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祭り ~水谷聖香のサイコメトラーシリーズ~

作者: 風爽 瑞穂

 水谷聖香ミズタニキヨカは電車に乗っていた。行先は祭り会場だった。聖香は過去に乗ったことがあるような電車に揺られ考えていた。そのうち電車は目的地に着いた。だが思った以上に時間が掛かってしまい聖香は困惑を隠せなかった。「こんなに遠かったんだ」と電車を降りて口に出した言葉だった。聖香は祭りが行われている通りを歩いた。そして祭りを楽しんでこの日は帰宅した。


 後日、聖香はもう一度あの祭りへ行くために電車に乗った。それを普通列車だと思っていた聖香は途中で異変に気付いた。聖香が載っていた列車はなかなか目的地に到着しなかった。聖香は立ち上がり、扉の上の案内板を見た。案内板には路線図があり、今走っている場所が点滅していた。その時聖香は列車が快速だと気付いた。


 前回同様、なかなか目的地に到着しなかった。乗ってから30分以上経過していた。ようやく祭り会場近くの駅に到着し降りる。列車は4両だ。祭り会場では以前と同じように祭りが行われていた。


 聖香はその通りを歩いた。気が付くと、聖香は川沿いの小道にいた。小道は土で車が一台分通るのがやっとの幅だった。時刻は夕時で間もなく日が落ちようとしていた。聖香は元の道へ戻ろうとしていた時、2台の自転車が止まっていた。聖香は1台のマウンテンバイクの方を手に取った。もう1台の自転車はごく普通の自転車だった。聖香が歩いていると、道の折り返し地点で上り坂となっていた。聖香はそのままマウンテンバイクを手で押しながら上り坂を登っていく。


 途中、聖香が登っている道とは別の道があることに気付いた。それは聖香の左手にあって、聖香の道より小さくやはり上り坂だった。自転車を押す少年が聖香を追い抜いて行く。それは聖香とは別の方向へと向かっていた。また聖香側から少年側には隔たりがあり、互いに飛び越えることも不可能だった。聖香は折り返しの地点に存在していなかった道を確かに見たのだった。いつしか少年の背中は未知の向こうへと消えて行った。


 聖香が坂を登ると突然世界が開けた。その先には、真っ直ぐに進む道と、途中で右折する道に別れていた。さっきまでいた川沿いの小道とは明らかに世界そのものが違っていた。ここから先は別次元の世界へ突入するのだと直感した聖香は、どちらの道を行けばいいのか立ち止まった。聖香は答えが出ないまま、目の前に開けた異世界を高台の上から眺めていたのだった。


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