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非日常な週末②

 昨日の夜はゲームをしている途中で寝たせいで、手にはスマフォを握ったままだった。

起きた時間をスマホで時間を確認すると、七時と漁のない休日に起きるには早い時間だった。

そういえば昨日連絡が来ていたのを思い出し、連絡交換用のアプリを開く。


「おいおいまじかよ」


アプリの画面には渚からの連絡があったことが記されている。

拓海だと思い、放置していたことを少し後悔した。

女子から連絡が来ることがそもそもないし、返事をすぐ返せなかったことの後ろめたさで少しページを開くのが怖いが、ここは意を決して開く。


『こんばんは、航のとこもお父さん飲み会だよね?お母さんが良かったら明日の晩御飯一緒にどうって話なんだけど』


その文の後によろしくにゃーとこの間のスタンプと同じ種類の猫が描かれていた。

内容からするに、急ぎの返事が必要ではない内容なことにほっとした。

取り合えず腹も空いたので、腹ごしらえをすることにする。

返事の内容を考えながら、階段を降り居間に入る。

どうやら父さんはまだ自室で寝ているようで、居間は暗く冬の初めの朝ということで、ひんやりしていた。

寒いままでも仕方ないので、ファンヒータとテレビを付け、キッチンに行き、冷蔵庫の中身を漁る。


「たまには朝飯でも作ってやるか」


簡単にトーストとスクランブルエッグ、玉ねぎとベーゴンがあったのでそれでスープを作ることにする。

まずは鍋に水を入れ、お湯を沸かすためにコンロに置き、火をかける。

その沸騰を待つ間に、玉ねぎの皮をむき、櫛切りに、ベーコンも短冊切りにする。

パンを焼くのを忘れていたと思い出し、六枚切りの食パンをトースターにかける。

そうやって朝食の準備をしていると、父、秀幸が起きて居間にのそのそと入ってきた。


「おはよう。いい匂いしたから起きてきた」


「おはよう。もう少しでできるから待ってて。あ、パン何枚食べる?」


「二枚」


あいよ、と返事をしつつ沸騰した鍋に、コンソメとベーコンと玉ねぎを投入する。

次は、スクランブルエッグを作るためにフライパンに火を入れる。

その間に卵を割り、かき混ぜてフライパンにバターを敷く。

丁度トースターからチン、と金属音が鳴り、パンが飛び出し顔を覗かせる。


「父さん、パン入れ替えといて。俺も二枚食べる」


秀幸はテレビを見ながら適当な返事をし、パンを入れ替えるためにキッチンにきて入れ替える。


入れ替えるのを確認しつつ、溶いた卵を熱したフライパンに投入し、固まりきらないようにかき混ぜる。


「オニオンスープか、うまそう」


パンの準備の為にキッチンに来ていた父は、そう言いながら、スープやらの皿を準備してくれている。


「ありがとう、もうできるよ」


「じゃあスープよそうわ」


父さんも準備を手伝ってくれ、スムーズに朝食の準備が進む。

スクランブルエッグも出来たので、準備した皿に移す。

その間に父さんはお椀にスープを盛り付けて机に運んでいた。

カウンターにスクランブルエッグを盛り付けた皿と箸やスプーンの食器、バター、冷蔵庫からマヨネーズを取り出し置く。

先ほどトースターに入れたパンが焼きあがるのに、少し時間がありそうなので、先に1枚ずつパンを分け

食べ始めることにする。

準備が出来たので二人で、頂きますと手を合わせ、まずはスープから口にする。


「ちょっと薄いかな」


「そんなことないよ、うん。うまい」


そう言いながら父さんは玉ねぎを口にする。そうした後に、またうまいと呟く。

そういってもらえたことに安堵していると、またトースターから音がする。

焼けたパンをトースターから取り出し、互いのお皿に置く。


「そういえばさ、渚のお母さんから夕飯誘われた」


「お、行って来い行って来い、どうせあっちも飲み会だろうよ」


組合の会合と言っても、タダの近所のオヤジ達が集まって騒ぐだけの飲み会らしい。

大体月一で行われ、そして漁村なので勿論漁師が多く、冬は海が荒れ休漁になることが多いので、この会合の回数も増える。

息子としては、父が家にいないとのびのび出来るので、ありがたいと言えばありがたい。

その後テレビを見ながら、ニュースの内容を話したり、他愛もない話をして朝食を終えた。

父さんは船に用事があるらしく、朝食を食べ終えすぐに、家を出て行った。

そういえば渚に返事を返していないことを思い出し、良かったらお願いしますと手短に返事を返す。

食器を洗おうと、キッチンに食器を持って向かうと、ピロンとスマフォが鳴る。中々に早い返事だなと

食器をシンクに置き、内容を確認する。


『おはよう!オッケー!また時間連絡するね!』


『おはよう、昨日返事返せなくてすまん。』


『気にしてないよ、いつもあの時間に寝るの?』


『ゲームしてたら眠くなって寝てた。漁が休みになったからいつもより少し遅いくらいかな』


『ふーん、そうなんだ』


そんなどうでもいいようなやり取りをした後、食器洗いに取り掛かった。

久しぶりに白石家でご馳走になるので、何か手土産でも持っていこうと考える。

朝から異性とやり取りをしている充足感で、どこか自分が浮ついている気持ちなのを感じながら食器を洗い、その他の家事をこなしていくのであった。







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