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V・W・G ~† リアルへの生還 †~   作者: 聖那
第二章 ~† 北の玄武洞 †~
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暗黒騎士・永時

挿絵(By みてみん)

ドラゴンから発せられる気がさらよこしまなものに変わった。

その獰猛どうもうな表情は怒りにゆがむ。


《お前ら!わしを本気にさせて後悔することになるぞ!》


怒りに満ちたドラゴンの咆哮ほうこうは大地を震わせた。

ドラゴンの邪悪な雰囲気ふんいき刹那せつなは一瞬たじろぎ、恐怖で後退あとずさりしてしまった。


『その言葉、そのまま貴様に返してやるよ』


暗黒騎士は不敵ふてきな笑みを浮かべてドラゴンに言葉を吐き出す。


《どこまでも小賢こざかしい奴だ!死をもってつぐなうが良い!》


ドラゴンの表情は暗黒騎士への憎悪ぞうおさらゆがんんで見えた。


刹那せつな、お前は少し下がっていろ』


肩掛かたがけにした剣を正面に両手で握り直しながら暗黒騎士がつぶやく。


『だけど、いくらなんでも暗黒騎士さん一人じゃ・・』


強張こわばった表情の刹那せつなは、震える体を必死におさええながら暗黒騎士へ言葉を返す。


『案ずるな。今の奴の本当の狙いは俺達を殺すことじゃない』

『えっ?』


憎悪ぞうおの表情を浮かべるドラゴンだったが、こちらよりも背後の[玄武山げんぶざん]を気にするように、チラチラと後ろに視線を移していた。

そんなドラゴンの様子に気付いた刹那せつなつぶやく。


『本当だ・・妙に後ろを気にしてる』

『恐らくはさっきのあかい光に何か関係があるんだろう』


刹那せつなつぶやきに、正面に構えた剣を振り上げながら確信に近い考えで暗黒騎士が答える。


『殺す気がないにしても相手はドラゴンだ。気を抜くなよ』

『分かりました。暗黒騎士さん!』


刹那せつながドラゴンに対して正面に剣を身構えたその時、暗黒騎士がつぶやく。


永時えいとだ』

『えっ?』


顔をおおかぶとで暗黒騎士の表情をうかがい知ることは出来なかったが、その声音こわねはとても優しいものに感じた。


『俺の名だ』

永時えいとさん・・』


優しくも力強い暗黒騎士・永時えいと雰囲気ふんいきに、刹那せつなは不思議となつかしさのようなものを感じた。


刹那達せつなたちが中央広場で不気味な声を聞く20分前のことである。

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