生きるための基盤
夜の帳が下りる前に、俺は何とか小屋の骨組みを作り終えた。
木を切り、枝を集めて組み合わせた簡易的な構造だが、今の俺にはこれが精一杯。あとは地面に敷いた藁と草で、地面の冷たさを和らげるしかない。
だが、寝床ができたところで問題が山積みだ。
「次は……水だな」
水場がない、という問題が早速俺を苦しめていた。いくら木を切って家を作ったところで、肝心の水がなければ意味がない。
でも、この土地には井戸も泉も見当たらない。考えるしかない。
そして俺は、スキルウィンドウを再度開いた。工業技術には、「井戸掘り」の項目がある。
ただ、井戸は「手動」の項目なので、さすがに一人で掘るには無理がある。だが、何もないよりはマシだ。
「よし、やるしかないか」
鍬を使い始め、何時間かが経過する。土を掘り進める作業は予想以上に大変で、体力も削られる。だが、夜の寒さを前にして、寝床に向かう気力すら湧かなかった。
何より、今の俺には生きるための水が絶対に必要だ。気が付けば、薄明るくなった頃にはようやく掘り進めた部分から水が湧き出てきた。
「お、出た……!」
井戸の水は冷たく、そして清らかだ。水を汲み上げるのがこんなにも嬉しいものだとは、思いもよらなかった。これで少なくとも、食料問題はしばらくは安心だ。