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セブンスソード―七つの聖剣―  作者: 音無 桐谷
第二章 闘技大会編
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闘技大会編2-4

 2-4


「ふぅ、終わった」

 自分の今いる部屋(VR搭乗室)から外に出た焔は早速アリス達と合流して、昼食+さっきの試合の反省会、をするつもりだった。しかし選手用出入り口にはつい十五分ほど前に戦ったばかりのミネルバが壁に、もたれかかっいていた。

「まて」

 焔が通りすぎようとすると、声を掛けられた。一応周りを見渡すが自分とミネルバしかいない。

「なにかようですか?」

 なにげない返答をすると突然とてつもない力でコートの襟を引っ張られながら

「少々質問がある 一緒に食事しよう」

 と言われ引きずられてしまった。



 黙ってしばらく引きずられて着いたのは、街の人でも気軽にこれそうなレストランだった。チラッと見えたメニューにもだいたい五〇〇円~一一〇〇円くらいの食べ物が書かれている。

 そして焔を引きずるミネルバは席には行かず、マスターに

「個室でこの人と食事がしたい たのむ」

 と申し出た。いくら何でも無理だろうと思ったが常連だったらしく、マスターは快く通してくれた。

 そして、ものの三十分で抵抗することもなく焔は拉致されてしまった。


 ◇◆◇◆◇


「遅い、遅すぎる!」

 彼女、アリス・ローゼは観客用出入り口で待ちぼうけを受けていた。

「そ、そんなこと焔さんがするわけないですよ~」

 私がなだめようとするが、納得する様子がない。そして、わかったわ!、といわんばかりに手を打った。

「そうか!アイツきっと控え室で寝ているんだわ、そうよ、そうに違いないわ」

 目が怖い、怖すぎる。おそらく今焔さんの顔をみたらすぐさま杖から炎を出して有無を言わさず黒コゲにしそうだ。

 それだけはなんとしてでも、防がなければ。

「とりあえず、食事をしに行きましょう ね」

 気をそらすためにまず、最初の目的通り食事へと誘うが、

「いいえ、アイツの寝顔を先に拝みに行くわ!」

 言うこと聞く様子がない。…最終手段を使うか。

「そういえば、さっき商店街のほうにカワイイウサギのいるペットショップがありましたよ~」 

「どこ?どこ!ウサギはどこ!?」

 見事に食いつきました。単純です。

「さぁリーナ、寝てるやつはほっといて見に行きましょ」

 腕を引っ張られながらつれていこうとする。

 …これでしばらくは持ちます。なので早く来てください焔さん、

 ちなみにその後とある大通りのはずれにある店に入って休憩を取っていると大きな音と人の声が聞こえてきましたとさ。

 ◇◆◇◆◇


 一方焔は軽く七人は座れるような丸いテーブルにたった一人の女性、ミネルバを正面に黙々とチャーハン四人前を食べていた。

 途中ひどく寒気がしたが気にしてられない。

 理由は、さっきからミネルバがこっちをずっと見つめているからである。そして

「なんだよ」

 声をかけると

「なんでもない、続けてくれ」

 と返される。それがもう四回も同じ会話を続けている。

 とりあえずチャーハンを綺麗に食べ終えてミネルバを見据え理由を聞くことにした。

「どうして、俺を拉致までして食事をしようと?理由を教えてくれ」

 そう聞くと彼女は少し姿勢を正してようやく話してくれた。

「まずは、失礼をわびよう そしてあなたの事を知りたいから食事に誘った」

「で、何が知りたいんだ?」

 とりあえず、用件だけを聞いて、さっさと帰りたかった。

「あなたの右目はなんなんだ?」

 …どうやら、本当に発動・・していたらしい。我ながら意識的にできるとはいささか驚いた。が、到底説明など出来るわけがないので

「さ、さあ 何のことだか?」

 とぼけるがミネルバは手のひらをテーブルに強く叩きつけ大声を出して問い詰める

「とぼけるな!納得のいく理由をここで説明しろ!!」

 …さて、ココでの一手は確実に『逃げる』が正解なのだろう、だが飯をおごってもらっといて、何の情報も渡さないのは経験上、不幸しか招かない。よって

「…この右目は物心ついた時にはもうあった。何のためなのか、どうして俺なのかも知らない」


 ちょっと意味ありげだけど、実はテキトーな理由、を付けてついでに嘘も入れた。(事実は始めの部分しかない)

 そしてミネルバは、

「そうか、それは災難だったな うん」

 素直に納得までして、なんか同情もされた。片付けに来た店員の人に今度は〔激辛!スーパーエビチリ〕の二人前を頼む。が、そろそろ時間がまずい…

「なにかあるのか?」

 ミネルバが問いかけてくるが無視する。

 準備でもしてあったのか、数分ですぐさまエビチリが現れる。あわてて食べてその店を飛び出すがすぐさま、

「どうしたんだ?」

 と言ってミネルバも追ってくる。必死に店から飛び出して逃げようと複雑な路地裏に入ったりしたが、ミネルバは屋根の上などを使って追いかけてくる。

「仕方がない……」

 すぐさま振り向き切り返しで不意をついて逃げようとしたのだが、屋根を走っていたミネルバもついてこようとして、

「ニャッ!?」

 という奇怪な悲鳴をあげて上から落ちてくる。しかもココは坂だったので、みごとに坂を一つの玉となって転がりある喫茶店の壁にぶつかった。思いっきりど派手にぶつかった。

「いてて…」

 あまりの痛さに手をついて立ち上がろうとすると何かやわらかい物が手の感触を包んだ。これは、まさか…

「いやっ!!」

 ミネルバが叫んだと思ったら、顔面にパンチを食らって後ろへ倒れる。

 それから首だけで前を見るとそこには、胸を隠すように腕を組み、顔やうなじまでもが赤く染まったミネルバが座りこんでいた。

「ご、ごめん そんなつもりはなかったんだ!ホントごめん!」

 すぐさま誤るがこの程度で許されるとは思っていなかった。そして予想どうりに

「せ、責任を取ってください!わ、私の純潔を……う、うばった代わりに一つお願いを聞いてもらいます!それで、許ちっ、許してあげます!」

「どんなお願いでしょうか?」

 舌を噛んだミネルバを神妙な顔つきで見つめる。そして急に焔の腕に自分の腕を組ませてとびっきりの笑顔で

「あなたの旅に同行させてください!」

 と言ってきた。とりあえず真っ先に浮かんだ疑問をぶつける

「どうして俺が旅をしていることを知っているんだ?」

 そう聞くとまたまた笑顔で

「大会の委員を脅して、聞き出しました」

 なるほど、と思った。理由は自分の住んでいる場所を「旅の者なので不定」と書いたからである。だが社会人として、こっちも笑顔でここは言わせてもらった。

「人を脅すのは脅迫罪ですよ ミネルバさん」

「そんなこと知ったことではない」

 そう返されるが気にしないで立ち上がった。幸い、民間人の通りはなかったが、

「へー、私との約束ほっといて、どこをふらついてるのかと思ったら、女の子といちゃついてましたか~この用心棒ー」

 知り合いはいた。というより、店の中から現れた。少し小刻みに震えながら尋ねる。

「ど、どうしてお二人がここにいらっしゃるのかな~?」

 そう尋ねるが鬼のような顔で

「しばらく、寝てなさい!!」

 長杖で思いっきり殴られてその場で気を失った


 ◇◆◇◆◇


「貴方は確か一回戦の焔の対戦相手じゃない」

 彼女はスッキリした顔をして私の方を見てきた。

「私の名前はミネルバ、ミネルバ・シーソルトだ」

 自己紹介をすると向こうも丁寧に挨拶を返してくる。

「私の名前はリーナ・アルベルトです」

「アリス・ローズよ」

 そして真っ先に自分の要求を伝えることにした。

「貴方達はこの人のなんだ?」

 そう聞くとアリスと言う女性が握り拳を作って説明してくれた。

「コイツはね私が雇っている傭兵なのわかる?」

 だから何だとゆう顔をしたら、こめかみに手を当てている。理由がさっぱりわからない。

「で、どうするのだ?私は今日一日中彼と一緒にすごしたいのだが、仕事中なら仕方がない…お返ししよう そのかわり貴方達も彼の旅に付き添ってるのだろう?私も連れてってくれはしないか?」

 丁寧に自分の要求と譲歩を提案する。アリスはまるで何かの審査でもするかのように見つめて

「いいわ、というより私は雇い主、アイツは私の護衛つまりは私の旅にアイツが付き合ってるの!そこだけよろしくミネルバさん」

 素直にその提案を受けてくれたアリスさんに私は深く礼をした。


 その後は中条が自分で立ち上がり

「宿へ先に返るよ」

 と言い残し、プラス約束に遅れた賠償金として五万円を置いていかされその場を後にした。

 私達三人はショッピングなどをしたりして周りで言うガールズトークを繰り広げたがこれはまた別の話。

 そうして私の四国闘技大会敗戦日は終わりを告げたのだった。


 ◇◆◇◆◇


 四国闘技大会二日目。今度もまたランダムで対戦者が決まる。焔は内心今度は男が相手で思いっきり・・・・・戦いたいと強く願った。


 そして自分の番(また一回戦だが)がやってきたので昨日のようにスタンバイしてVRの世界へ飛び込んでいったのだった。


 続く

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