簡単なイントロクイズを自信満々に答えるやつはPunish My Heaven
ジャッ!! ジャッジャッジャー!!
四畳半の薄暗い部屋の中、歪んだギターの音がPCに繋がれたマーシャルのアンプから流れる。
「MetallicaのMaster of Purpets!」
部屋に佇む黒いメタルTシャツ、黒いジーンズに身を包んだ四人の男の内、一人の男が勢いよく叫ぶ。
それを聴いた残りの三人はあきれた口調で
「はあ~!?!?!?!?!?!?! こんな簡単な問題を自信満々に答えてるんじゃねーよ!!」
「今すぐ死の天使が降臨してCannibal Corpseの系に処す」
「まあまあ~ここは落ち着いてFistful of Metalの系にしましょうよ~」
ズケズケと答えを言った男に文句を言った。
「いや大佐よ、イントロクイズならすぐに答えるのが勝ちだろ!」
「バカ! ヘッドの低脳! 例えば『Smoke on the Water』のイントロが流れたとしよう! それに対して自信満々に『はい! 『Smoke on the Water』』」と答えるのは低脳の証明だろクソが!」
大佐と呼ばれた男は口汚く、イントロクイズを答えたヘッドという男を自分の金髪を震わせながら罵った。
「帝王もそう思うよなあ?」
大佐はスキンヘッドの男……帝王に同意を求める。
帝王はゆっくりと頷きながらおもむろに答えた。
「Mandatory Suicide(自殺義務)」
「だってよ!!!!」
「ええ~……そこはもうちょっと何か言ってくれないかな……」
ヘッドは呆れたように言葉を漏らした。
「じゃあジョーイ! ジョーイからも一言!」
ヘッドは黒髪ロングにパーマを掛けた男……ジョーイにも意見を求める。
「いやいや~今のは駄目でしょ。今すぐにWelcome Home(Sanitarium)に収容されてロボトミー手術でも受けてもろて」
「おまえらにはメタラーの心……Metal Heartが無いのか? ACCEPTが泣くぞ」
「うるせえ~~~~~!!!!! 俺のハートはKilling Is My Business... and Business Is Good!と叫んでいる!!!$10.000!!!!!!!」
そう叫ぶと、大佐はジーンズのポケットから犬の餌用と思われる骨を取り出し、ヘッドに向かって勢いよく投げた。
「やめろ! やめろ! 何でそんなもん持ってるんだ!」
「Through the Never」
「違う! なんか違う! そしてお前が言って良い言葉じゃない!」
「あはは~今日のみんなはMadhouse行きだね~」
四人のメタル愛好家……メタラーたちは今日も騒ぐ。
彼らは17歳の高校生、軽音楽部に所属するごく普通の男たち。
ただし彼らの共通項……ヘヴィメタルは同年代の『あの日の苦~しみ~さえ』や『グッバイ、キミの~運命の人~は僕じゃない~』を愛してやまない一般ピーポーには理解できなかった!
この四人の中ではあの日の苦しみはPain of Salvationであり、運命の人はメタル・ゴッドであるRob Halfordであったのだ!
かくして彼ら四人は軽音楽部の中で速攻に浮き、『メタラー四天王』という侮蔑の意味を込められた名誉あるバンド名を勝手に付けられ、今日も四人でメタルの話をしているのである。
四人はバンド活動でクソロキノンカヒミカリィセカイノオワリアレキサンドロスキングヌークソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソゲスの極み集団(四人談)を見返すために活動を行っていた。
しかし!そこにはさらなる問題があった!
バンドなのに四人ともギタリストだったのだ!!!!
「ジョーイはボーカルじゃねえとおかしいだろ!!!!!!」
彼らはクソ(以下略)を見返すことはできるのだろうか……。