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V・W・G ~† リアルへの生還 †~   作者: 聖那
第二章 ~† 北の玄武洞 †~
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紅蓮の戦士・凪

挿絵(By みてみん)


~同時刻


刹那達せつなたちがドラゴンと対峙たいじしている岩壁がんぺきよりも更に奥の岩肌に口を広げる洞穴どうけつ

その洞穴どうけつからは、鮮明ではないがドラゴンの姿が見えていた。


洞穴どうけつの入り口で、パーティーを組んでダンジョンへと入ったなぎが、壁にもたれる格好で外の様子をうかがっていた。

洞穴内どうけつないには、座り込む者、横たわり動けずにいる者、両手を前に組み神に祈る者、数多くのプレイヤー達が息を殺してこの最悪の状況に身を置いていた。

なぎでさえ、かぶとの右側はくだかれ、よろいには幾線もの深い傷、体の至る所から鮮血していた。まさに満身創痍まんしんそういである。


そこにいる誰もが全滅という最悪のシナリオを想像していた。しかし、他のプレイヤーとは違い、なぎの瞳には強い光があった。ここから必ず生きて脱出するという強い信念を持ち続けていた。


〈・・なんとかしないと・・〉


洞穴どうけつの中の傷付いた沢山たくさんのプレイヤー達を振り返ってなぎは心の中でそうつぶやき、皆を少しでも勇気づけなければと、満面の笑顔で話した。


『大丈夫!必ず打開策だかいさくがあるはずだ!』


洞穴内どうけつないなぎの声だけがむなしくひびいた。

なぎの言葉に誰も反応しなかった。この絶望的状況に打開策を見出みいだすことは不可能だと誰もが悲観ひかんしていたからだ。


『大丈夫!俺が必ずなんとかする!なんたって俺は紅蓮ぐれんの戦士、なぎ様だからな』


皆の心が少しでも希望をつかめるように、おどけた感じで両手を腰に当てて笑顔で言葉を続けた。


「・・・・だよ」

『えっ?・・』


それまで両手を前に組み、神に祈っていた戦士がつぐんでいた口を開いた。


「無理なんだよ!相手はドラゴンだぞ!中ボスレベルのモンスターならまだしも・・ここにいる皆で戦っても全く歯が立たなかった超級レベルのドラゴン相手にどう戦うんだよ!」


震える声でなぎに食ってかかる戦士。なぎにらみ付ける目は恐怖からか赤く血走って見えた。


『それは・・』


何も言えなかった。言葉にはしたものの打開策が浮かんでいるわけでもなく、希望を口にしただけだったのをなぎ自身が一番よく分かっていたからだ。しかし、軽々しくその言葉を発したわけではない。


〈・・本当の終わりは、あきらめたときなんだ・・〉


なぎは血に染まったこぶしを強く握り締めた。


〈・・でも・・確かにどうすれば・・〉


この状況を打開する案を幾通いくとおりも考えたが、うまくいきそうにない。

憔悴しょうすいしきった仲間達を見回しながら、なぎは焦りを覚え始めた。


入り口に向かい空へ向かって剣をかかげ、自分がどうすれば良いのか自問自答じもんじとうしていた。

剣からは神秘的しんぴてき紅炎こうえんがたち、わずかではあったがあたりはあたたかなあかい光に包み込まれた。


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