漫才『子供のころの夢』
二人「はいどうもー。よろしくお願いしまーす」
ツッコミ「いやー、今でこそ僕らこうしてお笑いやってますけどね。ちっちゃいころは別のものになりたかったんですよ」
ボケ「へー。なにになりたかったの?」
ツッコミ「小学生の頃はね、サッカー選手になりたかった」
ボケ「あーちょっとわかるわー。ぶつかってないのに派手に転んでアピールしたいよな」
ツッコミ「うーん。そこじゃない」
ボケ「痛い痛い! 足かかったって今!」
ツッコミ「いやあるけれども。小学生だから。そんなダークなとこ追求してないから」
ボケ「まあでもいいじゃん夢があって。俺が小学生の頃はもっと現実的な仕事に就きたかったから」
ツッコミ「へー。なんだったの?」
ボケ「政治家」
ツッコミ「政治家!? 現実的……か?」
ボケ「四年生の時、体育の着替えが男女別になって。こんなひどいことが許される国は俺が変えてやるって思ったんだ」
ツッコミ「動機が不純」
ボケ「女子をチラ見できる教育環境を! 決して堂々とは見ません、チラ見だけです!」
ツッコミ「かえっていかがわしいわ」
ボケ「政党名は『チラ見党』。どうか清き一票をお願いします!」
ツッコミ「清くねぇよ。真っ黒だよ」
ボケ「まあでも政治家もなるのは大変だからさ。中学生になってからは諦めて、また別の夢ができたんだ」
ツッコミ「よかったえろい政党が結成されなくて。で、中学生のころの夢は?」
ボケ「魔女っ子」
ツッコミ「は?」
ボケ「マジカルハニーきらりちゃん」
ツッコミ「……あー妹が見てたわー。土曜朝の」
ボケ「俺も毎週欠かさず見てた。お絵かきを送ってねコーナーに採用もされた」
ツッコミ「のめりこみすぎだろ中学生男子」
ボケ「絶対にきらりちゃんになるんだって卒業文集にも書いた」
ツッコミ「完全に黒歴史じゃねぇか」
ボケ「お願い! 魔法の力で、給食のカレーのニンジンをこの世から消して!」
ツッコミ「しょぼいな魔法の力。ていうか夢といい味覚といいお前中学上がって幼児化してない?」
ボケ「あとルーはもっと甘くして! リンゴとハチミツたっぷりがいいの!」
ツッコミ「間違いないよ。大人になれよ」
ボケ「まあでも今こうしてお前とお笑いやれてさ。幸せだと思ってるよ、俺」
ツッコミ「お、おう? 急にどうした?」
ボケ「一緒にお笑いのテッペン、目指そうな」
ツッコミ「い、いやわかってるけど……。やめろよ、いきなりそういうこと言うの」
ボケ「そのためになにが必要か、俺考えてきたんだ。はい、お前もこれ持って」
ツッコミ「え。なにこれ。ステッキ?」
ボケ「いくぜ? きらりん、マジカル、ルルルルルッ! お客さんみーんな笑顔になーれー!」
ツッコミ「ネタで笑わせろよ!! ……どうも、ありがとうございましたー」