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V・W・G ~† リアルへの生還 †~   作者: 聖那
第二章 ~† 北の玄武洞 †~
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凪の迷い

挿絵(By みてみん)


空が漆黒しっこくに染まり、旋風せんぷうが生き物のように大地へと吹きすさぶ様が見てとれた。雷鳴らいめい轟音ごうおん形容けいようしがたい音があたりに響き渡る。


<・・誰かが戦ってる?・・>


「ドラゴンが暴れ始めたんだ・・」

「殺される・・」

「早く逃げなきゃ・・」


恐ろしい程の轟音ごうおん、大地を揺るがす雷鳴らいめいに、洞穴内どうけつないのプレイヤー達が口々に不安を吐き出した。


<・・この状況じゃ戦っても全滅するだけだ・・>


なぎなかあきらめかけたその時である。


『逃げるのかい?』


なぎは、不意に声がした洞穴どうけつの奥を振り返り暗がりに目をらした。壁にもたれるように座る老婆。黒装束くろしょうぞく錫杖しゃくじょうを持ち、背中は大きく湾曲わんきょくしていたが、その双瞼そうぼうはこの状況でもあきらめを感じさせない力強い雰囲気ふんいきを感じた。


『えっ?』

『相手がドラゴンだからってこのまま戦わずにあきらめて逃げるのかい?』


ある種の目眩めまいのような、その異様な黒い瞳に吸い込まれる感覚をなぎは覚えた。今自分が持つ全ての弱気な感情を真っ向から否定されている、逃げ出すことは死を選択することよりも誤りだと、短い言の葉でさとされているように感じた。


『今あそこでドラゴンと対峙たいじしてる者達はどうして戦ってるんだろうねぇ?』

『・・・・』

『そんなことも分からずに逃げ出すほど、あんたは弱虫じゃないだろう?』


なぎはドラゴンの咆哮ほうこうが聞こえる岸壁がんぺきを再び振り返る。今度はそこでドラゴンと必死に戦っている三人の影がなぎにはハッキリと見てとれた。

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