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ドラゴンフライ  作者: マサラ
第一章 旅立ち編
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第一話 竜司とガレア

何分初めての投稿となるため見づらい点もありますが読んでいただけると幸いです。



 2047年 某県某市 (すめらぎ)邸寝室



 ガチャ


「やあ、こんばんわ」


「あ、パパ、どうしたの?」


「いや、( たつ)がどうしてるかと思ってね」


 (たつ)も今年で十二歳。

 僕が十二の頃と言えばあの忌まわしき事件があった頃だ。


 いい機会だと思うので( たつ)に話してやろうと思う。


( たつ)……

 今からパパのお話、聞いてくれるかな?」


「いいよー。

 どんなお話?」


「パパが十四歳の頃に出会った竜のお話。

 その出会いと別れのお話さ」


「竜ってあのゲームとかで出てくる奴?」


「そうだよ」


「……パパ、何言ってんの?

 竜なんかいる訳ないじゃん。

 大人なのにヘンなの」


 うん、確かにおかしい事を言ってるとは思う。

 普通に考えて竜なんかいる訳が無い。


(たつ)からしたら有り得ない話かも知れないね。

 でも、今から話すのは本当の話なんだ。

 どうだい?

 パパの事を信じて聞いてみてくれないかな?」


「ウソ臭いなあ……

 でも興味はあるかな?」


 何だかんだ言いつつ、( たつ)の目は輝いている。

 了承したと受け取った僕は、話し始めた。



 ###

 ###



 僕は落ちこぼれだ……


 そんな事を考え始めたのは、小六の頃。


 その頃に僕が引き起こした()()()()が決定打となって僕は自分に自信が無くなってしまった。


 それまでは家の名に恥じない立派な人間になるものだと思っていた……

 ……んだと思う。


 しかし現実は上手く行かないもの。

 一度の失敗で僕の人生はゴロリと転落し、奈落の底。


 いわゆる人生が詰んでいると言うやつ。


 これから話す内容はそんな僕とあるドラゴンとの出会いと別れまでの話。

 長いけど是非聞いて欲しい。


 悶々としながら僕はコンビニからの帰り。

 当分の食料を袋いっぱいに詰め込んでいた。


 暑い夏だったのをよく覚えているよ。


 人生が転落し、見事に引き籠もった僕。

 毎日特撮を見るか、筋トレしかしていなかった。


 筋トレを始めたのはお爺ちゃんからの最後の言葉らしい言葉。

 落ちこぼれがキッカケ。


 その頃は自分が落ちこぼれじゃ無いって思いたかったんだろうね。

 それか少しでも落ちこぼれてない自分になりたかったのかな?


 事件直後は毎晩悪夢を見て、それから逃げるように筋トレをしての繰り返しだったなあ。


 やがて悪夢は見なくなったんだけど、惰性と言うか習慣で続けていたよ。


 特撮は新旧ほとんど見た。

 学校も行かないから、ネットでダウンロードして見ての繰り返しだった。


 僕のとっての特撮ヒーローは本当、憧れでね。


 悪や困難に真正面から立ち向かう姿がカッコ良くて、落ちこぼれて引き篭もった自分でも、こうなれるのかなって夢中で見てた。


 現実はいつも辛い日々だったけど、この日は幾分か気持ちは晴れやかだったんだ。


 特撮の宇宙警察アステバンの新作が公開。

 そのダウンロードをセットして外出したからだ。


 帰宅したらダウンロードは完了している。

 早速、帰って見よう。


 馬鹿みたいな話だけど僕の頭の中はソレしか無かったよ。

 こう言うのって準備してる時が楽しいんだよね。


 帰宅し、真っ直ぐ自分の部屋に戻ってアステバン上映開始。


 CGの多い中、頑固に特効にこだわった作風が好きでシリーズを何回も見ていた。

 新作も相変わらず手作り感のある特攻効果が最高だ。


 で、話もラストに差し掛かった所で唐突に……

 急に脇から声が聞こえた。



【アステバンじゃん】



 その声が人ではないことはすぐに解った。

 耳から入るというよりは、脳に直接響くって感じだったから。


 これは竜の言葉。

 世の中では竜言語って呼ばれている。


 声のした方を見ると一体の竜が肩肘ついて窓に寄りかかっていた。

 その爬虫類のクリクリした眼が見つめる先は部屋のTV画面。


 竜なんてこのご時世には珍しくない。

 街を歩けばゴロゴロいる。


 けど、その時の僕はアステバン以外に全く興味を示さない。

 竜よりも特撮。


 そんな心境の僕を全く気にせず、言葉を重ねる竜。


【アステバンいいよな?

 色々ありものでやってるってゆーの?

 アステクラッシュの何かがバリーンって割れる感じなんかサイコー】


 最初、僕はよく喋る(やつ)だなぐらいしか思わなかった。


【……ん?

 これ、見た事ねえぞ。

 いつのやつだよ】


「……えっと……

 今日、公開された新作……?」


【えっ!?

 新作って新しいやつの事だよなっ!?

 マジで!?

 出たのっ!?

 見せて見せて!】


 その竜はキラキラした目で言った。

 それを見た僕が言った一言が……


 「……じゃあ……

 ……一緒に見る?」


 だった。


 今となっては何で受け入れたかはわからない。

 話せる存在が欲しかったのかもね。


 言っても竜だけど。


【マジで!?

 いいの?

 じゃあちょっとサイズ小さくなるわ】


 温かい光に包まれたその竜は二回りぐらい小さくなって、ズカズカと僕の部屋に入ってきた。


 (たつ)からしたら不思議な光景だろうね。

 竜と人が並んで特撮を見てるって画は。


 その竜の名前はガレア。


 本名はガ・レルルー・ア。

 だけど呼びにくいから愛称のガレアって呼んでくれって言ってた。


 ガレアはとにかくうるさい。

 視聴中もずっとわーきゃー言ってた。


 僕の家が大きくて、部屋が離れていないと近所迷惑この上ない。

 例えば……


【何だよこの敵!

 うっとおしいなあ!】


【この地球人、良いやつだなぁっ!】


【アステーー!

 クラーーッシュ!】


 ……とまあ、こんな感じで。

 でも、うるさくても僕はその状況が楽しくて笑ってたんだ。


 他と接して笑ったのなんてホント久しぶりで凄く嬉しかったんだと思う。

 やがて新作を見終わり、一息ついていた。


 ちなみにガレアはお菓子のばかうけがお気に入り。

 買い置きも全部食べてしまっていた。


【あー面白かったー。

 やっぱサイコーだよなアステバン。

 不完全な人間が無い知恵絞って作ったって感じがよー】


 僕は竜に悪気が無いことは知っていたから別にその発言はスルー。


 こうして僕は偶然。

 ひょっこり現れたガレアと知り合う事になる。



 ###

 ###



「はい、今日の話はここまで」


「パパ、引き籠もりだったの?

 ダサいね」


「そうだね、僕も自分が嫌いだったよ。

 じゃあ、この話の続きはまた明日。

 おやすみなさい……」


 続く。


 

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