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元介護職員が異世界に行っちゃった  作者: 大根カレー
転生して第二の人生
2/17

転生失敗?

光に吸い込まれるようにどこかに飛んでいた

今思えば俺はキミさんと初めて話をした

生きていた時は認知症が進んでいて会話のキャッチボールなんて出来なかった

あんな喋り方 あんな性格だったんだなと思った

数分の出来事ではあったがキミさんと会話が出来て嬉しかったと伝えたかったな~

と思っていると


ん?体が動かない

そして苦しくて ほんのり暖かさも…

てか なんか土臭い

え?これって土の中じゃね?


これは……転生早々詰んだ?


キミさんに伝えたい事が増えた

転生場所は考えてから送ってください!!


しかしこれはどうしよう…

まずは現状把握から

手の感覚はあるが指が少し動く程度

足の感覚もあるが これも少し動く程度

仮に土の中だったとして 俺はなぜ生きている?

苦しいが意識を失うとか それ以上の事は起こらなそう


……



え?どうしよう




それから1週間くらいたっただろうか

ちょっとした発見があった


雨が降ると全身がひんやりする

動物?が上を歩くと足音を感じる

以上


……


もしかして寿命までこのまま!?


キミさん……

異世界に連れてきてくれてありがとう

でも これは生き地獄っていうやつですよ?

いっそ殺してくれって思ったが

生きてればいい事あるよって笑顔で親指を立ててるキミさんが浮かびあがった



すると普段は4足歩行っぽい足音しか聞こえなかったが

2足歩行で近づく足音が聞こえてきた

これはチャンスと思い思いっきり声を出そうとしたが声が出ない

必死に声を出そうとしていると

『この辺かな?』

そう言って土を掘り返す音が始まった

指先が何か固い物と触れた

必死に指先を動かして ここだここだとアピールした


数分後やっと外に出れた


『しっかし臭いの~』


掘り起こしてくれた爺さんが座ってタバコを吸っていた

俺は感謝を言おうとしたがやはり声は出なかった

その外にも目が見えない 景色がぼんやりする

自分の手を見ると腐った肉のような色をしていた


『なんじゃ 声も出ないのか 仕方がないの~』


そう言って爺さんが俺の頭に手をかざして光を当てた

すると視界が良くなり 声も出せるようになった

外の空気がこんなにおいしいとは思ってもいなかった

何をされたのかはわからなかったがとりあえず感謝を伝えた

『ありがとうございました たすかr……え?次郎さん?』

次郎さんも昔働いていた利用者さんの一人で認知症はそこまで進んでいなかったが徘徊と汚染を隠そうとしたあげく 居室内が大惨事になることがしょっちゅうあった人だ

違う施設へ移動してからは亡くなったとは聞いていたが……

『おー 覚えておったのか 嬉しか嬉しか』

と笑っていた


『会えて嬉しいけど ここって異世界ですよね?もしかしてあの世?』

俺は周りを見渡した


次郎さんはタバコを吸いながら

『ここは異世界じゃよ じゃが私は後1年くらいで消えるがの』

タバコを吐きながら寂しそうな顔をしていた

『まーとりあえず ついてこい。ここは魔物が多いからの~」

ついていくとそこには大きな湖と綺麗な木の家があった

家に入るとそこは異世界とは思えない 普通の家だった

次郎さんがお茶を入れてくれると

『さて なにから話そうかの~』

と考え込む

確かに色々気になる事は多いが

まずは次郎さんについてだと思った

『次郎さんはいつから異世界に?』

『俺は85年前にこっちに来た あっちの世界で死んでから神に会ってな もう一回人生をやり直したいと願ったんじゃ そしたらあっちの世界でやり直すと思っとんじゃがこっちの世界からやり直しになっちまってな』

笑いながら話す次郎さんを見て

あ~ なんか懐かしいな~

と思った

次郎さんは深夜徘徊が多く 自分の物でないのを勝手に自室に持ち帰り隠すという行動が多かった

物品が無くなったら とりあえず次郎さんの部屋を探す

物取りや徘徊は多かったが会話はしっかり出来る人だった

車椅子の方だったがタバコを吸いたいと言ったら 俺がこっそり喫煙所に連れて行って一緒にタバコを吸いながら 次郎さんの昔話を聞きながらサボ…… 楽しくコミュニケーションをとっていた

(現在の介護現場ではタバコを吸えない施設が増えているので心に留めておきましょう)


『おい なんかにやにやして ちゃんと聞いてるのか?』

話を半分くらいしか聞いてなかったが

『いや~懐かしいな~って思って』

と聞いていなかったことをバレないように笑顔で返した

『てか 俺ってどうなったんです?土の中に居ても死ぬ気配がなかったし』

次郎さんの話を聞いて安心したのか急に自分の存在が気になった

『お前さんはゾンビに転生したんじゃよ 死なないゾンビに』


ゾンビ!?


だから土の中にいたのか

キミさんからは寿命で死ぬようにされてるから 基本不死身だが あと50年くらいで死ぬゾンビなんだろうな

なるほど


『でワシは3日前くらいに神様のお告げでこの辺にお前さんが埋まっちょると聞いて堀に来たんじゃ』

納得した

『本当にありがとうございます』

あの苦しみの解放には感謝しかないと思い頭を深々と下げた

『そういえばあの時の光は何をしたんですか?』

あの光から俺は目が良くなり声も出るようになった あれはいったい


『スキルじゃよ この世界にはみんな何かしらのスキルを持って産まれるみたいなんじゃ

 ちなみにワシのスキルはゾンビを人間に戻すスキルじゃ』

ゾンビを人間に戻すスキル?なんとも まー 部分的で使いにくいっていうか俺のためにしか使えなそうなスキルだと思った

『ワシがこっちの世界に来てこのスキルがあるってわかった時なにに使えば良いんじゃって思ったが このために神様がワシにくれたんじゃろうな~っと思ったよ』

このためだけに神様が?

流石に変に思えた 85年後にやっと使い道があるスキルそんなスキルを渡すくらいなら スキル無しの方が良い

神は俺に何かを期待してるのか?

『まー ワシは元々異世界に興味なんてなかったからの

 釣りが出来る空間 それさえあれば文句なんて無いわい』

と笑っていた

異世界に来てまで釣りとは……

ま~人の趣味だし そこまでの熱意がうらやましく思えた

俺には好きな趣味なんて無いのだから


お茶を啜りながら話をしていると外からうなり声のような声が聞こえていた

犬?と思っていたら


『魔物が来たみたいじゃな』


そう言って次郎さんは立ち上がった



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