あらゆる結末
* 一人の王様の結末 *
ある国の王様はとてもとても臆病者で、少しの不安も恐怖も耐えられない人でした。
魔女がいると聞けば、真偽も確かめず疑いがある者たち全てを炎で焼き殺し。
最後には、友人も守るべき民も信じられなくなり全てを虐殺しようとしました。
けれど反旗を翻した友や民に立ち塞がれ、虐殺を終える前に己の命を終えました。
最初には無かったはずの『裏切り』も『反乱』も、疑いを信じ続け排除しようとしたため『真実』となり、王様は『討伐』されることになったのです。
こうして一人の王様は死に、後世には『虐殺王』として語り継がれるようになりました。
* 一人の王妃の結末 *
ある国の王妃は、夫とその間に生まれたわが子に囲まれ幸せに暮らしていました。
けれども王妃は、心に闇を抱えていました。
王妃がまだ幼いころに母は死に、義母からは命を狙われ、唯一の肉親である父を守るため、家を出て森で暮らしていました。
森での暮らしは裕福とは言い難かったですが、それでもやっていけたのは大切な、愛する父を守ると言う使命があったから。
そして森で当時王子であった国王と出逢い、今ではこの城で王と父と暮らせるようになりました。
気がかりもなくなり子も生まれ、周囲からたくさんの祝福を受けながら過ごしていました。
その幸せも永久に続くことはありませんでした。
王が狂い、狂乱の果てに己の子どもを殺そうとしたのです。
王妃は必死に抗い、大切な人を連れて城を抜け出し再びあの森へと戻りました。
そうして聞こえてきたのは、自国の貴族や民、そして隣国から攻め入られ討ち死にした王の話でした。
* 一人の狂男の結末 *
ある所に愛する妻とその間に授かった子どもと暮す男がいました。
この世にある幸福を全て手にしていると、そう思っていました。しかし男はある日、その幸福が偽りによって作られたものだと知ったのです。
様々な違和感はありました。それでも男は妻を信じたかったのです。
しかし、男は、ある日、自分の子どもだと思っていた幼子が、自分の子ではないことに気がつきました。
きっかけは、ほんの些細なもの。