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ああ、赤ずきんちゃん。  作者: 極大級マイソン
第2章【白雪姫(仮)編】
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第4話「赤ずきんちゃんと古い小屋」

 手鏡『見つけましたね黄金のリンゴ!』

 お后「こんなにあっさり見つかるなんて警備がザル過ぎないかい!?」


 リンゴ園で秘宝を探し始めて数分。お后は見事に黄金のリンゴを見つけ出しましたとさ。

 でめたしでめたし。


 お后「いやいや待つんだ、何か罠が仕掛けられている可能性は……」

 手鏡『うーんワタシの魔法で調べた限り、罠の類は無さそうですね〜』

 お后「じゃあ……これで終わりかい? 何だか拍子抜けだねぇ……」

 手鏡『まあ良いんじゃないですか? 楽に見つかる事に越したことはないでしょう』


 魔法の手鏡の言う通りでした。お后は、何か釈然としない思いを感じながらも、無事黄金のリンゴを見つける事が出来たのです。お后はにやりと笑います。

 ……しかし、その瞬間ゴトゴトっと、何か物音のようなものがお后達に聞こえてきました。


 お后「!? 今の音は何だい!?」

 手鏡『どうやら、向こうから聞こえてきたみたいですね〜』


 お后がふと見渡すと、黄金のリンゴが実る木の向こう側に、古い小屋があるのに気がつきました。


 お后「……誰かに見られたか?」

 手鏡『どうします? もう秘宝は目の前ですし、さっさと盗んで逃げ出しますか?』

 お后「いや、もし人が入っているなら放っておくと後々面倒になる可能性もある。ここは念のため、中を確認しようかねぇ……」


 そう言ってお后は、恐る恐る近くの小屋に近づき、ゆっくりとドアノブに手を掛けます。そしてバッ! と勢いよく扉を開きました。

 ……そこにあったものはっ!?





 赤ずきん「さあ、もう逃げられないわよ! 覚悟して私を受け入れなさい………………あっ」

 白雪姫「だ、駄目です。赤ずきんさん……。私、まだ心の準備が………………あっ」


 お后・手鏡『…………………………』





 お后と手鏡は、言葉を失いました。

 古い小屋の中に居たのは、2人の美しい少女でした。薄暗い日の影にひっそりと交わる二輪の花のように、彼女達はお互い絡み合っています。

 まず、赤い頭巾を被った少女は、もう1人の少女に跨っていました。その、赤い頭巾を被った少女は、下に組み敷いた少女の衣服を無理やり剥ぎ取り、少女の下着を晒しています。

 そして、下に組み敷かれている少女……これは白雪姫だったのですが。彼女は赤い頭巾を被った少女になされるがままに脱がされていました。白雪姫は口では嫌だ嫌だと言いながらも、その顔はどこか期待に満ちたように頬を赤らめ、その様はまるで恋する乙女のような--。


 お后・手鏡『し、失礼しました〜』


 そう言って2人が扉を閉めようとした瞬間、白雪姫がすごく慌ててお后を止めます。


 白雪姫「ま、待ってください誤解です! これには深いわけが……」

 お后「あーうん、そうだね。白雪姫も年頃だし、そう言うのに興味が無いのも言え無くも無く無いしね、うん」


 お后は適当に答えてこの場を立ち去ろうとします。この世界にも、プライバシーという概念はあるのです。その辺のことはお后も弁えていました。

 いつも性悪なお后ですが、今回は珍しく白雪姫に優しげな表情を浮かべています

 その笑顔が、逆に白雪姫を追い詰めていきます。彼女はもう涙目でした。


 白雪姫「違うんです誤解です! あの、リンゴ園でお手伝いしてたら服に虫が入って。それで取ろうとしてたら赤ずきんさんが私の服を無理やり…………と、とにかく誤解なんです!!」

 赤ずきん「白雪姫落ち着いて〜。女の子がはだけた格好で外に出ちゃいけないんだよ〜?」

 白雪姫「貴女が脱がせたんでしょう!?」


 赤ずきんはアハハと気さくに笑いました。

 一方で、魔法の手鏡が2人の少女に聞こえないようにヒソヒソとお后に耳打ちます。


 手鏡『お后様、暗がりで百合の花を咲かせてる2人に構ってる場合ではありませんよ。さっさと黄金のリンゴを盗んで逃げちゃいましょう』

 お后「分かってる。……じゃあ2人とも、私はこれで失礼しますね。なあにこのことは誰にも言いません、絶対に秘密にしますからね」

 白雪姫「あっ、待って!」


 白雪姫はリンゴ売りに化けたお后を止めようと、彼女の袖を引っ張りました。


 手鏡『おわっ!』


 するとその拍子に、お后の袖に仕舞われていた魔法の手鏡がコトンと地面に落ちてしまいました。

 そしてその瞬間、お后は魔法の手鏡を手離してしまったことで、お后に掛けられていた魔法が解けてしまいます。


 白雪姫「……あっ! 貴女は、お后様!?」

 赤ずきん「え、お后様? ……もしかしてこの人、白雪姫のお母さん? あんまり似てないけど……」

 お后「ちぃっ、バレてしまっては仕方がないね!!」


 お后は顔をしかめ、袖の下から道具を取り出します。

 それは毒吹き矢でした。お后はその吹き矢を構えると白雪姫に向けて放ちます。

 そして、毒の塗られた矢が白雪姫の首筋に刺さりました。


 白雪姫「きゃあっ!」

 赤ずきん「白雪姫!」


 赤ずきんは白雪姫に駆け寄ります。白雪姫の意識はどんどんと薄れていき、意識が途絶える直前、白雪姫は赤ずきんをじっと見つめます。

 そしてガクリッと力無く倒れ、白雪姫は死んでしまいました。


 お后「あーはははははっ!! 流石は即効性の猛毒、忌々しい白雪姫を簡単に殺せたねぇ! さて、次はお前の番--

 赤ずきん「『餓狼天牙翔ッ!!』」

 お后「モゲボハァッ!!?!」


 説明しよう、"餓狼天牙翔"とは。

 餓狼拳法を会得した者だけが使える究極奥義。武を極めし者が放つ怒りと悲しみのオーラを拳に込め、必殺の技を叩きつけるのだ。相手は死ぬ。

 赤ずきんは、そんな究極奥義を隙だらけのお后の顎に喰らわせました。お后はなすすべもなく倒れ、軽く死にました。


 赤ずきん「白雪姫! 白雪姫! お願い、返事をして!」


 やっつけたお后を放っておき、赤ずきんは白雪姫を揺さぶります。しかし、白雪姫はピクリとも動きません。

 赤ずきんは、途方に暮れてしまいます。初めて出来たたった1人の女の子の友達が、突然死んでしまったのです。

 赤ずきんは泣き出してしまいます。けれど、白雪姫は目を覚ましません。


 --その時、赤ずきんの近くで、パァァッと何かが強く光り輝き始めました。


 赤ずきんが其方を見ると、そこにはお爺ちゃんが大事に大事に育てていた、『黄金のリンゴ』がある事に気がつきます。

 赤ずきんは昔、お爺ちゃんが話してくれた事を思い出しました。


 --黄金のリンゴは永遠の命を授ける果実だ、と。


 ……赤ずきんは決心しました。もう彼女は泣いていません。

 大切な友達を救うため、赤ずきんは黄金のリンゴを手に取ります。


 ……次回、最終話「赤ずきんちゃんと祝福の鐘」。ご期待ください。

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