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Re:union  作者: 奏人姫
1/3

前編

桜も散り、夢の連休が開けた頃、いつもの様に自転車で学校に行こうとしていた時だった

?「――!」

俺「ん?」

妙だ。女の子が俺を呼ぶ声がする。ついに妄想と現実の区別がつかなくなったか と冗談交じりに振り返るとうちの学校ではない制服に身を包んだ少女が立っていた

?「―先輩、お久しぶりです」

俺「あ…」

彼女は俺の中学時代の後輩だった。いや、別に部活が同じだった訳でも家が近い訳でもないのだが、中学時代に図書館に入り浸っていた時に知り合い、何度か話したことがある


そんな訳で、俺に話しかけるなんて…と高速思考しつつ

俺「うん、久しぶり」

と返し

俺「高校入学おめでとう」

と続けた


それから、彼女がとても賢い某高校に入学したことや部活のことなどを話しながら途中まで一緒に歩いて行った


※俺はチャリ通、彼女は徒歩通 俺はチャリ押して歩いてる


「またね」


そう言ってその日は別れた

まぁ、途中までしか通学路同じじゃないんだから当然なんだけどね


それから毎日…と言うわけじゃないけど、朝に会った日は途中まで一緒に登校するようになっていった

基本的にただの雑談だ。学校のことや部活のこと、趣味や日常のことなど


ある日、とあるラノベの話になった際に

後輩「それ貸してくれませんか?」

と聞かれた

俺は二つ返事でオーケーし、それをきっかけに彼女の連絡先を聞くことに成功した

彼女はガラケーで、ネットにも繋げないらしく赤外線で連絡先を交換した

赤外線なんて、使うの久々だ…そもそも連絡先交換すらほとんどしなくなったしな…


―たぶん、この頃には俺は彼女に惹かれていたと思う

理由なんて、いくらでも後付け出来るから言わないけど、おそらく間違いなかった


再び(会った)なのか初めて(会った)なのか分からないけど、会ってから3週間ぐらいたったと思う。俺は彼女に告白しようと決意した


…怖い。純粋に今の関係でいいじゃないか。そう思う自分が確かにいた。それでも前に進もうと決意したことは後悔してない


色んな友達に相談した。めちゃくちゃ怖かった


告白する前の日の夜は欝になるんじゃないかと思うぐらい悩んだ


―どんなことがあっても無慈悲に次の日はやってくる

「今日は出会わなかったら…」とか馬鹿なことも考えてしまっていた


そんな日に限って、彼女と出くわすのは神のいたずらかあるいは幸運なのか。その日は普段通りを装って、いつ切り出そうかと悩んでいた


…分かれ道の交差点に来た。一個目の信号を渡る

俺はまだ言えてなかった

2個目の信号を待っている間、動悸が激しくなっていた


信号が変わる。俺は…



俺「○○さん」


声が震えているのを抑えて、俺は名前を呼んだ


後輩「はい?」

俺「あのさ…」


俺は、一瞬躊躇ってから、あとを押してくれた人に報いるためにも、自分が後悔しないためにも言った


俺「―俺と、付き合ってくれない?」

後輩「いいですよ?」


ノータイムで返事が返ってきた

驚いた、ものすごく驚いた。

それ以外に言いようがない


抑えきれない心臓の動悸に耐えながら俺は声を絞り出した


俺「なん…で、悩んだりしないの…?」

後輩「先輩、いい人じゃないですか」


そんなのでいいんだろうか。それでも


俺「うん、ありがとう、また連絡するね」


そう言って、学校に向かった


正直、実感がわかない

ただただ気分が高揚している


生まれてこの方一度も彼女など出来た事ない俺にとって、何があったのか分からないような時間だった


告白が成功したことが夢だと思ったぐらいだ


その日の夕方、連絡を取り、次の日は待ち合わせし、一緒に登校することになった


そういう何気ないことも「友達」と「彼女」じゃ全然感覚とか違うんだ…ということを知った日だった


次の日は、雨だったから一緒にバスに乗って通学した

彼女は偶然にも中学の同級生に会ったらしく、しかもその子は俺と同じ高校と言うことで少しだけ話した


その日の夕方に連絡してみたけれど、彼女から返信は来なかった


次の日も雨だったので、歩いて一人で登校した

遅刻を覚悟して、通学路で待ってみたのだが彼女には会えなかった


登校してる途中、仲いい奴に会い、二人乗りで行くことによって遅刻はまぬがれた


その日は一昨日と正反対の、憂鬱な気分だった


放課後、行きに乗っけてくれた奴と二人乗りで帰った

そいつの家で暇潰し(ゲーム)して少しの間過ごし、そいつの家から家に帰る時に携帯の電源を入れると


メールが来ていた



俺の携帯は滅多にメールとか来ない。ほとんどLINEで友達と話してるからだ

俺は友人に別れを告げ、そいつの家を出た直後にメールを見た


短く、タイトルもないメールだった


彼女からだった


「やっぱり自分にはまだ早いからお付き合いは出来ません。ごめんなさい」


とのことだった


落ち込んだ、死ぬほど


それから少しメールで「気に障ることとかあった?」などと未練がましいような質問をし、その日の夜に泣いた


次の日は、会わなかった


彼女が通学ルートを変えたのだと思った


その次の日、彼女を見つけた


…無言で自転車のスピードを上げて振り切った


このことだけはずっと後に後悔した


けれど、俺もその時に深く考えることなどできなかった


それからは俺が彼女を見つけた時に道を変えるか振り切るかのどちらかだった


そうこうしてるうちに、彼女とすれ違うこともなくなった


たぶん、ホントに通学ルートを変えたんだろう


こうして俺の最初で最後かもしれない恋愛は幕を閉じた


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