旅立ち
『次郎さん 良い魚取れましたか?』
あれから約1年 次郎さんから この世界で生きる知恵を教わりながら生活していた
とは言え 次郎さんあんまりこの世界に興味が無かったみたいで
戦い方と釣りのコツが主な経験値になりました
『今日は大漁じゃ 腹いっぱい食えよ』
『次郎さん この紫色の魚は毒ですって 南海言えばわかるんですか?』
次郎さんは 頭を掻きながら 笑っていた
所で 今更だと思うんじゃがお前さん名前はどうするんじゃ?
俺はびっくりした
『え?忘れてるんですか?』
現世おしえましたよね?と言おうと思って頭を抱えた
俺は馬鹿だ
次郎さんはこっちで85年過ごしている
俺にとっては3年くらい前の話でも次郎さんにとっては違う
転生は時間軸がねじ曲がっている
そもそもあの頃の次郎さんは認知症もあった
覚えている方が怖いレベルだ
『じゃあ本名の青木湊でこの世界でやっていこうかな』
次郎は考えた
『それはやめた方がええぞ この世界は日本人っぽい名前はあまりいないからな~』
『え?そうなの?でも次郎さんは次郎さんでしょ?』
『ワシがなんでこんな山奥に住んでると思ってる?』
『そりゃ 釣りが好きだから?』
『いや 確かに釣りは好きじゃがそれだけじゃない』
次郎さんは 少し恥ずかしそうに言った
『この世界にはギルドって言うのがあって登録するとクエストなど受ける事が出来る』
ギルド これもアニメの馴染みで理解は出来てる
『での 登録の際に武田次郎って書いたんじゃ そしたら読めないって言われて尋問のオンパレードじゃったぞ』
確かに異世界で日本語を直接書いちゃうのは無理があるからな~
『『貴様はどこの国の出身だ この世界で見たことが無い字だ まさか魔族か?』って怒鳴り散らかしてくるから ワシは立派な日本男児じゃ!!って言い返してやったんじゃ そしたら……』
頭を抱えながら
そこでストップをかけた
『次郎さん もう大丈夫です ありがとうございます』
流石日本男児と思った
『じゃあ……ケアで良いかな とりあえず』
次郎は言った
『だっさいの~』
そして夜が明けて
次郎さんは亡くなった