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別れと出会い

ため息をつきながら土を掘る


『まさか土から掘り返してくれた人を土に埋めることにになるとは……』


次郎さんは幸せそうな顔をしながらベットに眠っていた

介護をやっていると利用者さんがいきなり亡くなることなんて時々ある

体が冷たく 体が硬直している

初めて死体を見た時は怖かった

起床介助で居室に訪問すると違和感がある

寝ている人と無くなっている人

普通は布団が少し上下に動いており 寝息も聞こえるはずだが何も聞こえない

ナースコールを押して色んな職員に伝え

ターミナルケアじゃない方であれば心臓マッサージを開始し主治医に報告 救急車を要請する


※ターミナルケアとは余命申告された人の医療や介護に関するケア この場合は救急車や延命治療の必要が無く 主治医とご家族への連絡のみの対応と名なる


職員がいる時であれば安心出来るが夜勤など人がいない時はパニックになり 何からすれば良いのかわからなくなったりする


俺はそういう急変などに遭遇したくなかったため 利用者の状態の変化には目を光らせていた

しかし 次郎さんの場合は そのような違和感も無く いきなり訪れた



墓を建てた俺は手を合わせてから荷物の準備をした

ここから南に進めば エーデルという町があるそうだ

そこにはギルドや異世界っぽい料理などもあり

次郎さんが最初に訪れた場所でもあるそうだ



重いリュックを背負い

俺は歩きだした



道中大きな狼の魔物2匹と出会った

すごい殺意を向けて俺を睨んできた


どうやら俺が転生して最初に出会った狼に似ているような気がした

仲間を殺された恨みをぶつけに来たのだと思った


『もう あの頃の俺じゃないぜ』



襲い掛かる狼

俺は華麗によけた


と思ったが

ガブッ


『痛った!!』


思いっきり腕を噛まれる

内心かっこ悪く思えた

正直俺には魔法の適性が無かったようで

ナイフの使い方しか覚える事が出来なかった


不死身はチートだからぶっちゃけ ナイフの技術さえあれば何とかなる

そう思ってしまったら疎かにしてしまったのが事実ではあるのだが……


さてナイフで刺して終わらせようと思ったその時


うぉ~という叫びをあげながら刀を振り上げる女性剣士が突っ込んで来た

腕に噛みついていた狼の体を真っ二つにすると


『大丈夫ですか?止血をして下がっていてください』


俺は茫然としながら その美しさに惹かれていた

女性がこちらに目をやっていると後ろから狼がとびかかっているのが見えた


『危ない!!』


そう思い俺は女性を突き飛ばし狼の牙が俺の首に

大漁の血が飛び散り 激痛が襲った


女性剣士はすかさず権を振るい狼の首を跳ねた


狼は倒れ 俺も倒れた


女性は慌てた様子で呪文ヒールを唱えた

女性は泣きながらヒールをかけながらパニックになっていた

当然だ 目の前でいきなり死にかけている人間を見れば こうなる



『だ、大丈夫ですよ 俺不死身なんで』


女性は悲鳴をあげた


気まずい雰囲気になり

苦笑いしながら

『助けてくれてありがとう 俺はケアって言います』


女性は肩で息をいながら

『私はファリス・グリフィスって言います ファリスとおよびください』

そういうと立ち上がった


『これからどちらに向かわれるのですか?』


『南にあるエーデルという町ですね この周辺の知識がまだ薄く とりあえず向かっているだけで目的とかも特に無いんですが』


女性は首を傾げた

『冒険者ではないのですか?』


『町に着いたら登録をする予定ですよ』


そう言うと俺の腹が鳴った

恥ずかしくなり 顔が赤くなると

女性はクスっと笑い

『この近くに私が住んでいる村があるんです そこでもギルドへの登録が出来るんで来ますか?』


『いいんですか!!それは非常に助かります』


数分後 小さな村カリポについた

『ファリスはこの村の出身なんですか?』


『そうね ちなみにあそこの大きな建物がギルドですよ』

そういって指をさされた方向を見ると周りよりも少し立派な建物が見えた


『ありがとうございます では行ってきます』


ギルドの中に入ると酒を飲むガタイの良い人

ボードに張り出されている募集内容を確認する者


the異世界って感じやな~


受付に行き冒険者登録を行った

紙に名前と年齢

ケア 35歳 男性


で ここに血判っと……


『これで登録は終了です 初めはFランクスタートです

 まずはFランクもミッションをクリアしてポイントを増やしていき次のランクにアップさせていきましょう』


『丁寧に説明をしてくれてありがとうございます』


そしてギルドカードを受けとった

おー これがギルドカードか


じゃあ早速募集項目を見てみようかな

そう思い見てみたが……


ゴブリン討伐

ゴブリン討伐

ゴブリン討伐……


全部Eランクのゴブリン討伐のみ

受付に聞いてみると 小さい村はFランクの募集は多いが人気が高く

C以上の募集はそもそも 入ってこないという


とりあえず今日は1泊して明日考えようと思った

ファリスと合流し食事をした


今まで次郎さんと生活は魚料理ばかりだったので

目の前に出された肉料理が輝いて見えた


俺は肉にがっついた

『めっちゃうめー--!!』

牛や豚肉とは違い少し臭みはあるが歯ごたえがあり 酒との組み合わせも最高だった

ファリスは嬉しそうに言った

『そんなにおいしく食べられると嬉しいわね

 その肉は低品質の狼肉なのに』


俺の食欲が一気に消えた

『これって狼の肉なのか……』

複雑だった 狼の肉って食えたんだ


さっき戦った狼が 今では俺の腹の中に

これが弱肉強食ってやつか

そう思い 再び食べ始めたケアであった



少し沈黙がおこった時

近くで食べていたテーブルからの会話が耳に聞こえた


『最近人さらいが増えてるみたいだな』

『主に若い女性 まー商品として売られるんだろうな』

『こんな小さな村なら被害にあってもバレないだろうしな』

『人さらいと言えば 盗賊ギルド月の狼 だろうな~』


また狼か…… この世界は狼しか出てこないな

なにか関係があるのか

俺の運命が狼に呪われているのか……


『しかし月の狼ほどでかいギルドがこんな小さな村付近で人さらいとは……』

『プライドとか無いのか 個人的に動いてるグループがいるとかかな?』

『遭遇しないのが一番だ まー俺らみたいなおっさんは被害にあうことは無いだろうがな』

酒を飲みながら笑う冒険者


なんか楽しそうだな

他人事は酒のつまみって事か


ファイスが向こうの席の話を聞いていたのか 話し出す

『人さらい ここ1か月で10~20人が行方不明になってるみたいね

 一応ギルドにもBランクミッションとして募集はかけてるけど やる人がいないのよね』


エーデルの町なら人も多いから誰かしら来ると思うけど……

『もちろんエーデルにも募集は出してるみたいだけど 報酬が低い割に遠いっていう理由でなかなか…』


なるほどな

これは無視できない問題だがFランクのおれにはどうすることもできないな

そう思い酒を飲んでいると


『だから私が森で月の狼メンバーを探してたって訳 私一応Bランク冒険者だし』

酒を少し吹いた


『1人で探してたのか 危ないよ』


ファリスはムスッとして言った

『だって誰もやらないし……』


そして少しクスっと笑いながら言った



『ねぇ だから私と組んで月の狼を捕まえない?』



この誘いが後々悲惨な事になるとは思いもしなかった……






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