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元介護職員が異世界に行っちゃった  作者: 大根カレー
転生して第二の人生
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転生

暗く薄暗い部屋に一人の男がタバコを吸いながらため息をついていた

老人介護を13年

特にやりたい仕事も無く なんとなく始めた介護

お年寄りの方と接するのは嫌いじゃない

しかし仕事を続けていると体にも悲鳴を上げ始める

多少の痛みなんて気にせず ストレッチでもしてれば治る

そんな日々を続けていたら いきなり来るんですよ


今思えば 痛みは神の警告

その警告を無視し続けた結果

身体を壊す事になったんだと思う



今まで介護のみやってきた俺には 特段得意分野など無いわけで

壊した体は常に痛みを発生させる

主治医には出来る限りの事をやってもらったが、これ以上の改善は難しいとの事だ


今後どうやって生きていこうかを考えている時

暗かった部屋がいきなり明るくなった


俺は電気が点いたのかと思い上を見上げると そこには光輝く人影が


『誰だ?』


俺は意外にも冷静だった

知らない人物だったら もう少しリアクションは変わっていたのかも知れない

しかし なぜか見覚えがあった

でも 思い出せない


『おやおや 私の事を忘れてしまったのかい?』


80歳くらいの女性の声

聞き覚えはあったような気がした

しかし わからない


『すまない こんなに光っているばあちゃんの知り合いはいないと思うんだが…』

タバコに火をつけて冷静に頭をフル回転させた


光っている女性はため息をついて言った

『タバコばっかり吸ってるから体を壊すし死んじゃうじゃよ』


俺は唖然とした

え?死んだ?いつ?なんで?え?


『あんた 私に言ってたよね?私が早く死にたいって言った時 『死にたいって思っても俺らはあなたを殺す事が出来ない。でも寿命までは死にたいと思えないように頑張るからさ 前向きに考えていこう』って その言葉がどれだけ嬉しかったか…』


俺は死んで混乱していたが その話を聞き1人の女性

いや 利用者さんを思い出した

そしてよくよく見てみると

『え?キミさん?』

女性は微笑みうなずいた


納得した

2年くらい前に施設で亡くなったキミさん

俺が入社した時には認知症がひどく徘徊したり暴れたり

その5年後には転倒からの寝たきりに

そして 会話も出来なかったキミさんは 時々死にたい殺してくれと言うように…


その時 俺は仕事をサボるために用も無いのにキミさんの部屋に行き 会話が成立しないことを良い事に普段誰にも言わない愚痴をいったり 死にたい殺してくれと言うキミさんに色々言ったりしていた


『って事はキミさんは死神となって俺を連れ去りに来たって事?』


光輝いていて顔ははっきり見えなかったが殺意のようなものを感じた


『今の私は女神じゃよ 生前あんたを見てきて何か恩返しがしたいと思っておったが出来なかったからの~』

恩返しをされるような事はした覚えが無かった

俺は仕事をサボるためにキミさんの部屋に行っていただけ

『わかっちょる わかっちょる サボり目的で来ていた事なんて

 でも それでも嬉しかったんじゃ… 孤独がどれだけ怖いのか

いつ死ぬのかもわからない状態の人間が一番うれしいことをお前さんは無意識にやっとったんじゃよ』


孤独死 日本では役7万人が1人で死んでいっている

それを防ぐために介護施設に入る利用者さんも多い

キミさんには子供もいなく 1人で暮らしていたが認知症が進んできている自覚があり施設に入っている

周りに迷惑をかけたくないと言う気持ちもあったと思うが1番は孤独死の恐怖が強かったと思う


とはいえ 恩返しがしたいと言って俺の目の前に現れたみたいだが俺は死んじゃった訳で…

『で 死んだ俺に会いに来た理由は?天国に連れて行ってくれるとか?』

キミさんは きょとんとした後にくすっと笑った

『何を言っておるのじゃ お前さんに寿命まで生きて欲しいと思ったからここに来たんじゃ』


俺は意味がわからなかった

死んだ人間に寿命まで生きて欲しい…


『あ、ザオリクって事?死者蘇生的な?』

キミさんは笑った

『そんな事をしたら お前さんがまた死んだ時に寿命じゃないからと言って何度も復活させねばならなくなるではないか

私は神に彼への恩返しを1回する約束をしたんじゃ

じゃからお前さんの体は治すことができないが 魂を別の世界に送って

寿命まで死なない体の持ち主に憑依させる事にしたんじゃ』


異世界転生…

アニメの定番すぎて驚きはしなかった


『しかし憑依させられた人がかわいそうじゃないか?いきなり知らない人に乗っ取られるっていうのも…そもそも その人も寿命まで生きれるのかもわからない訳で』

内心めっちゃ喜んではいた

剣や魔法 モンスターとの戦闘

ゲーム好きな男がうれしくない訳が無い

『細かい事は気にするな 正直私もあっちの世界の事はわからん』

一気に不安になった

『すまんが時間も少ないみたいじゃ

 では 飛ばすぞ』


え?


そして俺の異世界生活が始まるのであった





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