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ああ、赤ずきんちゃん。  作者: 極大級マイソン
第4章【三匹の子ブタ(仮)編】
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最終話「赤ずきんちゃんの空は赤い」

 一方その頃、ジュウガミは森の中をひたすら駆け抜けていました。

 若き狼の瞳は、どこか澄んだように輝いています。長年の苦労をがついに報われる、そんな希望に満ち溢れてた表情をしていました。

 ジュウガミは走ります。狼ならではの疾走。そのあまりの素早さには、おそらく森の動物達は誰1人追いつくことはできないでしょう。


 赤ずきん「必殺タックルッ!!」

 ジュウガミ「何故にゴバハァッ!!?!」


 ……そんな訳でも無かったようです。

 走るジュウガミを、後ろから追いかける形で、赤ずきんがジュウガミにタックルを仕掛けました。

 あまりの衝撃に朦朧とするジュウガミ。その隙に、赤ずきんは再び若き狼の身体にのしかかります。


 ジュウガミ「グェェッ!! は、離せぇ!!」

 赤ずきん「離すもんか! うちを壊した弁償をしてもらうまで逃がさないからね!」

 ジュウガミ「んなこと言われても金なんてねえぞ、狼だもの!」

 赤ずきん「だったらせめて謝って! 『赤ずきんさんの家を壊してごめんなさい!』って謝ってよ!」

 ジュウガミ「俺は誇り高き狼だぞ! 誰が人間なんかに謝るかグボホッォ!? …………ま、待て。死ぬ、死んじゃうから!!」


 ジュウガミは抵抗しますが、赤ずきんの猛攻とこれまでに受けた傷の影響で、既に瀕死の状態です。このままでは命に関わるでしょう。

 しかし、ジュウガミはそれでも希望を捨てません。


 ジュウガミ「い、今に見てろよ人間。ロードさえ解放されれば、お前ら人間なぞ、全員滅ぼしてやるからな!!」

 赤ずきん「……さっきも言ってたけど、その【ロード】って誰なの?」

 ジュウガミ「かつての英雄……。1000年前に、この世界を支配する目前までに到った伝説の狼だ!! ロードは、世界中の名高き狼を中心に軍を作り、各国を滅ぼした狼族の王。……俺の家系は、そんなロードを再びこの地に呼び戻すために、長い年月をかけてその方法を研究してきた。そして遂に! 俺の父の代で、王を復活する手段を導き出したんだ! 封印解除に必要な石が、何故か1つ無くなった時は肝を冷やしたが……、今となってはどうでもいい!! ……もうすぐだ。もうすぐで、偉大なる王が復活する!!」


 ジュウガミは大声を上げて、高らかに宣言します。彼の、彼の一族の悲願がもうじき叶う。その事に喜びを隠せない様子です。



 ??「……なるほど、それは良いことを聞きましたね」



 赤ずきん&ジュウガミ『……………………んん?』


 と、赤ずきん達の元に誰かが居ました。

 いつの間に近くに居たのでしょう? その人は、灰まみれのマントにフードを被っていました。顔は隠れてよく見えませんが、さっきの声色から、おそらく女性であることがわかります。

 赤ずきんには、見覚えのない人物でした。というよりも、この森に住んでいる人間など限られています。

 そしてその女性は、赤ずきん達が呆けている間に、フゥッと息を吹きかけました。


 ジュウガミ「むぅ!? これは一体なんだ…………zzz」スヤスヤ

 赤ずきん「わぁっ、ジュウガミさん凄く寝つきが良いのね!」

 ??「貴方も眠りなさい。フゥゥ」

 赤ずきん「うわぁぁ………………zzz」スヤスヤ


 赤ずきんも同じ技を受けて、スヤスヤと眠りについてしまいます。


 ??「ふふふ、これで赤ずきんは手に入りましたね。後は……」

 狩人「何してんだコラァ!!」


 その瞬間、謎の女性に一太刀の剣が振り下ろされました。しかし、謎の女性はその攻撃をひらりと躱すと、剣を振った狩人に向き直ります。


 ??「おや、貴方は……」

 狩人「テメェ……、何処のどいつか知らねえが、俺の赤ずきんちゃんに手ェ出すとは良い度胸じゃねえか。お前をぶった斬る!!」

 ??「ふむ、なるほど……」


 謎の女性は、何やら思案をしていますが、それを待つ狩人ではありません。すぐさま謎の女性に神速の太刀を振るいます。

 ----しかし、狩人の剣は、まるで女性の前に透明な壁があるかのように防がれてしまいました。


 狩人「むぅ! 俺の斬撃が、一太刀も当たらないだとぉ!?」

 ??「ふふふ、どうやら実力は折り紙つき。この国、いや世界でも、貴方ほどの剣士はそうそういないでしょうね」


 そう言って、謎の女性は何やら言葉を呟きます。

 通常では理解できないような不思議な言語。そして狩人は、自身の長年の経験からそれが魔法の呪文であることがわかりました。

 その直後に、謎の女性と赤ずきんの身体が光り輝き出します。それを見た狩人は、このまま呪文を唱えさせてはならないと直感で判断しました。


 狩人「させるかよ!!」


 狩人は、持っている剣を思い切り謎の女性に投げつけました。岩も射抜くような閃光の一撃。

 しかし在ろう事か、謎の女性はその剣を受け止めます。それは、キャッチボールの要領で簡単に、鮮やかに、狩人の投げた剣を片手で掴み取ったのです。


 狩人「ば、馬鹿な!?」

 ??「ふふふ。赤ずきんを返して欲しいなら、明日の夜、おとぎの城に来なさい。貴方ほどの剣士なら、きっと楽しいイベントを盛り上げてくれるでしょうからね。ふふふ、あっははははははは!!」


 謎の女性が高笑いを上げ、その瞬間に輝いていた2人は強い光とともに消えてしまいました。

 狩人は苦い顔をして、怒り任せに近くの木を殴ります。


 狩人「……赤ずきんちゃんが、連れ去られた。俺もまだ連れ去った事ないのにっ!


 そう叫んで、狩人は悔しそうにまた木を殴りつけました。


  ***


 ----数時間後。

 空がすっかり真っ赤に染まった時間に、赤ずきんはゴトゴトと何かに揺られながら、ふと目を覚まします。


 赤ずきん「……う、う〜ん。----ふわぁぁ、……もう朝ぁ?」

 ??「残念、まだ夕方ですね」

 赤ずきん「んんっ?」


 目を覚ました赤ずきんは、目の前に見知らぬ女性がいることに気がつきます。

 灰まみれのマントとフード。顔はすっぽり隠れていてよく見えませんが、声色から辛うじて女性であることが分かる、そんな人でした。


 赤ずきん「……ここはどこ?」

 ??「ここは荷馬車の中ですよ、赤ずきん。私達は今、国で一番大きな町にある、おとぎの城に向かっているところです」

 赤ずきん「なんで?」

 ??「ふふふ。貴方には、やってもらいたいことがあるんです。私の人生に刺激を与えてくれるために、ね」

 赤ずきん「……ふ〜ん」


 イマイチ、赤ずきんは自分の状況がよくわかってないようです。ひょっとすると寝ボケているのかもしれません。


 赤ずきん「……ところで、貴女は誰? お名前聞いても良いかしら。私はね、赤ずきんって言うの」

 ??「ええ、ご存知ですよ。お噂はかねがね……」

 赤ずきん「噂?」

 ??「いえいえ何でも、……私の名前でしたね。では、私も自己紹介をしましょうか」


 そう言うと、謎の女性は被っていたフードをおろします。

 そこから露わになったのは、白い肌と金色の髪。美しい碧眼を持った美女でした。

 その女性を前に、赤ずきんは不思議な既視感を感じました。

 それもそのはず。何故ならその美女は、まるで赤ずきんが大人に成長したかのような、そんな姿をしていたのです。


 赤ずきん「あら、貴女……」

 ??「ふふふ。初めまして、赤ずきん。私の名は、"シンデレラ"。貴女を素敵な夜にお誘いしに参じた、召使いでございます」


 そう言って謎の女性、シンデレラは丁寧にお辞儀をします。


 シンデレラ「今宵、貴女はこのカボチャの馬車に乗ってお城へと向かいます。先ほども言いました通り赤ずきん、貴女にはそこでして欲しいことがあります」

 赤ずきん「……何を?」


 赤ずきんは尋ねます。その言葉を待っていたと、言わんばかりにシンデレラが笑顔で答えます。




 シンデレラ「----『天下一舞踏会』」




 赤ずきん「天下、一?」

 シンデレラ「この世界で、最も強い女性が誰なのかを決める、乙女達の戦いの舞台。貴女には、その舞踏会に参加してもらいます」


 赤ずきんは、ポカンと口を開いて呆けています。

 そして赤ずきんの返事を待つこともなく、カボチャの馬車は遂に森を抜け出しました。

 ……そして、赤ずきんとシンデレラは、馬車の外を見ました。


 シンデレラ「……結構、近いんですよね」

 赤ずきん「あ、うん。子供が歩いて行ける距離だからね」

 シンデレラ「ふふふ。しかし、この森には誰も近づかない。謂わば、かの森は街の人々のとって、『秘境』と同意なのですよ」


 森を抜けたばかりの場で、2人が見たもの。

 それは、大きな町でした。

 この国一番の大きな町。その町は、以外にも赤ずきんが住むおとぎの森から、かなり近い距離にあったのです。

 そして、その町の中央部分。

 そこには、町外れのここからでもよく見える、大きな建物がありました。


 シンデレラ「さあ、見えましたよ」

 赤ずきん「見たことはあるよ、近所だもん。入ったことはないけどね」

 シンデレラ「ふふふ」


 シンデレラが笑います。その笑いが何を意味するのか、赤ずきんには分かりませんでした。

 町の中央にある大きな建物。この国の王様が住んでいるその建物を、シンデレラは改めて紹介します。




 シンデレラ「あそこが、"おとぎの城"です。貴女が美しく花開く、夢の舞踏会の会場です」




 ----次回、最終章【シンデレラ(仮)編】。

 ----ご期待ください。

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