「「「「えっ?私もだけど?」」」」

コレが唐突に口にした言葉に、ここにいる全員驚く。

「ねぇ、それって、どこか知らない教室で、誰もいない席から声がして、話しかけてくるって夢じゃない?」

ユキの問いかけに、みんなコクコクと頭を縦に振る。

《《あぁ〜、やっと俺たちの話が出たよ!お前達って案外冷たいのなっ》》

「「「「「「「いっ!1号?」」」」」」」

《《もぉ〜1号は!みんな1号が言ったことは冗談だからね!》》

「「「「「「「にっ!2号?」」」」」」」」

《《ようっ!みんな元気そうだな!そう言えばお前ら全員と、一同介して話すんのは初めてだな!》》

《《さっき、コレくんが言っていたけど、あれは夢だけど夢じゃなかったんだよ、本当に僕たちが君たちに会いに行っていたんだよ》》

「1号、2号、お前達の呼びかけのお陰で俺たち全員、こうして平和な日本で平和なキャンプができているんだ、本当に感謝するよ!ありがとうなっ!」

「ねぇ、ねぇ、ふたりとも、今日はゆっくりできるんでしょ?今からゆっくり話をしましょうよ!私たち1号くんと2号くんにお礼も言いたいし、いろいろ聞きたいこともあるし、ねっ?ねっ!」

《《くぅ〜、後ろ髪引かれるセリフだよな〜》》

《《でもね、残念ながら、もう僕たちには時間がなくて…それで君たちにお別れを言いにきたんだ…》》

「「「「「「「「「「「ええぇぇぇ〜〜〜!!!!」」」」」」」」」」

《《こっちこそ本当にありがとな!お前達のおかげで随分楽しかったよ!》》

《《もしかしたら、君たちとはまた会えると思うんだ、話はその時に、ゆっくりとすればいいさ》》

《《《《それじゃ、みんな元気で!ありがとう!!》》》》


…………………………………………………。


「えっ?…………えっ?……もう行っちゃったのか?…なんだよっ!」

「デジャブ?……」

「えっなんだ大吾?」

「むかし、今と同じような経験したような気がするんだ……」

「兄ちゃんもそうなの?私もだよ…」

「ああ、俺もそういう経験したような気がするなぁ…」

「ぼくも…、なんだろう?この感覚?」

俺に続き、ヒロシと雄二、そして美羽までも不思議な感覚に囚われていたようだ。

「でも、2号も言っていただろ?なんだか不思議と、あのふたりとはまた会えるような気がするんだ…」


雄二の言葉に、なぜか、みんなは納得すると、全員、ふたたび星の煌めく夜空を見上げる…。

「さっき、だれかさんが、言ってたけど…、本当に空から、嬉しいだとか、楽しいとかが降ってきてるみたいだね………。願わくば、どうか、全世界の人たちと、異世界の人たちにも、この嬉しいと楽しいが降り注ぎますように………」

美羽のつぶやきに、みんなは夜空を見上げながら、深くうなずく………。

ああっ本当にそうだ……。

俺はそう強く思い、願った……。



一方………

大吾達が夜空を見上げ、祈りを捧げている頃、大吾達が住む町にある産科医でふたりの元気な双子の男の子たちが誕生した。

母親と父親から慈しむように抱き抱えられた、その双子の母親の入院ベッドにはこう書かれた色紙が貼られていた……。

「命名 壱剛」「命名 仁業」





双子の小学生勇者は2度死ぬ[ZERO]完

最後まで読んでいただいた皆さん

本当にありがとうございます!

一旦このお話は完結となりますが

もしも好評いただけたら

続編「双子の小学生勇者は2度死ぬ SECOND」を執筆するつもりです

その時はぜひまた遊びに来てください

ではでは皆さんお元気で!

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