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ドラゴンフライ  作者: マサラ
第七章 静岡 前編
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第九十五話 竜司、護衛をする事になる。

「やあこんばんは。

 今日はママが脅かした所からだったね」


「うん楽しみー」


「じゃあ今日も始めようか」



 ###

 ###



「あっはっは。

 竜河岸クン、なあにその動き。

 あっはっは」


 後ろから聞こえた綺麗な笑い声の方を向く僕。

 そこには警察の制服を着ているクレハが居た。


「ク……

 クレハ!?」


 僕は驚きの余り語尾が高音になった素っ頓狂な声を上げる。

 その僕の反応を見て更にクレハが笑う。


「あっはっは。

 どっから声だしてんの!?

 あっはっは」


 倒れこみ足をバタバタさせながら大爆笑している。


 足をバタバタさせているからパンツが丸見えだ。

 色は水色らしい。


 僕も落ち着きを取り戻し、クレハに声をかけてみる。


「あの……

 クレハさん?」


「ん?

 なあに?

 竜河岸クン」


 クレハがキョトン顔でこちらを見上げている。

 可愛いなあ。


 声をかけてみたものの何を話せばいいのやら。

 黙っているとクレハがグイグイ来る。


「ねえどうしたの?

 竜河岸クン」


「た……

 竜河岸クンは止めて下さいよ……」


「だって名前知らないもーん。

 じゃあ自己紹介する?」


「は……

 はい……」


「ホラ、こっち来て座りなさいよ」


 クレハは隣をポンポンと叩く。

 僕は言われるままに隣に座る。


 座った途端クレハの身体から香る甘い良い匂いにポーっとしてしまう僕。

 クレハは僕の方を向き笑顔。


「じゃあ私からね。

 私は暮葉(くれは)

 天華暮葉(あましろくれは)

 って何でボーっとしているのっっ!!?」


 僕の様子を見て驚いている暮葉(くれは)


「いや……

 僕は皇竜司(すめらぎりゅうじ)……

 こっちの竜はガレアです」


「竜司ねっ

 よろしくっ

 ……竜司……

 竜司……

 どっかで聞いた事あるような……

 無い様な……

 ってガレアッ!?

 キャーッ!!

 久しぶりーっ!!」


【何だ?

 俺、お前なんか知らねえぞ】


「私よ私。

 アルビノよ!」


【アルビノ?

 誰だよ。

 知らねえぞ】


「私だよーっ!

 アルビノよっ!

 昔よく遊んだじゃないっ!?」


 僕は名古屋の一件を思い出した。


「駄目だよ。

 ガレアは竜の顔を見ないと解らないから」


「えー何よそれー。

 もーしょーがないなー……」


 暮葉(くれは)はいそいそと上着を脱ぎだした。

 慌てて僕は静止する。


「ちょっ!?

 ちょっとっ!

 何で脱ぎだすの!?」


「え?

 だってこのまま竜になったら服破れちゃうじゃない?

 この制服、借り物だし」


 そう言いながら手早くボタンを外す。


 白い胸元があらわになる。

 ブラジャーの紐が見えた。


 下と同じ水色だ。


 って何言ってんだ僕は。

 焦りだす僕。


「ちょっ!?

 ちょっと待って待って!

 ストップ!

 ストォーップ!」


 ようやく暮葉(くれは)の手が止まる。

 もうヘソの辺りまでボタンは外されていた。


 白い肌に水色のブラジャーが眩しい。

 ってだから僕は何を考えているんだ。


暮葉(くれは)さん。

 竜の時の特徴を教えて欲しい。

 それで僕が何とかする」


「私の事は暮葉(くれは)でいいわ。

 私もあなたの事を竜司って呼ぶからねっ。

 えーと……

 特徴特徴……

 色は白くて翼が生えてるわ」


「それだけじゃあなあ……

 どこに居たとかは?」


「私はずっとマザードラゴンの所に居たわ」


「……って事は高位の竜(ハイドラゴン)なの?」


「いいえ、私は一般竜よ。

 ただちょっと特殊だけど」


 特殊?

 それに少し引っかかったがその時はスルーした。


 とりあえずガレアに思い出してもらわないと。


「ガレア」


【何だ?】


「ガレア、アルビノって言う白い竜に心当たり無い?」


【アルビノ……

 アルビノ……

 そんな奴、居たっけか?】


暮葉(くれは)、何かガレアと思い出って無い?」


「えぇっ!?

 急にそんな事言われても……

 えーとえーと……

 あっ!

 マクベスって竜と三人で花畑に遊びに行ったわ」


 マクベスっていうとマッハの事だ。


「よし。

 ガレア、マッハと花畑に行ったの覚えていない?」


【ん?

 あぁ、あいつ花が好きだからなあ。

 アイツと遊ぶと大抵花畑だったなあ】


「その時もう一人竜が居たのを覚えていない?」


【ん?

 アルビノの事か?】


「知ってるじゃん!」


 僕は驚きのツッコミを入れる。


【で、アルビノがどうしたんだ?】


「だから、この(ひと)がアルビノだって言ってるの」


【えっ!?

 お前アルビノかっ!?】


「そうよっ!

 久しぶりねガレアッ!」


【お前こんなとこでそんな恰好で何してんだ?】


「私今アイドルやってるの。

 結構人気あるんだから」


 それは昨日今日で重々承知だ。


【ふうん】


「ガレアもいつこっちに来たのよ」


【それはな……】


 少しの間、ガレアと暮葉(くれは)はお互いのこっちに来たキッカケなどを話していた。

 暮葉(くれは)がこっちに来た理由は語尾を濁されて良く解らなかった。


 ひとしきり話し終えたら暮葉(くれは)の興味は僕に移ったようだ。


「ねえねえ。

 竜司の事教えてよ」


 暮葉(くれは)の顔が僕に向けられる。


 顔が近い。

 暮葉(くれは)の身体から香る甘い香りに思わず僕は赤面してしまった。


「え……

 えっと……!?

 僕はっ!

 皇竜司(すめらぎりゅうじ)っ!

 十四歳っ!

 加古川に住んでてっ!

 ガレアの竜河岸やってますっ!」


 緊張した僕はヘンな自己紹介をもう一度してしまう。


「フフフなあにそれ。

 って加古川って確か近畿の方じゃなかったっけ?

 一度ライブで神戸に行ったから知ってるわ。

 そんな所からどうしてここへ?」


 この質問に僕はドキリとした。


「僕は……

 まあ色々あってね……

 今家出中……」


 これを聞いた暮葉(くれは)キョトン顔。


「家出?

 何で?」


「いやだから……

 色々あってね……」


「何よー。

 言いなさいよー。

 ねーねー!」


 そう言いながら僕の左肩を持ちガクンガクン揺らす。

 竜だけあって力があるのか僕の身体の振れ幅は大きい。


 右へ左へガクガク揺れながら何となく疑問が生じた時のガレアを思い出す。

 そりゃ仲良い訳だ。


「わ……

 わかったわかったっ!

 言うよ。

 言うから揺らさないで」


「ホントっ!?」


 暮葉(くれは)の顔がパアッと明るくなる。

 その笑顔は陳腐だが花が咲いたようだ。


 僕は祖父との確執。


 ガレアとの出会い。

 ガレアを侮辱されて祖父と喧嘩して家を出た事。


 僕が起こした事件の事は話さずに伝えた。


 事件の事を話さなかったのは何か言っちゃダメな気がしたからだ。

 それは第六感としか言えない。


 何故か心の中でブレーキがかかった。


「ふうん。

 何でお爺ちゃん、そんなに竜司に辛く当たるのかな?」


「エリートしか認めない人だから……

 ホラ僕、落ちこぼれだし……」


「ふうん、人間て良く解らないのね」


暮葉(くれは)ーっ!」


「あ、マスさんが呼んでるわ」


 ピシッとスーツを着こなした女性がこっちにツカツカ歩いてくる。

 切れ長の鋭い眼がこっちを見ている。


 細めのメガネをかけ、髪は黒くワンレンボブヘアーだ。

 体型は涼子さんと同じく腰の位置が高い。


 スラッとした姿はスーパーモデルの様だ。

 涼子さんは優しかったけどこの人はどうだろう?


「……六十八点」


「……は?」


「背は小さい。

 マイナス二十二点。

 あとそのオドオドした態度は頂けないわね。

 まあ今のご時世草食男子とかがウケたりもするからそれも加味してマイナス十点。

 まあ顔はそこそこ。

 竜河岸と言う点も考慮して六十八点が妥当な処ね」


 何だ何だこの人は急に人に点数を付けて失礼な。

 誰が六十八点だ。


「あら竜司。

 なかなかやるじゃない。

 マスさん評価で五十点以上は珍しいのよ」


 全然嬉しくない。


「申し遅れました。

 私はこういうものです」


 その女性が差し出した名刺にはこう書いてある。


 芸能事務所 ユニオン

 チーフマネージャー 安藤マス枝


「あなた芸能界に興味があるならウチに来なさいな。

 私が一から矯正してあげるわ」


 その女性の口が怪しく笑う。

 その口紅の赤が三日月型に曲がるその様子に僕は少し震えた。


「あ、いえ……

 僕はそんな……」


「それはそうと暮葉(くれは)

 あなたちゃんとスケジュール見てる?」


「ちゃんと見てるわよぉ。

 十時に富士警察署でで署長任命式でしょ?」


「そうね。

 それで昨日言った事覚えてる?」


「えっと……

 間の移動時間は一時間ぐらいかかるからそれも考えて行動する事……

 だったかしら?」


「よろしい。

 それで今何時かしら……?」


 マスさんの発言は冷静を装いつつ語尾の部分に怒りが見える。


「え……?

 どうせ、八時半ぐらいでしょ……?」


 そう言いながらスマホを見る暮葉(くれは)

 と同時に固まる。


「八時……

 五十五分……

 キャーーー!

 はっ……!

 早く準備しないとっ!」


「全く竜ってのはこれだから……」


「じゃあねっ!

 竜司ッ!

 私行くねっ!

 また逢えそうな気がするわねっ!

 それじゃっ!」


 暮葉(くれは)は慌ただしく走って行った。


 また逢えるったってなあ。

 アイドルとそんなポンポン逢えるもんでも無かろうに。


 この時僕は忘れていた。

 いや知らなかったと言うのが正しいか。


 竜河岸同士が惹かれ合うのは知っていたが惹かれ合うのは竜河岸だけではなく竜もだと言う事を。


「じゃあ」


 僕はとりあえず兄さんの所へ戻ることにした。



 十階 刑事課



 兄さんが居た。


 何か事務仕事をしている。

 取り調べはもう終わったのだろうか?


「兄さん」


「おう竜司。

 クレハどうだったよ?」


「いや……

 まあ……

 可愛かったよ……

 ゴニョゴニョ」


「ん?

 そうかお前が居たか。

 オイ竜司、仕事だ。

 お前クレハについていけ」


「え……?」


 僕は一瞬何を言ってるのかわからなかった。


「いやな、竜排会がクレハを狙っているってタレコミがあってな。

 だからお前にクレハの護衛をしてもらおうと思ってな」


「でっ……

 でも何で僕が……」


「狙ってるのが普通の犯罪者なら普通に刑事課かSPに頼むがな。

 相手が竜排会なら話は別だ。

 俺ら特殊交通警ら隊で対処せなならん。

 今静岡にいるメンバーは全員仕事で手いっぱいだ。

 その点お前はヒマだし、移動の時もお前の全方位(オールレンジ)なら安全なルートの割り出しも可能だろ?

 それに竜排会は竜を狙うから最悪お前が囮になる事も出来るしな。

 まあ無理にとは言わんが」


 これを聞いて僕は黙って考えた。


 正直暮葉(くれは)とはもう少し話したい。

 アイドルとお近づきになる機会なんてめったにないから。


「早くしろよ。

 もうクレハ行っちまうぞ」


「わかったよ」


 僕は容易く了承。

 正直、竜排会なら全員一般人だろと僕は侮っていたからだ。


「じゃあ、これ使え」


 兄さんが鐙を投げてきた。

 受け取る僕。


「それとな……

 竜司、竜俳会を侮るなよ」


 この時はハイハイと聞き流していた。


 僕はその事を物凄く後悔する事になる。

 鐙を持って急いで下に降りた。



 一階



 降りると暮葉(くれは)の乗って来たワゴン車はもう出発寸前だった。


「あぁっ!?

 待って下さーいっ!」


 僕はワゴン車の前に駆け出し、両手を広げて制止する。


(うわっ!)


 キキーッ!


 地面とタイヤの摩擦音が大きく響く。

 運転手が中から凄まじい勢いで降りて来た。


 スキンヘッドで眉毛が無い。

 角ばった小さな石の様な目。


 筋骨隆々で物凄く強そうだ。

 この人が護衛すれば良いんじゃないか。


(このバッカ野郎ぉぉう!

 危ねぇだろうがっ!)


 運転手がまくしたてる。

 余りの勢いにたじろぐ僕。


 一瞬何でこんな事をしたかを忘れてしまいそうだ。

 生唾をごくりと飲み込み僕は話す。


「危ない事をしてすいません!

 僕は兄より暮葉(くれは)……

 クレハさんの護衛を任されたんです!」


(何ッ!?

 護衛だぁ……!?

 ちょっと待ってろ……)


 運転手がワゴン車に戻る。

 直にマネージャーが降りてくる。


 確かマスさんだったっけ?


「あら?

 アナタはさっきの……

 護衛がどうとか……

 どういう事か説明して下さい。

 時間も無いので簡潔にね」


 僕は搔い摘んで説明した。


「なるほど……

 竜排会が暮葉(くれは)を目の敵にしている噂は本当だったのね……

 じゃあ貴方に任せようかしら?」


 意外にあっさりOK。

 僕から言い出して何だけど十四歳なんだけど大丈夫かな?


「僕、十四歳なんだけど大丈夫なんですか?」


「アラ?

 貴方十四歳なの?

 それにしては老けてるわね。

 でも貴方も竜河岸なんでしょ?

 別に良いわよ。

 貴方以外の人を選んでいる時間もないし。

 もしかして自信無いの?」


 マスさんの物言いに少しカチンときた。


「やってみせますよ。

 立派に護衛を務めて見せます」


「フフ、その負けん気は認めてあげる。

 プラス二点。

 でもこんな見え見えの挑発に乗るようじゃまだまだね。

 じゃあ行くわよ。

 えーと……

 貴方、名前は?」


「竜司です。

 皇竜司(すめらぎりゅうじ)


「そう竜司、あなたはどうする?

 車に乗っていく?」


「いえ、僕はガレアに乗って行きます。

 確か目的地は富士警察署でしたよね。

 危険が近づいたり、ルートを変更する時は携帯で知らせますので番号を教えて下さい」


「わかったわハイ」


 僕はスマホにマスさんの番号を登録した。


【おっまたそれ付けんのか?】


「ガレア、じっとしててよ」


【はいよう】


 僕は手早く鐙を取り付ける。


【やっぱこれ気持ちいいなあ】


 車が走り出す。

 僕はガレアに跨り、それについて行った。


 早速携帯が鳴る。

 マス枝さんだ。


「はい」


「じゃあ竜司、出発するわよ。

 ルートは国道一号線から清水IC(インターチェンジ)に行くから」


「と、言う事は東名高速を使うんですね」


「そうよ。

 しっかりついてきてね」


「わかりました」


 プッ


 ひとまずは順調。

 国道一号線に入る。


「そろそろ使うか……

 全方位(オールレンジ)


 僕を中心に緑のワイヤーフレームが円状に広がる。


「よし、この状態を少し維持するか……」


 よし、今の所問題無し。

 二十分ほどその状態を維持していた所……


 反応があった。


 一番隅に蒼い帯が見える。

 正確には青い点の集合体だ。


 蒼い点が寄り集まって国道一号線を跨る様に蒼い帯になっている。


 これが竜排会だろうか?

 連絡しておいた方が良いだろう。


 一旦全方位(オールレンジ)解除。

 僕はガレアに跨りながら携帯を取り出す。


「あ、マス枝さんですか?

 そのまま一~二キロ先に人が固まってます。

 おそらく竜排会かと……

 ルート変えた方が良いかも知れません……

 ええ、はい……

 国道六十七号線ですね。

 わかりました……

 プツッ」


 ルート変更。

 国道六十七号線に移り北上して清水IC(インターチェンジ)に向かうルートだ。


 前のワゴン車の指示器が点滅。

 左折する。


 国道六十七号線に入る。

 入った段階で再度全方位(オールレンジ)展開。


 直後、僕は異変に気付いた。


 一~二キロ先に居た青い帯が真っすぐこっちに向かってくる。


 何故だ?

 ルートは変えたはずなのになぜ場所が解る。


 考えがまとまらない。


 早くこの異変をマス枝さんに伝えないと。

 僕はすぐさま携帯を取り出す。


「もしもしっ!

 マス枝さんですかっ!

 そのまま行っても包囲されますっ!」


 話している内に蒼い帯の先端が分断された。

 物凄い勢いでこっちに向かってくる。


 駄目だ。

 ルート変更も間に合わない。


 そうこうしている内に前のワゴン車のタイヤの大きな摩擦音が響き、急ストップ。

 ワゴンの前を見ると車が道路を分断するように数台止まっている。


 すぐさま中から数十人降りてくる。

 その中の一人が拡声器を準備。


(あーテステス……

 我々はー竜排会横浜支部であるーっ!

 ワゴン車の中にいる人もどきの竜よー!

 おとなしく出てこーいっ!)


 でかい声で勝手な事を言っている。

 僕はすぐにガレアから降りてワゴン車をノックする。


 助手席の窓が半分ほど開いてマス枝さんが顔を出す。


暮葉(くれは)に伝えて下さい。

 出る必要は無いって。

 こいつらは僕が何とかします」


 僕はワゴン車の前に出る。

 僕らの姿を見た途端、周りがざわつく。


(竜だ……)


 ザワザワ


(竜ッ……!)


 物凄く大きく澱んだ赤黒いもやが竜排会側に大きく立ち上る。


 僕へ向けられる視線も突き刺す様で初めて受動技能(パッシブスキル)を体験した時の警察の視線を何十倍にした感じだ。


 これは不味い。

 向けられた負の感情が大きすぎて圧し潰されそうだ。


 連中を凝視するのはやめよう。

 さあ前に出てはみたもののどうしたものか?



 ###

 ###



「さあ、今日はここまでだよ」


 何か(たつ)の様子がおかしい。

 眼がらんらんと輝いている。


「パパ……

 この出てきた暮葉(くれは)ってママだよね……?」


「あっ……

 あぁ、そうだよ……」


 妙な雰囲気にドキリとする。


「すっ……

 げえええ!

 ママが竜なんて!

 竜の姿になれんの!?」


 (たつ)のテンションの上がり方に戸惑う僕。


「今はもう竜にはなれないよ。

 でも竜の頃の記憶はあるから明日にでも話を聞いてみると良い」


「うんっ!

 明日きーてみよーっと」


「さぁ今日はもうおやすみ……」


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