人間じゃなかった
動けなかったんだ
前にも後ろにも
カニみたいに横歩きしても
足が取れていく
あのね
繋げてきたしるし
壊してしまったから
ここにいるのがいけなくて
寝てはいけなくて
悪に身を委ねるしかなくて
ぼくはただパペットみたいに
手を入れられてパクつく
意思なんて捨てられて
ずっと吊るされて
選択肢もなくて
いつも凍えていて
あのね
時間って凍るんだよ
頑なに果てつくんだ
過ぎてゆく記憶がころされた
ただ居たたまれなさを
打ち消してゆくんだ
生きてる価値とか
打ち消してゆくんだ
存在をぞんざいに消す
そんな日々だった
ぼくは人間じゃなかった
ナマモノじゃなかった