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運命の実  作者: 葡萄鼠
はじまり
1/11

語り部




 ある女性は願った。

 幸あれ。と。



 ある女性は願った。

 願う子がほしい。と。



 ある男は願った。

 愛を知りたい。と。



 ある子は願った。

 運命の出逢いを。と。



 引き裂かれた運命は、狂った歯車とともに廻り始める。

 新たな運命を描くために。

 幸せになれたはずの未来は失われ、

 訪れるはずのなかった幸福が舞い込み、

 願った想いは無に帰し、

 諦めたはずの希望が戻ってきた。


――どうして、どうしてなの



 私は、恋も愛も未来も、すべて奪われたのに。

 どうしてあなたは、未だ美しく輝くの。






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